軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話 まとめて倒せばいいだけだ

筋トレ、ライナに手伝ってもらって頑丈さ向上のトレーニング、そしてダンジョンに潜る。

しばらくこの三つをメインに生活していると、あっという間に一週間が経っていたようだ。

気づけば剣神杯の一次予選がスタートしていた。

四百名ものC級、D級剣士たちが参加するこの予選は、いちいち一対一の試合をしていては面倒だということで、一気に十人で試合を行うらしい。

この都市に来たばかりの俺はD級なので、この一次予選からの参加となる。

『それでは次の第四試合を始めます! 選手の方は舞台の上に上がって来てください!』

ふむ。

どうやら俺の番が来たようだな。

舞台の上の所定の位置へ。

この舞台は珍しく円形をしており、十人が等間隔で並ぶ。

この中から次の試合に進むことができるのは、僅か一名だけ。

最後まで加護を失わずに戦い続けた者だ。

「アレルさん! 頑張ってください! ――って、他の相手、全員がブラックブレードの剣士じゃないですか!?」

別に必要ないのだが、応援に来ていたリリアが声を荒らげた。

「くくく、残念だったなぁ、《無職》?」

「あの女の言う通り、俺たちは全員がブラックブレードの剣士だ」

「いやぁ、偶然ってのは怖ろしいもんだな?」

「まったくだ。まさか、お前以外の九人が同じギルドの剣士になるとは」

俺の対戦相手たちがニヤニヤと笑いながらそんなことを言ってくる。

「何が偶然ですか! どう考えても意図的でしょう! 運営側に息のかかった人間を潜り込ませて、こういう組み合わせになるように操作したに違いありません!」

リリアが怒鳴り声を上げるが、

「おいおい、人聞きの悪いことを言うんじゃねぇよ」

「ちゃんと厳正な抽選の結果だ」

「だったら証拠を出してみろ」

と彼らは白々しく否定した。

よほど間抜けではない限り、証拠など残していないだろう。

それを理解しているのか、何も言い返せずにリリアは「ぐぬぬ」と唸った。

「そんな面倒なこと、別にする必要はないぞ」

俺は言った。

「まとめて倒せばいいだけだ」

俺の言葉に、対戦相手たちが眉を吊り上げる。

「舐めやがって!」

「言っておくが、俺たちは全員がC級の中でも上位だ」

「幾らA級剣士を倒したからって、この数に勝てるはずがねぇ」

「てめぇの剣神杯は一次予選の一回戦で敗退決定だ!」

憤る彼らだが、そもそもこのような姑息な手を使ってきている時点で、底は知れているというものだ。

「知っているか? 弱い犬ほどよく咆える」

「「「なんだと!?」」」

「ちょうど今のお前たちのようにな」

「「「貴様っ……」」」

『ええっと……』

一体どうすべきかと戸惑っていた進行役だが、全員が戦いの意志を示したことで、このまま予定通り試合を始めた方がいいと判断したようで、

『そ、それでは、試合を始めてください!』

俺以外の九人が一斉に剣を抜いた。

そして同時に間合いを詰めてくる。

「もう一つ、教えてやろう」

俺はあえて自分から円形の舞台の中央へと進み出ていった。

「馬鹿め!」

「自ら最も不利な位置に移動してくるとは!」

「はははっ、俺たちの勝ちだ!」

彼らはすかさず俺の周囲を取り囲んでくる。

「《剣姫》が最もその強さを発揮するのは、こうした集団戦だ」

直後、彼らが全方位から躍り掛かってきた。

――〝剣舞〟

「「「なっ!?」」」

ふむ。

所詮はC級剣士といったところか。

数を頼みにしたところで、やはりたかが知れていたな。

「……ば、ばか、な……?」

「こ、この数で……負けた……?」

「ば、化け物め……」

加護が全損した九人の剣士たち。

彼らの口から愕然とした呻きが漏れる。

「大よそ五分といったところか。さすがに〝剣舞〟を使い続けるのは俺でもなかなか骨が折れるが……まぁこのくらいの時間なら大したことないな」

見た目こそ優雅で華やかだが、やってる方としてはなかなか大変なのだ。

全方位に意識を研ぎ澄まし、全力で〝先読み〟し。

まるで〝縮地〟を連続発動し続けているような、激しい緩急をつけながらの全身運動。

【最上位職】とされる《剣姫》のスキルともなると、やはり体力の消耗が激しい。

それでも最近の筋トレのお陰か、以前よりは幾らか楽な気がする。

恐らく今なら 一(・) 時(・) 間(・) が限界といったところだろう。

『い、生き残ったのはドラゴンファングのアレル剣士です! 二回戦進出決定です!』

一次予選の二回戦は翌日行われた。

一回戦で四百名から四十名にまで数が減ったが、この二回戦でもまた一度に複数人で試合を行うらしい。

ただし今回は、五人が同時に戦い、一人が勝ち抜けるようだ。

「ふむ? また全員がブラックブレードの剣士なのか?」

俺の試合が始まると、他の四人が示し合わせたかのように俺一人に向かってきた。

「そうではない! そもそも最大の敵を協力して倒すのは、この予選のセオリーだ!」

どうやら単に俺を強敵とみて、共闘することにしたらしい。

「なるほど。だが俺を倒すなら、せめて十人以上でかかってくるんだな」

「「「があっ!?」」」

そんな感じで二回戦も勝ち抜くと、次からはここまで勝ち抜いてきた残り八人による、一対一でのトーナメント形式になった。

「面倒だからいっぺんにしてくれればありがたいのだが」

と思い、俺は運営に提案してみた。

「ちょっ、何を考えてるんですか!? そんなことしたらまた全員が共闘して来ますよ!?」

「その方が早いだろう」

「相手はここまで勝ち上がってきた剣士たちですから! 恐らく実力はほぼB級剣士クラスです!」

「つまりリリアと同レベルということだろう? 何の問題もない」

「なんか複雑です!」

「ちなみに運営は許可してくれたぞ」

というわけで、俺を含む八人が一度に舞台へと上がった。

「舐めやがって……」

「俺たちC級なんざ、一人で十分ってか……」

「……いいだろう、全力で叩き潰してくれる……」

俺以外の七人が殺意の籠った目でこちらを見ている。

……なぜそんなに怒っているのだろうか?