軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

34 茶葉の結果①

「シンディ様、そろそろお戻りになられますか? 海風は冷たいのでお身体に障ります」

よほど気に入ったのか、いつまでも海を眺めていたシンディ様に、俺はそう話しかけた。

「あら、そうね。ごめんなさい、少し長居し過ぎたわ」

そう言いながらも、シンディ様は名残惜しそうにもう一度海を眺められた。

「また海を見ることが出来るかしら……」

独り言のようにそう言ったシンディ様に、俺は頷いた。

「また見にきましょう。 色(・) 々(・) と(・) 落ち着いた時にでも」

「……そうね。全てが終わった時にまた見に来たいわ。その時はヴァル、連れて来てくれる?」

不安そうな表情で俺にそう言うシンディ様に、俺は安心してもらえるように、しっかりと目を見て頷いた。

「もちろんです。貴女が望むなら、何処へでも」

「ありがとう、ヴァル」

俺の言葉に、ホッとしたように笑顔でそう言った。

「ヴァル、戻ったらバーグ先生を呼んでくれるかしら? 前に調べるために持ち帰ったハーブティ、その結果が出たか聞きたいの」

「御意」

シンディ様が次の行動に移るようだ。

俺もシンディ様が安全に動きやすいように、気を配らなければ。

万が一にも、シンディ様に危害を加えられないように……

俺の能力にて、何度も人生を繰り返す事になったシンディ様。

あの後、四回目の時戻しも、俺はシンディ様をお助けする事が出来ず、不遇の最期を迎えさせることになってしまった。

五回目の時戻しでは、真相に近づいた俺が先に処罰されてしまい、シンディ様がその後、どのようになってしまったのか分からない。

しかし、六回目の時戻しが発動する前に、シンディ様の気持ちを一変させる出来事があったのは間違いない。

こうして六回目の時戻しでは、シンディ様はあの二人を警戒し、歩み寄る事をやめてしまっている。

それどころか、ようやくシンディ様が真実に気付き、彼らの企みを阻止しようと動いているのは明白だ。

ならば、俺はシンディ様の手足となって、命を懸けてシンディ様を助けていこう。

それがせめて、俺のエゴで何度も人生を繰り返す羽目になってしまった、シンディ様への贖罪なのだから……

シンディ様を乗せた馬車に付き従いなから、俺は心の中でそう誓った。

****

「お忙しい中、お呼びたてしてしまい、申し訳ございません。バーグ先生、そろそろ、例の件の結果をお聞きしたいと思いまして」

なかなかバーグ先生から、ハーブティの成分結果の知らせがない為、孤児院から戻った数日後に、先生に自室に来てもらっていた。

バーグ先生の事は信用に値すると思っているが、先生のこれからの言動次第では、考えを改めないといけなくなる。

私は、少し緊張しながら、目の前に座っているバーグ先生を見て、そう話しかけた。

「はい、私も王太子妃様にお伝えしなければと考えておりました。

それで……その……出来れば、人払いをして頂けると有難いのですが……」

この部屋には侍女三人と、ヴァル、メイドが四人いた。バーグ先生は、その方を見ながら小声でそう伝えてくる。

「あなた達、少し席を外して下さる?」

バーグ先生の言葉を受けて、私はそう伝える。

今回はヴァルも出てもらい、部屋から出た者たちの中に、怪しげな動きをする者がいないかを見張ってもらうことにしたのだ。

この提案には、始めはヴァルは難色を示していた。しかし部屋の外では、いつも他の王太子妃付きの騎士達が警護している。いざという時には助けを求めるからと説得し、渋々その提案を受けてもらった。

それよりもバーグ先生との密談により、いつもと違う行動をする者がいれば、その者があの二人の内通者である可能性がある。

裏切り者を見つけるためにも、ヴァルには外に出てもらわないといけなかったのだ。

私は始め侍女三人を疑っていたが、部屋の掃除をする者や、その他の雑事を行なうメイドなど、この部屋に出入りする全ての人に茶葉をすり替えるチャンスはある。

先程のメイド四人が、王太子妃室の担当であった為、このタイミングで部屋に呼んであったのだ。

侍女三人とメイド四人。その七人が一番可能性が高いとヴァルと相談し、バーグ先生を呼ぶタイミングで内通者も炙り出そうということになった。