軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

172話 着々と準備が進む

ゴルダからダンジョンの開拓の依頼があった事をみんなに相談した。

リビングにはいつもの顔ぶれだ。

山さん、ヨッシー、ユースケ、あっちゃん、ユイちゃん。それから子供組を代表してダンとアリサ。(俺の膝の上にマルク)

「ダンジョンを本格的に始動させるために色々環境を整えないとならんらしい」

「そうなんだよ。で、引き続き僕とカオくんに参加してほしいと依頼が来ているんだけど、うちも弁当屋があるでしょう? だから皆んなの意見も聞きたくてさ」

「ダンジョンの地図作りで、俺、朝の売り子を休んでただろ? 一応後で使える引換券渡してもらってたけどさ、どう? お客さんの反応」

ダンとヨッシーの顔を見た。俺が抜けた穴はヨッシーが入ってくれていた。ギルド前の山さんの代わりはユースケだ。店内はユイちゃん達が頑張ってくれた。

「えと、残念そうでしたが、特に怒る冒険者はいなかったです、よね?」

ダンがヨッシーと顔を合わせる。

「うん、別にクレームとかは無かったなぁ」

「ギルド前もそうですね。ギルドの職員さんが何か言ってくれてたのかな。僕らに文句を言ってくる人はいませんでしたよ」

「数日間だからねぇ。ただ今後も続くとわからないね」

「あ、お店に聞きに来た人はいました。カオさん復活はいつからかって。」

「はい。怒ってとかじゃなくて、普通に聞かれました」

「あ、いたねぇ。普通にわからないって答えても、そっかって帰ったね、あの人」

よかった。シールドがない事へのクレームは今のところ無いようだ。

「ダンジョン前の開拓や中の整備がどれくらいかかるのか、やってみないとわからない部分もあるんだよ。道の整備のためには28階に石取りに行かないとならない」

「石って掘り出すの?」

「いや、ドロップ」

「え、それ、果てしなく時間かかるのでは?」

「そうだなぁ。ドロップ率は高そうだったけど、ダンジョン入り口から死霊の森の端っこまでだからな」

「道の全てを石畳で造りあげるとしたら年単位でかかりそうですね」

「うーん、どうだろな。ゴルダのことだしそんな先までかけないだろ。いずれはと考えているかも知れんがとりあえず馬車が走るのに必要なあたりとかじゃないか? いや、知らんけど」

「だったらさー、カオっちの販売場所を西門からギルド前にする? そんで時間も1時間だけ。販売というかー、シールド欲しい人が札持ってカオっちのとこに行ってもらう」

「ああ、シールド専門ですね」

「そうだねぇ、1時間ならその後にダンジョン整備に向かえるね」

「あの、あの!」

ダンが思い切ったように手を挙げた。

「ん?」

「あの、ですね、カオさんシールド以外の魔法使えましたよね。一緒に街の依頼受けた時、俺の服がピカっと光ったやつ」

「ああ、ブレスドアーマーかな?……エンチャントアーマーか?」

「何それ」

「防御魔法のひとつ。シールドは本人の身体全体に薄くバリアがかかってる感じ。エンチャントアマは、装備を防御力アップ、ブレスアマは……たしか祝福した防御力アップだったか?」

「祝福って何?」

「アンデッドとかに攻撃された時に効果あったかな? 同じようにエンチャントウエポンとブレスドウエポンがある。武器の攻撃力アップと聖なる攻撃力が付くみたいな? ごめん、うろ覚えだ」

