軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

66話 異世界で仕事2日目

翌朝、朝食と生活魔法の練習を終え、今日も頑張って稼ぎに行くか。

「今日も頑張って働くぞぉ! 各自準備して裏庭に集合な」

皆んなに声をかけると、ヨッシーが床に転がって駄々をこね始めた。

「腰痛い! 足痛い! 腕痛い!」

いい大人が何をやってるんだか。

「いや、昨日、ヒールかけただろう? まだ痛い?」

ちょっと白い目で見ながら言ってやる。

「かけてもらったけど! 今は痛くないけど!仕事始めたらすぐ痛くなる未来が見えるんだよお」

ヨッシーさん、君は預言者かい。

呆れているとダンが横にやってきて俺の顔を見上げた。

「あの……昨日の、あの魔法をかけてあげたらいいんじゃないかな。あの服が光ったやつ。あれかけてもらって、昨日は全然疲れなかったから」

「ん? シールドかな? エンチャントアーマーかな?」

ダンに向かって話す俺にヨッシーが背後から被りついてきた。

「何だよ! シールドとかエンなんちゃらとかアーマーとか! ズルいよ! そっちチーム魔法使った? ズールーイー。俺たちにもかけろおお。かけてください、お願いしますううううう」

ヨッシーが命令だが懇願だかわからない事を叫びながら俺の背中にぶら下がる。

「いや、悪い悪い。俺も気がついたの仕事始める直前だったから。ギルドで仕事見つかったらそこでかけるよ」

苦笑いしながらコアラの様に抱きつくヨッシーを引き剥がしてもらった。

「あ、私、ギルドじゃなくて昨日のお店に直接行きます。腕を怪我した娘さんが復帰するまで来て欲しいって言われていて」

ユイちゃんはヨッシーが駄々を捏ねている間に着替えてきていた。

ギルドの依頼は「店の手伝い1日」であったが、店の主人夫婦に気に入られたようで延長で雇ってもらえたそうだ。

ギルドを通すマージンが無くなるので賃金も少し上げてもらえるという事だ。

エライぞ、ユイちゃん。

店の場所を聞くと神殿から徒歩5分くらいとのことだったので、神殿までテレポートで送っていった。

帰りも同じ場所で念話をくれたら迎えに行く手筈だ。

準備が出来たヨッシー、ユースケ、ダン、俺の4人でギルドの裏の木へテレポートした。

ギルドの中に入りさっそく依頼の掲示板で仕事をさがす。

荷運びや雑用の仕事がポロポロと出ている。

賃金は安いがもっと良い仕事を選べるほどこちらにスキルはない。

5人募集の荷運びを見つけ窓口に持っていった。まだ誰も受けていないと言う事で、4人で同じ仕事を受ける事ができた。

あとひとり、5人集まるまで待って欲しいと言われてそのままギルドで待つ事になった。

受付の女性から声がかかりそちらに目をやるとダンと同じ年頃の少年が立っていた。

痩せて少し薄汚れた格好をしていた。スラムの少年だろうか?5人揃ったところで受付の女性の説明を聞いた。

場所は北門から東の内部に少し行ったところで、家を立て直しするための煉瓦や材木運びだそうだ。

地図を見せられ、あとは自分たちで現地へ向かうよう言われた。もちろん北門まではテレポートをする予定だ。

「あ、俺はカオだ。よろしくな」

一応少年に名乗った。

「ユースケです」

「ヨッシーだ」

「ダン」

こちら側が名乗ると少年も口を開いた。

「…………ロム」

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で少年はボソっと名乗った。

「じゃあ北門にレッツゴー」

少年ロムに近づいて叫ぶとヨッシー達も近寄ってきた。

「エリアテレポート」

詠唱して北門へテレポートした。

一瞬の光が収まると北門横の大木の後ろに出た。

「え? え? は? ええ?」

ロムが目を向いて、北門と俺の顔を何度も見返した。

「あ、俺、魔法使いだから。今のは移動魔法ね」

俺が言うとロムはこっちを凝視しながら言った。

「何で魔法使いが、ランクEの依頼を……」

