軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

615 再 会 1

「えええええ! ケラゴンさんに乗せてもらって、空を飛んできたああぁ〜?」

あの後、『ワンダースリー』が泊まっている宿へ行き、自分達も部屋を取った『赤き誓い』。

そして1階の食堂で食事を摂った後、『ワンダースリー』の部屋に集まって、マイルがアイテムボックスから出した紅茶とお菓子で話を始めた、両パーティ。

食事中は、他の客達がいたため、『ワンダースリー』が自分達が知っている範囲で王都の状況についての当たり 障(さわ) りのない話をしていただけである。

なので、今からが本題であった。

「ど、どうしてそんなことに? そもそも、なぜマルセラさん達がケラゴンさんとお友達なんですか? さ、最初から説明してください!」

……そして、そもそもの 発端(ほったん) から説明してくれた、マルセラ達。

「なっ、ななな……」

愕然、呆然のマイル。

マイル001のことは、『魔法の国から来た妖精が、マイルの姿に変身したもの』と説明され、マイルの光学迷彩や光学変装に慣れている『赤き誓い』のメンバーには違和感なく理解された。

その他のことは、マイルが自分やナノマシンのことについては『赤き誓い』と『ワンダースリー』のみんなには概ね同レベルの説明をしていたため、大きな齟齬はなく説明が進んだ。

しかし……。

「「「「収納魔法で瞬間移動?」」」」

淑女呆然(レディー・ボーゼン) 。

「……な、ななな……、何ですか、それはああああぁっっ!!」

「どうしてマイルがそんなに驚いてるんだよ……」

メーヴィスにそう突っ込まれたが、驚くのも無理はない。

それはマイルが教えたことではないし、それどころか、マイルには思い付くこともできなかったことである。

3人のアイテムボックスを共用にしたのは、ナノマシンに無理を言って権限レベルが1であったマルセラ達3人にアイテムボックスが使えるようお願いするのに気が引けて、それぞれ別個に専用の異次元世界を探して用意したり、管理のための専属ナノマシンを配置したりしてもらうのは申し訳ないと思ったマイルが、ナノマシン達の省力化のために『3人でひとつのアイテムボックスを共用する』という案を提示しただけなのである。

まさかそれが、このような結果を招くとは……。

「「…………」」

そしてレーナとポーリンが、口から魂をはみ出させて、白目を剥いていた。

「あ……」

* *

マルセラ達は、マイルが『赤き誓い』のメンバーにはアイテムボックスのことをあまり詳しくは教えておらず、『容量が非常に大きく、中のものが劣化しない、特殊な収納魔法である』としか説明していないことを知っており、以前マイルから口止めされていたということもあり、そのあたりはうまく誤魔化して説明していた。

なので、自分達も王女達も、収納魔法はマイルからヒントを貰い、あとは特訓によって独力で身に付けたと説明し、 自分達の努力が(・・・・・・・) 足りなかったから(・・・・・・・・) 、3人で協力してひとつの収納空間を維持するのがやっと、というような説明を行った。

また、話の最初にうまく枕を振って、レーナとポーリンが収納魔法を会得していないことを確認していたため……メーヴィスが独力で会得していることには、驚愕していた。マルセラ達も、ただマイルのおかげでズルをしているだけであり、独力で収納魔法を会得したというわけではない……、そのあたりも配慮して説明したのであるが、……レーナとポーリンのショックは大きかったようである。

これが、収納魔法を会得したのがマルセラひとりであったなら、悔しくはあっても、そこまで精神的ダメージは受けなかったかもしれない。

……しかし、『ワンダースリー』の3人全員が。

そして、それだけではなく、碌な修行もせずに甘やかされて育った(とレーナとポーリンが勝手に思い込んでいる)王女様が、ふたりとも。

更に、自分のパーティ内では、魔術師ではなく、碌に魔法が使えないはずの剣士メーヴィスが簡単に会得している。

これでは、収納魔法など素人でも簡単に会得できて当然、と言われたも同然である。

そして、かなり以前から、毎日寝る前に必死で練習しているというのに、ポーリンのレベルにすら達していない、『魔法の天才』を自称しているレーナ。

魔術師として、そして商人として、絶対に収納魔法を会得してみせると仲間達に向かって大見得を切ったポーリン。

……これは厳しい。

羞恥心、敗北感、自己嫌悪、その他諸々で、頭の中が真っ白になっても仕方ないであろう。

レーナより僅かに練習の成果が上回っているポーリンにしても、まだまだ到底『収納使い』と名乗れるようなレベルではないため、レーナと同じである。

ふたりは、なかなか再起動しそうになかった……。

* *

レーナとポーリンは、先程ようやく正気を取り戻し、マイルが出した紅茶を飲んで気を落ち着けているところである。カップを持つ手が、まだぷるぷると震えているが……。

そしてふたりの意識が飛んでいる間に、マイルが自分達のこの大陸に来てからの行動をマルセラ達に話し、相変わらずのやらかし振りに、3人に呆れられていた。

「……アデルさ……、いえ、マイルさんの手綱を取るのは、『赤き誓い』の皆様には荷が重いようですわね。

やはりマイルさんには、マイルさんの全てを理解しております、私達、『幼馴染み3人組』が付いていなければならないようですわね……」

「「「なっ!」」」

マルセラの突然の爆弾発言に、メーヴィスだけでなく、先程まで少しピヨっていたレーナとポーリンも、思わず顔を引き締めた。

「お、幼馴染みって、あんた達、ただの学園でのクラスメイトじゃないの! それまでは会ったこともなかったんじゃないの!

それに、あんた達が幼馴染みなら、私達も同じじゃないの!!」

レーナがそう 吠(ほ) えるが……。

「ええ、マイルさんと初めてお会いしましたのは、私達が学園に入学しました、10歳の時ですわね……。

10歳で学園の生徒でしたから、充分『幼馴染み』と言えるのではありませんこと?

それに対して『赤き誓い』の皆さんは、マイルさんと出会った時にはレーナさんとメーヴィスさんは既に15歳以上で成人されていたそうですし、出会いの場もハンター養成学校、つまり職業訓練所のようなところであり、それはもう学生ではなく社会人ですわよね。とても『幼馴染み』と言えるようなものではありませんわよ……」

「「「ぐっ……」」」

劣勢の、レーナ達。

ポンポンと言い合うなら、感情任せのレーナより冷静にたたみ掛けるマルセラ。

論理的にやり込めるなら、商売特化のポーリンより広範な知識を持つオリアーナ。

口論では、レーナ達の方が不利であった。

……ちなみに、メーヴィスとモニカは戦力外である。