軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30話 横取り?

草むらにゴブリンの死体が5つ。

「わるい! ごめん! すまん! わざとじゃないんだ。俺うっかり踏んじゃってうちの犬達がエキサイトして止まらなくて、狩の邪魔してスマン! 悪かった!」

ひたすら謝り倒したよ。

ゲームでは他の人が戦っているとこに割って入ったり、モンスターを横取りしたりするのはマナー違反もいいとこだ。

絶対やっちゃいけないことだったのだ。

ゲームでなくても冒険者さんが狩ってるとこに横入りなんてサイテーだよな。

本当、ごめんなさいです。

最初は呆然としていた3人だけど次第に顔の強張りが解けていった。

どうやら怒ってはいなそうでホッとした。

「いや、気にしないでください。こっちも助かったし」

剣を持った少年が笑顔で答えた。

「4……いえ5匹でしかも近接になっちゃって、うちらもヤバかったし」

そう言ったのは弓を持った少女だった。

「それにしても強い犬ですね」

盾を背中へと抱え直した少年が俺のイッヌを見ていた。

お?うちのイッヌを褒めてくれた。いい奴ら?

「3人は冒険者なのか?」

俺は3人にむかって尋ねた。

「ええ、ぼくらDランクに上がったばかりで……、ぼくはバルトロ 盾をやってます」

「俺はヒューゴ。前衛だ」

「私はメリー。後衛で弓攻撃。でも今回みたいにゴブリンに近くで囲まれちゃうとどうしていいか……。おじ、お兄さんも弓なんですか?」

メリーと名乗った少女は俺の肩に弓がかかっているのに気がついた。

……今、おじさんって言いかけたよね?

いいけどね。おじさんだから。(49歳だし?いや、39なのか?)

逆にお兄さんとか無理があるな。ハハハ……。

「俺はカオだ」

ゲームの時のキャラ名を名乗った。(ステータスがそうなってるしな)

「俺も接近戦は苦手で後方がほとんどだな。もっぱら前衛はうちの犬達だ。俺よりうんと強い相棒達だよ」

「カオ…さん、商人みたいな服だな」

俺を上から下まで眺めたヒューゴという少年が言った。

「あ、まあ、ちょっといろいろね」

町に入る時に怪しまれないように、やまとのみんなと似た格好にしたからな。まあ、商人と言えば商人かぁ。やまと商事だもんな。

その後ゴブリンの死体の押し付け合いになった。

3人は冒険者ギルドの依頼で「ゴブリン討伐」を受けていたそうだ。討伐の証である右耳が必要なのだが、自分達が倒したわけではないので受け取れないと言い張った。

しかし俺も狩りに乱入しての横取りなので受け取れないと突っぱねた。

強気でゴリ押しして、なんとか3人に受け取ってもらう事を了承してもらえた。

ちなみに右耳を切り取った後のゴブリンはどうするのか聞いたら、その場で燃やしていくのが基本だそうだ。

埋めたり置きっ放しにすると 、後日ゴブリンゾンビになってしまうそうだ。

ゴブリンゾンビ‥‥強そうな?弱そうな?ビミョーだ。

穴掘りを手伝って死体を転がして落としてから火をつけた。

3人はまだ狩りを続けると言ったので、別れ間際にシールド魔法を3人にかけた。

「シールド! シールド! シールド!」

「え? カオさん、魔法使いなんですか?」

魔法をかけられた事に気がついたバルトロが驚いた顔になった。

「あ、うん、まぁ無いよりはマシな程度の防御魔法だけどな。気をつけてな」

手を振って3人と別れてから、俺はまた町に向けて草原をハイスピードで走り出した。

走りながらゲームの事を少し思い出していた。

ゲームで狩りをしていると“辻ヒーラー”とか“辻スキン”とか、いたよなぁ。

フィールドでモンスターと戦っていると、通りがかりの全然知らない人が突然ヒールをくれたり、アーススキンというすごい防御魔法をかけてくれたりした。

ゲームだけど、人の善意みたいなものを感じて嬉しかったのを覚えている。

ちなみにアーススキンは土エルフの持つ精霊魔法であり、俺のエルフは風エルフなのでその魔法は使えない。

さっきかけたのはウィズの初級魔法のシールド。ショボイ魔法で防御力も薄い。

辻なんちゃらくらいのすごい魔法をかけてあげられれば良かったんだけど、ゴメンな少年達よ。

あ、そういえば魔法使いとかいるんだな、この世界も。盾の少年がそんな事言ってたな。

あと、ギルドとか依頼とかDランクとか。

ギルドあるのかぁ。

聞きたい事がありすぎだな。

だが、まずは町に入るのが第一目標。

なんて事を考えながら走っていたら、前方に街が見えてきた。

俺を置き去りにしたあいつらはもう街に入ったのだろうか。マップで確認したが、街は黄色だらけで、

やまとの社員なのか街の住人なのか、さっぱりわからない。

ただ、マップで確認できる範囲の街の外には黄色い団体の点がなかったので無事に入れたのだろう。