軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

41 暴露①

私は、壁際で待機しているヴァルを見た。ヴァルは、私の視線にすぐに気づいて、微笑みと共に軽く頷く。

大丈夫。

私には、ちゃんと私を認めてくれる人がいる。

少しでも気を抜けば倒れそうになる自分を奮い起こして、私は意を決して口を開いた。

「少し長い話になります。本日お越しの皆様、よろしいでしょうか? ザイトヘル伯爵には、特に申し訳が立たないところではございますので、もし不快に感じられたなら、退席されても構いません」

私はそう言って、来賓の方々を見る。

誰も立つ様子は見られない。

「今日一興味深い話のようですから、是非ともお聞かせ願えますかな」

「ありがとうございます」

ザイトヘル伯爵の言葉に返礼をし、私は一連の流れを話す事にした。

「わたくしとサイモン様は、親同士が決めた所謂、政略結婚です。しかし、わたくしは良い関係を築きたく、必死でサイモン様に歩み寄りました。しかし、サイモン様にはわたくしの気持ちは届いておらず、学園で知り合ったとある女性と恋仲になったのでございます」

私が話し出したところで、サイモン様が立ち上がり、血相を変えて叫び出す。

「おい! 一体何を言い出すのだ! それが今、何の関係がある!? 私を愚弄するつもりか!」

「黙れサイモン、座って静かに聞け」

サイモン様の叫びに、陛下がすぐに制止する。

そして陛下の視線を受けて、私は軽く会釈し、話を再開する。

「二人は一緒になりたいと思ったそうですが、サイモン様には既にわたくしといった婚約者がおりました。そしてサイモン様は、わたくしの実家、エドワール侯爵家を後ろ盾とする事で、王太子の地位を確約されておりましたので、わたくしとの結婚は必要不可欠でありました」

ふとサイモン様を見ると、今にも飛びかかりそうな形相だ。しかし、いつの間にかヴァルがそのすぐ後ろに控えており、何時でもサイモン様を取り押さえられるようにしている。

私はそれを確認し、改めて話を再開した。

「そこで二人は考えました。わたくしとの結婚後、二年後に側妃として王宮に上がれば良いのだと。しかし、それにはわたくしが子を産んでいない事が必須条件でございます。

二人はどうすれば良いかを何度も話し合ったのでしょうね。始めは、わたくしとサイモン様が白い結婚にすればいいと結論付けたそうですが……

どうやらそれは無理である事は、サイモン様ご自身がよくご存知だったようです。王家は純潔を重んじますので、必ず確認されますから。

そんな二人は、ある時、非合法な薬屋の事を耳にしたそうです」

サイモン様は聞いていられないと言った風に立ち上がり、再度叫ぶ。

「何故そんな事までお前が知っているというのだ! それこそ、その内容は二人にしか分からないはずだろうが!」

サイモン様の訴えに、他の方々も頷きながら疑問を口にし始めた。

「流石にそこまでは分からないだろう」

「これは、王太子妃殿下の妄想の話か?」

「くだらんな、我々は何を聞かされておるのだ?」

ザワザワと口々に言いながら、私に疑いの眼差しを向けてくる。

「その内容が事実であるという確信はあるのですかな? それと、王太子殿下のお相手とは一体誰の事なのでしょう?」

ザイトヘル伯爵が、穏やかな口調でそう聞いてきた。

その発言にて、ザワザワとした雰囲気は収まる。

「そうですね、この内容を知ったのは、つい先日でございます。当時はそんな事を考えていたなど知る由もなかったですから。

サイモン様のお相手は、わたくしの親友だとずっと信じてきた人物で、それこそ、つい最近ではザイトヘル伯爵が持っていらした、書物の中に載っていた人物でございます」

その言葉に、皆は一斉にリリアの方を見た。

「シンディ様! あの書物はデタラメばかりでわたくしには関係のない話でございます! わたくしとサイモ……王太子殿下はそのような関係ではございません!」

リリアが我慢できないといったふうに立ち上がり、叫ぶ。

あぁ……何故ここでサイモン様の名前呼びを匂わせるのかしら。

否定するなら、ちゃんと呼び名も意識しながら発言すればいいのに。

詰めの甘いリリアに、私は何度となく陥れられたのかと思うと、自分が情けなくなった。

私はリリアを一瞥し、話を続けた。

「話を続けます。二人はその非合法の薬屋に出向き、そこで手に入れたのは、二種類の薬草でした。その内の一つが堕胎剤となる薬草なのですが、その薬草は副作用がキツく、使用禁止となっているものでした」

「つまり、王太子妃はそれを嫁いだ日から、知らずに飲まされていたということか?」

「そうでございます」

陛下の質問に、私ははっきりと肯定した。

「証拠はあるのか!? 私達がそんな事をしただなんて、しっかりとした証拠があって言っているのだろうな!? 憶測でものを言っているのなら、許されるとは思うなよ!」

サイモン様が私を睨みながら、そう叫んだ。

「先程申しましたでしょ? この事を知ったのはつい先日だと。この話はあなた方がご自身で話されていた事ですよ?」

「私たちが何時そんなことを言ったというのだ! それこそ妄言だろう! 私たちがそんな話をしていたなどという証拠でもあるのか!?」

私の言葉に、サイモン様は顔を歪めて大声でそう叫んだ。

「あら。この会合の数日前、市井に出向いてローガスト伯爵令嬢と密会なさっていたではありませんか。そこでお話されておりましたでしょ? ほら、学生時代よりあなた方がよく通ってらした大衆食堂で」

その言葉に、サイモン様とリリアの顔色は一気に悪くなった。