「で、それが? ダン」

「あの、シールド券貯まったら、それと交換出来るとか……どうかな」

「それ!」

「ダン、それナイス!」

「シールドより効果が続く時間は短いけど、ありだな」

「たくさん貯めて、複数かける人もいるかもです」

「あ、じゃあ、何枚にする?」

「シールド券……5枚でエンチャント系、10枚でブレス系かな? まぁこの辺はアンデッドはほとんど出ないからだいたい皆5枚で使える」

「あ、でもダンジョンオープンしたら死霊の森から出てくるかも知れないから、ダンジョンに入る予定の人は10枚貯めたがるかも知れませんね」

それからA4のコピー用紙にそれらの事を書いて、ギルドに貼らせてもらった。

告知用紙を貼りに行ったジョンは、ギルドでも喜ばれたと言っていた。

翌日から早速開拓が開始された。

28Fのドロップを集めるために、毎日22Fからの移動では時間がかかり過ぎる。

なので、30Fのセーフティゾーンから2階下がるそうだ。

29Fの蜘蛛が厄介では無いかと聞いてみると、実は意外と行きやすい事が地図により判明した。

30Fから29Fへ降りた直ぐ近くに、何と28Fへの階段があったのだ。

俺たちはマップを埋めるために走り回っていたので気がつかなったが、各階の地図を完成させて見ると意外と見えて来る部分もある。ダンジョン内、近道大事。

という訳でメダルで30Fに飛んだ星影、山さん、キック、ナオリン、俺の7人で28Fに篭る事になる。

ゴーレムへの攻撃はダマ剣を使った星影の3人と俺のサモン3体だ。

落ちたドロップを拾いまくるのは俺、山さん、キック、ナオリンの4人。

ドロップを拾いながらもナオリン達は星影の戦い方を見て学んでいるようだった。俺は避け方のイメトレだ!

1日狩ったドロップ(石)は夕方に22Fへ置いて帰る。

帰還スクロールは数に限りがあるので街へは俺のエリアテレポートだ。ちなみに行きは各自のメダルで30Fに。

そうして22Fにどんどん石を運んで行った。

数日遅れでゴルダが率いる大工ギルド、作業に雇われた者、護衛の冒険者などが石畳作りを開始した。

その一団も俺がエリアテレポートで一気に運んだ。

道作りはアンデッドタイムに入らないように時間を選んで行うそうだ。

そうそう。ダマ剣、ダマスカス剣であるが、ゲームではシステム上『壊れない』とあった。だが、現実ではどうだろうと俺は不安になった。

毎日岩男(ゴーレム) を叩き切っているのだ。刃が欠けないなんて事が本当にあるのだろうか?

自分が使っている訳ではないが俺はビビリだ、人が使っていても怖い。なので、星影を誘って教会中庭の鍛治女神を詣でた。

ラルフに剣を持った状態で女神に触れてもらった。

「ほぉぉぉぉ」

え、何?気になるぞ?ラルフがニコニコしながら女神から下がった。

「どうだった?」

「驚きだな。教会にこんな奇跡の女神像があるとはな」

「え、だから、どうだったんだ?」

気になる。教えて。あ、リザイアが女神に触れてる。恭しく頭を上げて戻った。すかさずフィルが、目を瞑って剣を掲げて像に触れた。

「どうなんだ。壊れてたの? 壊れてないの?」

「女神から、この剣は少し疲れていると」

えええ?剣が疲れる?金属疲労か?まさかの生きてる?

「で、修復しますかと聞かれたのでお願いした」

「ええ! 私もお願いしたわ」

「俺もだ」

って事は、このまま使ってたら壊れていた可能性もあるのか。よかったぁ。確認して。

28Fの石集めは順調だ。誰も怪我なく毎日石がザックザク。

3日に一度女神詣でをしている。3日では『壊れていません』が出るが、次の3日に『疲れている』が出るので5日くらいは保つのか。(斬る量にもよるだろうが)

