軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

80話 ちょっと多すぎない?

次の引きをする前に3匹、4匹、5匹と戦い方を3人と話し合った。

「メリー、弓はなるべく頭か胸を狙ってみて。うまくすると即死する。あと、距離が近いと思ったら即下がって」

「頑張ってみます」

「ヒューゴは俺が引いてきたやつの一番後ろのやつ。まず足を狙え、なるべく動けなくしてから胸にトドメを差す」

「一番後ろっすか? カオさんに一番近いやつじゃなくて?」

「ああ。俺に近いやつをやるとその後ろのやつらも一斉にヒューゴにむかっちまう。だから、一番後ろのやつから剥がして確実に仕留めていく」

「なるほど」

「バルトロはヒューゴが足止めしたやつの上半身を盾で抑え込む。そのあとヒューゴがトドメを刺す」

「はい!」

「じゃ、次も5匹引いてくるぞ。準備はいいか」

「おお!」

「頑張ります」

「大丈夫!」

それからマップで確認しつつ、4〜5匹でかたまっているゴブリンを引き続けた。

ゲームと違い、気を使う分結構疲れる。

皆の息が切れてきたので休憩を挟むことにした。

「しかしゴブリン多いな。この辺はいつもこんななんか?」

「いや、これ、多すぎだよな?」

「もう耳が68個になったわよ。あと2個で70!」

「耳が70って、僕らゴブリンを70匹倒したって事ですよね」

「ランクDで、ゴブリン70!うっそ」

「カオさんのおかげだけど僕らこんなに倒したの初めてですよ」

「てかさー、ランクDでこの数は俺たちが初めてじゃねぇか」

「カオさん、林の中にまだいそうですか?」

「おう。まだまだ大量にいるぞ」

「ねえ……ちょっと多すぎない?」

あ、やっぱ多いんだ?

もしかしてここは『ゴブリンの森』とか『ゴブリン牧場』とか呼ばれている狩場だったりするか?

そうでなくただの林や森ならちょっと多すぎだよな。いや、この世界の常識がまだわからないから何とも言えないが。

「ねえ、泊まりがけのつもりで準備してきたけど、こんなに多いと野営、危険じゃない?」

メリーの言葉にハッとした。皆も顔を合わせている。

「いったん帰還して、ギルドに報告しようか」

俺が切り出すと3人とも頷いた。3人にとってもこの状態はやはり異常なようだった。

ゲームでいうと”特定のモンスターが湧くイベント“のようなものが発生したのだろうか?

ゲームではイベントで沸いたモンスターが街に入ることはなかった。

ある意味、街は安全地帯だった。

が、ここはゲームに似ているが、別世界…。

街が安全地帯…でなかったとしたら?ここは割と街から近い、草原を越えただけだ。

あっという間にゴブリン達は街に襲いかかるかもしれない。

「みんな! 俺の近くに集まれ」

「?」

「え?」

「いいから集まれ! もっと近く」

何事かと訝しむ3人の手を掴んだ。

「エリアテレポート! 街西門の外!」

俺はそう叫ぶと3人を連れてテレポートで街へと帰還した。

驚愕に目を見開いた3人に移動魔法を使ったと伝えた。

門兵に挨拶をして中に入ると3人を木陰へ連れて行った。

「ギルドまでまたテレポートするから」

3人の手を掴みギルド裏へテレポートした。

ギルドへ入るとメリーにクエスト終了の報告とゴブリンの耳の換金を頼み、俺はヒューゴ達とゴルダのところに行った。

俺たちの並ならぬ雰囲気に気がついたゴルダの方から声をかけてきた。

「おう、どした?」

「今日、ゴブリン討伐の依頼を受けて北西の林に行ったんだけど」

「今日? ずいぶん早く戻ったな。何かあったのか?」

「ゴブリンがゴロゴロいた。草原に近い林のとこだけでも70近く狩った。これ、普通の事なんか?」

「あん? 何だって? 70? ちょっと待て、上に来い。慟哭の3人もだ。メリーはどうした」

「あ、メリーは依頼達成の報告に」

「とりあえずお前らだけでいい、上へ行くぞ」

ゴルダに連れられてギルドの二階に上がった。案内されたのはさほど広くはないが応接間のような部屋だった。

「で、どういう事だ? 詳しく話せ」

座ると直ぐに急かすように切り出された。

まずヒューゴが口を開いた。

「俺ら今朝早くに西門から北西の草原の先にある林に向かったんす」

「最近そのあたりでゴブリンの目撃が増えたので討伐依頼が出たみたいで」

ヒューゴに続きバルトロも口を開く。

「それでカオさんがゴブリンを引いてくれて狩り初めて」

「ん? 引いて?」

「で半日もいなかったんだけどゴブリンの耳が68個になって」

「さすがに多いだろうって話になって」

「68……多いな」

「あ、やっぱり多いのか」

俺がボソっと呟いた声をゴルダは聞き逃さなかったようだ。

「で?」

俺を見ながら話の先を促してきた。

「それでも林の端っこにいたやつらだけだ。中にはもっといた」

「何でわかる?見たのか?」

マップに映ったとは言えない。困った。咄嗟にもっともらしい嘘をついた。

「え〜と、探索みたいな魔法で、姿は見えないけど何か敵っぽいのがうじゃうじゃといるのを感じた」

探索なんて魔法もスキルも俺にはない。信じてもらえるか?

元から怖い顔のゴルダがさらに顔を怖くさせて絞り出すような声でいった。

「いくつだ? どれくらいいた?」

「あー……多分だけど、林の中だけで500以上はいると思う」

「林だけか! ……その先の森には?」

「わりぃ、そこまでは確認できなかった。ヤバかったから、まずは報告と思って」

「いや、いい。スマン助かった」

ゴルダは至急ギルドの職員を集めて話をするとの事だった。

俺たちはメリーが受け取った依頼の達成料を4人で分けて、とりあえず解散した。