作品タイトル不明
侯爵家 タウンハウスにて sideナターシャ
この、やせ細った子どもは一体…
透きとおるような蒼白い肌の色。やっとのことで身体を起こしていることがわかる息遣い。
療養のためか鎖骨あたりで切られているプラチナブロンドのフワフワの髪に涙に潤んだ淡い紫色の瞳。
の、10歳くらいに見える美幼女。
この子が、ロベルト様の言う病弱な幼馴染なの。
驚いて言葉の出ない私の横から
「お、今日は身体も起こせて元気そうだな。」
そう、ロベルト様の大声が響いた。その瞬間、リリー様の身体がビクッと震えた。
大股で近づくロベルト様。その姿に怯えた瞳を向ける幼女。
嗚呼…
そうよね。両親の元を離れて療養している彼女に取って彼の態度や距離は、恐怖なのでしょう。
しかも、弟が産まれたために身体の弱い自分が他家に療養にだされるなんて本当に悲しかったのでしょう。
そんな事なんて、男三人兄弟の彼には分からないのでしょうね。
彼の距離感の近さが彼女の負担になっているなんて。
それからの私は頑張りました。
もちろん、ロベルト様に悪気がないのは分かっています。だからこそ、リリー様も何も言えなかったのだろうしね。
実は13歳だったリリー様の年齢を理由に寝室への訪問をやめてもらいました。その代わり我が家からお母様の療養を手伝ってもらっていた侍女を派遣して側にいてもらうことに。
ネリー先生にも診察をお願いしました。
その結果、やっぱり悪い血を出すために行われていた瀉血。これもやめることに。
さらに、お母様の時と同じように食事にも気を配ってもらいました。栄養たっぷりが彼女の状態に合うとは限らないからね。
そうして少しずつ少しずつ、リリー様の容態は良くなっていったのでした。
もちろん、私もできる限り顔を出して話を聞きました。
親元から離れて心細いリリー様。
私から見てもご両親の良いトロコを全て貰い受けた奇跡の美しさを持つリリー様。
そんな彼女の心を整える毎日を続けました。
タウンハウスに顔を出す日々を送るうちついには、私が「お姉様」なんて呼んでもらえたの。
めちゃくちゃ嬉しい。
それから、リリー様って、か、可愛い。
私は、リリーって呼ばせてもらえるほどの仲になりました。妹ができたようで、本当に嬉しいです。
そして、ロベルト様はちょっと残念そうにしてたけど、全くもって脳筋の彼は元気になりつつあるリリーに納得しているみたい。
悪い人ではないんだけどな。
脳筋ではあるけど、優しさもあるからね。
女侯爵になる私を彼なりに支えようとして頑張って努力する姿は、嫌いではないです。
いや、むしろ好感が持てます。
これからは彼との時間も大切にしたいな。
さあ、病弱な幼馴染が本当に病弱だった場合。
貴女ならどうしますか?