道作りの作業にはスラムの者達も結構参加しているらしい。

スラムは職が無く寝泊まりしていた人も大勢いたので、募集をしたらかなり集まったようだ。

とは言え危険な死霊の森だ。護衛の数にも限りがあり、日替わりで雇っているようだ。

だがお金が手に入り満足に食事が出来るようになるスラム民が増えていくと、スラムに若干活気が出始めているような気がする。

20日も過ぎると充分な石が集まり、28Fは一度終了となった。

俺はドロップとはいえ、こんなに石を取ってしまって、ゴーレムが痩せるんじゃないかと少しだけ心配した。ダンジョンって不思議だな。

俺たちは1日身体を休めてから次の依頼の参加になる。

ちょっとまて、20日ぶっ通しとは日本にいた時よりブラックでは!明日は1日、マルたんに慰めてもらおう。

楽しい1日はあっという間に終わる。

次の依頼。それはギルド員のメダル取得だ。パワーレベリングとは違う。

今後のダンジョン管理のためにギルド員が30F、39Fに常駐(通い)するためにメダルが必要だからだ。これは王都からの依頼でもあるらしい。

レベル上げではないので、とにかく近道を突っ走る。ギルド員(及び関係者?俺にはよくわからん)を連れて各階を走り抜ける。

もちろん先頭はゴルダ。星影も護衛についてくれている。

メダルを取得するには全員がボス部屋で、ボスに一矢当てなくてはならない。

ゴルダ、俺、星影は既にメダルはあるので弓を射るのはギルド員だけ、そしてボスを倒すのは俺のサモンくん達。

ギルド員全員のメダル取得のために3回頂上まであがった。

ちなみに既にメダルを持っている者が参加したらどうなるのか、ゴルダが試したが、2個目のメダルが貰える事はなかった。

30F、39Fに自由に行き来出来る様になったギルド員は、ダンジョン内に泊まり込みの作業が増えたようだ。セーフティゾーンの整備だ。

簡易テント、トイレ、食事処の設置。ドロップ買取所、武器装備の簡易修理所。

一般冒険者は帰還スクロールなど持っていない。なのでダンジョンで出たドロップを持ち帰る事になる。

しかし、セーフティゾーンで買い取って貰えればもっと長く篭る事が可能になる。

武器装備が破損した場合もセーフティゾーンまで来れれば、替えの入手が可能だ。

39Fについては、30Fほど充実させていない。

いずれはそうなるだろうが、現在、この街にいる冒険者は30Fまで来るのもやっとであろう。

39は最低限の設備のみ(トイレ)だ。それと現在は40Fへの階段を閉鎖している。無駄に人死にを出さないためだ。

着々とダンジョンの整備が整っていく。

ギルド員の多くがダンジョンの方へと取られた為、近場の街からギルド員が応援に来ている。

もちろん王都からもかなりのギルド員が到着していた。

王都から来たギルド員はメダル取得を希望したが、ゴルダはキッパリと断った。

いずれ、あるかも知れないが、今はまだ不明が多いダンジョンだ。

それは勇み足であると説得したが、本音は俺にかける負担が大きく、断ったのだそうだ。

俺の負担もなかなかだったが、大工ギルドもまれに見る大忙しだ。

死霊の森の道作りがある程度完成となると、次は街の空き地に宿屋、借家作りである。

この依頼はダンジョンで人が増えると見込んだギルドからの依頼だ。

さらに、スラムに居た者達が仕事を得て住む場所を欲したので、彼らの為の長屋の様な借家造りも増えた。

もちろん大工ギルドも近場の街へ応援を要請した。

人が増えるとよからぬ者も増える。

ギルドは街の警備をする人材も増やし、警備の為の詰所も増やそうとしたが、大工ギルドからの悲鳴で一旦保留とした。

「俺らを殺す気かあああああ」

「棟梁おおおおお、もう無理っすー」

王都から追加の騎士団が到着したがテント暮らしをしてもらっているらしい。

騎士団員たちはダンジョンの話で盛り上がり、寝床がテントだろうが気にならないようだ。なんならダンジョンの22Fに泊まりたがった。が、外は死霊の森なのでそれは禁止した。

ちなみに弁当屋も大いに盛り上がった。

というのも、宿や家を建てている建築現場に売りに行こうという案が出て、試しに行ったところ、結構というかかなり売れた。