軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

634 本格始動 7

順調に狩りを進める、『ワンダースリー』プラス、マイル。

索敵魔法で獲物を探し、相手にしたくない魔物は避ける。

……そして、アイテムボックス持ち。

オマケに、マイル付きである。

これで、順調に行かないはずがない。

そして、マルセラ達は『アデル・シミュレーター』改め、『マイル・シミュレーター』持ちである。

なので、マイルの考えや行動を先読みして、適切なサポートと攻撃支援を行える。

「何だか、すごくやりやすいです……」

そんなことを呟く、マイル。

しかし、マルセラ達にとっても、自分達が動きを読める鉄壁の前衛……タンク、剣士、攻撃型魔術師、支援型魔術師、治癒魔術師を兼ねたオールラウンダー……がいるということは、自由度が格段に上がり、戦い方に幅ができる上、緊急時用に残しておく余力を少なくできる。

なので、非常に戦いやすくなり、効率が大幅に向上していた。

「頼りになる前衛がいると、こうも違うものなのですか……」

今まで、臨時に組んだ前衛主体のパーティと一緒に行動したことはある。

しかし、それは『その連中を魔法で護ってやりながら、そしていつ魔物が前衛を抜いて自分達に襲い掛かってくるか分からず、それに備えながら』の戦闘であった。それでは、行動の自由度が大きく制限される。

だが、マイルと共に戦うのは……。

「……楽しいです!」

「何ですか、この安定感と、安心感は……」

あまりにも、相性が良すぎた。

「あ、頼りになる前衛、ということでしたら、一度『 赤き誓い(うち) 』のメーヴィスさんと組んでみませんか?」

「「「……え?」」」

『ワンダースリー』は、 マイルと一緒に行動(・・・・・・・・・) するためのパーティ(・・・・・・・・・) なのである。いくら有能であろうが、他の前衛と組む意味も理由もない。

しかし……。

「そうですわね。一度、お願いしてみようかしら……」

「「えっ!」」

マルセラの予想外の言葉に驚く、モニカとオリアーナ。

「いえ、私達、旧大陸にいた頃から、合同受注はCランク下位かそれ以下の方達とばかりでしたわよね、何かを検証するためとかの、特別な場合を除いて……。

それも、パーティ単位でしたし」

当たり前である。旧大陸の時はCランクであったが、明らかに駆け出しにしか見えない未成年の少女3人組と組んでくれるベテランパーティはいない。

何らかの理由があり、依頼として出されたならば子守役を受けてくれるパーティがあったかもしれないが、子守りの依頼料が出るわけでもなく、獲物はきっちり分配するとなれば、そんな合同受注の誘いに乗ってくれるベテランパーティは、おかしな下心のある連中だけである。

「ですから、『そんなにベテランではない、そして常軌を逸していない、そこそこの強さの前衛職』の方ひとりを加えた場合、というのを検証してみるのは、いい経験になると思うのですわ」

「「なる程……」」

「……私も、そんなにベテランじゃないし、そこそこ強いし、常軌を逸していたりしませんよ?」

「「「………………」」」

「何ですか、その、異様に長い『間』はっ!!」

マイル、ぷんすこであった……。

* *

「……というわけで、順調でした! まぁ、元々マルセラさん達は3人でうまくやっておられたのですから、そこに私が加わっただけですからね!」

「「「…………」」」

にこやかにそう報告するマイルと、笑顔のマルセラ達、『ワンダースリー』。

それに対して、レーナ達の機嫌は、あまり良くなかった。

……特に、レーナとポーリンの機嫌が……。

メーヴィスは、魔法関連は自分の管轄ではないし、収納魔法でマイルが抜けた状態の『赤き誓い』に大きく貢献できたこと、そして収納魔法の可能性は、自分がハンターを引退して領主としての仕事に専念するようになった後も、災害時とかには領民のために大きく役立つであろうことを確信し、上機嫌であった。

……そしてそれが、ますますレーナとポーリンの機嫌を悪くさせていた。

((((あ~……))))

マルセラ達だけでなく、さすがにマイルも何となく察した。

そして……。

「あ、あの、次はメーヴィスさんが『ワンダースリー』と一緒に組んでみては……」

ぎぃん!

「「「「ひっ!」」」」

レーナとポーリンから飛ばされた殺気に、メーヴィス以外の皆がビビった。

いや、マイルはただ、機嫌が悪そうなレーナとポーリンに対して、会話の切っ掛けとなるようにと無難な話題を振っただけなのである。

……しかし、それは悪手であった。

「ふん! 役に立つのは、マイルとメーヴィスだけ、ってこと?」

「収納魔法も使えず、前衛の役目もこなせないような無能の私達には用はない、ってことですか?」

(((((あああああああああっ!!)))))

そして、自分が今、何を言ってしまったかということに気付き、蒼くなるマイル。

さすがに、今度はマイルだけでなく、メーヴィスも気付いた。

……というか、ここまではっきりと口に出されて気付かなければ、馬鹿である。

「「「「「「「…………」」」」」」」

そして、翌日からマイルが必死になってレーナとポーリンに対する収納魔法の特訓を再開したのであった。

更に、メーヴィスからの近接戦闘の指導も……。

魔術師も、自分の身を護れる能力は必須であり、樹上からの奇襲等、魔法を使う余裕がない時のために 杖術(じょうじゅつ) の腕を上げておくのは当然の事である。

『ワンダースリー』の3人は、 杖(スタッフ) だけでなく、モレーナ王女が分隊の予算で買ってくれた短剣も装備している。これは、魔術師としては、珍しい部類に入る。

自分達の非力さを自覚しているマルセラ達は、それを補う方法を、ちゃんと用意しているのである。

そして勿論、メーヴィスによる訓練にはマイルと『ワンダースリー』のみんなも参加しており、クランの自主訓練の様相を呈していたのであった……。