「俺、ランクEだから。魔法使いだけどギルドには登録したばっかだからな」

ロムは納得したような納得出来ないような複雑な顔でヨッシー達の顔を順に見ていった。

「あ、俺はただの探索者。ランクE」

「僕もランクEです。登録したばかりの探索者です」

「俺はちょっと前からEの探索者」

ロムがダンを見てちょっとホッとして言った。

「ダン……はスラムだろ? 何度か見かけた事ある」

「ん。名前知らなかったけど俺もロムを見た事ある。何人かで連んでるとこ。今日は一緒じゃないのか」

「あー、今日はサッチたちとは別で依頼受けた」

「そか」

というわけで、ギルドで受けた説明の通りに道を進んで行くと、取り壊し中のような半分壊された家を見つけた。

外されたドアがあったような場所からガタイのいい爺さんが出てきて俺たちに気がついた。

「おう、おめえらがギルドから来た荷運びか」

「はい。そうです」

ユースケが真っ先に返事をした。

「ガキ2とヒョロイのが3か。まあいい説明する。こっち付いて来な」

「ウイーっす」

歩き出した爺さんにゾロゾロと付いて行った。

ユースケは優男だからヒョロく見えたとしても俺やヨッシーはそんなにヒョロくはないんだがな。

この世界の人から見たらヒョロく見えるのか?まあ確かにマッチョではないか。

「今日はこの辺のやつをあっちに運んでくれ。レンガはレンガ、木は木で分けて置いてくれ」

「落ちてるやつだけか? 拾って運び終えたら?」

ふと浮かんだ疑問をくちにした。

「ガキとヒョロが無理すんな。休憩挟みながらでいい。夕方前に終わるようなら…」

爺さんは半分残った家を指差した。

「壁や柱外せるだけ外しておいくれ」

「わかりました」

代表してユースケが答えた。

「明日も来れるなら頼む。ここを更地にして新しい材木を運ぶまでやってもらいたい。その後は大工ギルドから大工がくる」

そう言って爺さんはその場からいなくなった。

「大工ギルドなんてあるんだな」

ダンを見て確認するように問いかけたが、知らないと言われた。

そりゃそうか。まだ10歳かそこらだし、スラムの人間は頑張って“冒険者”だもんな。

一般的な職業は街の住民たちがなるんだろうな。

大工しかり、パン屋、宿屋、料理人、商人、農民などなど。伝手がないと入り込めない世界なんだろうな。

俺たち地球からの転移組もしっかりしないとすぐにスラム落ちしそうだ。頑張って働いて、金貯めよ。

あ、一番大事な“信頼”も貯められるように仕事は丁寧に着実にクリアしていこう。

「さあ、みんな! 頑張って働こうぜー!」

声を張り上げたあと、ひとりひとりに魔法をかけていった。

「シールド! エンチャントアーマー! シールド!エンチャントアーマー! シールド! エンチャントアーマー! シールド! エンチャントアーマー! 自分にもシールド! エンチャントアーマー!」

「おお!」

「へえ」

「あ、昨日の」

「え? は? ええ? はあああ?」

ロムが挙動不審になってた。

「あ、そうだ。もひとつ使えそうな魔法あったんだ。荷物軽くするやつ、これも効くかな?」

そう呟いてさらに皆んなに魔法をかけた。

「ウエイトライト! ウエイトライト! ウエイトライト! ウエイトライト! ウエイトライト! さあ働くぜぇ、ヤローども」

「おお? レンガ軽っ」

「あ、本当だ。小石くらいにしか重さ感じませんね」

「ううう、カオさん! すっっげええええ! 魔法すげえええ」

「ええええ? はああああああ? 柱がひとりで持てる? えええ!」

喜ぶ3人とは対照にロムは驚き慄いていたが、すぐに気を取り直して作業に没頭した。

あっという間に落ちていた瓦礫を片付け終わったので、解体途中の家を少しずつ崩しながら瓦礫を運び出した。

少し昼を回ったところで作業は終了した。

綺麗に片付いた地面に座り、持ってきた弁当(パンに肉を挟んだ物)を食べた。何も持っていなかったロムには皆んなが少しずつパンを分けた。