軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

161話 31Fはボス戦かと

ボスは出現せずに無事朝を迎えた。

どうやらここ『30F』はセーフティゾーンの可能性が高そうだ。

朝食とトイレを済ませてテントや荷物を片付け、いよいよ『31F』だ。

上への階段は昨日のうちにゴルダが見つけていた。

俺たちがこのフロアへ上がってきた階段の壁沿いに左端まで行った角に上へ上がる階段の扉があった。

階段を登った壁に『31F』の文字があった。

「セーフティゾーンの上がボス部屋って事はないか?」

31Fに突入する前に、気になっていた事をゴルダに聞いた。

ゲームではボス部屋前がセーフティゾーンなのはよくある話だ。そこでデータをセーブしたり武器や装備を整えたりする。

ゴルダは眉間に皺を寄せて少し考えていた。

「そうだな……、その可能性もある。各自、帰還用スクロールを持っておけ」

ゴルダの指示でみんなは慌ててバッグからスクロールを出した。スクロールを握った手が震える、見ると皆んなも緊張していた。

全員がスクロールを手に持っているのを確認し、ゴルダが一声をあげた。

「行くぞ」

「おう」

「ええ」

「うむ」

「はい」

「はい」

「…はい」

「ひゃい」

「ップ」

ああ、また噛んだ。何で俺噛むかなぁ。てか誰だよ、吹いたやつ、誰か吹いたよね?

ナオリン、肩がプルプルしてる、下向いてるけど笑ってる?山さん、そんなに口を横一文字にして、笑うの我慢しなくてもいいぞ?

フィル、そんな可哀想な目で見ないで。

そう言えば小学生の6年間、出席の返事が毎日裏返っていたな、俺。

どうしてみんなが『はい』と返事出来るのか不思議だった。中学は『朝の出席とり』が無くて心の底から喜んだっけ。

「……開けるぞ」

ゴルダは余計な力が抜けたようで眉間から皺が消えていた。

『31F』の扉が開き中へ入る。

目の前には、普通の通路があった。うん。普通の通路だ。30Fの広場の方がボス部屋っぽかったな。

「ヤマカー達は待機、星影とカオはついて来い!」

俺はゴルダの後ろで照明魔法を天井に放ちながら通路を進む、行き当たりは右に進む道があった。

右に曲がると少し先に魔物がいた。

2本足の人型魔物だが俺らより背は高そうだ、そして全身毛むくじゃらだ。

あれ?見た事ある…?しかも新しい記憶だ、最近見た?

「ライカンスロープか!」

ゴルダの口から小さく漏れた。

ああ!そうだ!ライカンスロープだ。ついこの間のゴブリン氾濫の時に召喚したじゃないか。

俺を担いて走ってもらったっけ。常に担がれていたからあまりじっくりと鑑賞していなかった。

「ライカンならこのままオーク剣で戦うぞ!」

ラルフが仲間に声をかけた。

「おう」

「わかったわ」

ライカンもこちらに気がついたようで通路の向こうからこちらに向かって走って来た。

え?走る時は四つん這いなの?うちのライカンは2本足で走ってたけど。

フィルが正面に出て盾を構える。ラルフとゴルダがその左右で剣を構えた。三匹のライカンが走ってくる。

一番手前のライカンがジャンプして飛び掛かって来たのをフィルが盾で防ぐが、すぐ後ろから2匹がフィルの上を飛び越えてこちらに来た。

ラルフとゴルダがこちらに来ようとしたが間に合わない。

「ささサモン! ライカン!!!」

俺は思わず召喚魔法を使った。

あまりに慌てていてサモンモンスターを選ぶ間もなく目の前の魔物の名前を思わず呼んだ。当然、ライカンが3匹出た。

「倒せぇ」

俺の出したライカンが向かって来たライカンと取っ組み合いになった。5匹のライカンがダンゴ状態で掴む、引っ掻く、齧る、殴る。

これ、どれがうちのライカンだ?

ゴルダがすぐに我にかえりフィルが押さえていたライカンを斬り倒した。

同じタイミングでこちらの戦いも終わった。

ライカン2匹が横たわり地面に吸い込まれていくところだった。

という事は残った3匹が、うちのライカンだよな?1匹入れ替わったりしてないよな?あ、そうだ。

「返還」

消えた。三匹ともうちのライカンだった。ふぅぅ、慌てたぜ。

「驚いたぜ、突然ライカンが増えたから」

「カオの召喚獣なの?」

「ああ、そうだ。慌てたからライカンを出しちまったぜ」

「他にも出せるのか?」

「出せる」

「それならここから先は召喚獣を出しておいてくれ。……出来れば他ので頼む」

「……はい……さーせん」

うん、そうだよな?フロアモンスターと同じだと紛らわしいよな。

「サモンモンスター…」

唱えると一覧表が目の前に表示される。

ズラッとモンスターの名前が並んでいるが、おそらくレベル順っぽいな。下に行くほど強いやつだよな?

ライカンスロープより下で、かつあまりデカくないやつ。通路の天井に突っかかるような大きさのはNGだ。

動きが遅いのもNG、……とすると、あ、これ。

「オークキング!」

「おおお!」

「ほお」

「うわぁ」

「オークキングか、なるほど」

ゴルダより頭2つ分くらいデカくプロレスラーのように筋肉質で、立派な武器装備にあと何か頭に小さいが王冠がある。そんなキングが三匹。

ライカンは移動スピードが速かったが、確かオーク系は攻撃速度がかなり速かったはずだ。

ゴルダは山さん達を呼び寄せてこの地図作成の為にこのフロアを網羅していくようだ。

三匹のキングはもちろん最前列で暴れてもらった。オークキングにとってライカンは朝飯前のようでサクサクと倒していた。

ちなみにライカンスロープからは牙、爪、毛皮がドロップした。

……食べ物じゃなかった。