軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

527 警 告 6

「終わりましたね……」

「終わったわね……」

「終わったね……」

「終わりました……」

緊張しての大仕事を終え、少しぐったりした感じのマイル達。

「これで、東の魔物に対峙している合同軍は、途中で撤退することなく魔物の殲滅に専念してくれるでしょう。あとは、城塞都市に立て 籠(こ) もった人達が頑張って、合同軍が戻るまで持ち堪えてくれれば……」

「大きな被害は出さずに済むかも、というわけだね。でも、そのためには……」

マイルとメーヴィスの言葉を、レーナが締めた。

「私達が、上位の魔物の大半を蹴散らす、ということが必須条件というわけね……」

「じゃあ、さっさと続けましょうか。威力が上がった魔法での、長時間戦闘の訓練を!」

そしてポーリンの言葉に、皆が応えた。

「「「おおっ!!」」」

* *

「……いよいよ、明日ですねぇ……」

「明日よねぇ……」

「明日だよねぇ……」

「明日ですね……」

宿のベッドに腰掛けて、のんびりとそんな会話を交わしている『赤き誓い』の4人。

あの、大陸全土に流された空中映像。

あれから事態は急速に進み、オーブラム王国東部で魔物の群れと対峙していた合同軍は何日にも亘る戦いでその大半を倒したものの、被害甚大。取りこぼしたCランク以下の魔物はオーブラム王国軍と地元の傭兵やハンター達に任せ、何とか部隊を再編成してアルバーン帝国へと向かったものの、その進行速度は遅く、帝国での魔物出現には到底間に合いそうにはなかった。

城塞都市に籠もった人々が何とか時間を稼いでくれれば、その救援に間に合うかどうか、といったところであろう。

そして『赤き誓い』は、予定通り、丘の上にある無人となった小さな町クロトに着き、入り口に『歓迎「赤き誓い」御一行様 部屋や食材等、御自由にお使いください。料金は全て無料です』という紙が貼られていた宿屋を使わせてもらっている。

彼女達は、日中は毎日、鍛錬。

権限レベルが上がって上昇した魔法の威力に慣れることと、なるべく魔力と体力を節約して長時間の戦いに耐えられるよう、練習を続けている。

また、マイルは戦いながら水分と栄養を補給できるよう、流動食のようなものを開発していた。

そしてそれらの日々も過ぎ、いよいよ明日はナノマシンが予告した『本命である次元の裂け目が開く日』であった。

明日の昼前には、地獄との通路が開く……。

「まあ、何だかんだ言って、楽しいハンター生活だったわよね」

「ああ。マイルのおかげで食べ物やお風呂、トイレとかには不自由しなかったしね」

「不自由どころか、貴族や王族以上の生活レベルですよ! マイルちゃんが宿屋を開けば、一泊金貨1枚は取れますよ!」

そう言って笑う、レーナ、メーヴィス、そしてポーリン。

「国王陛下に任命された騎士どころか、神の御使い様に任命されて聖騎士になれるなんて、こんな名誉、おそらく世界初なんじゃないかな……。

しかも、その初の任務が、世界を護るために異世界から襲い来る魔物の群れと戦うことだなんて、それどこの神話の英雄譚、ってレベルだよ。

まさに、世界中全ての騎士の夢と憧れ! 伝説となって後世に残ること確実だよ。まさか、この私が、このような僥倖に恵まれるとは……。

ありがとう、マイル。感謝するよ!」

「……私も、怨みと憎しみに凝り固まった人生を送るところを、あ、あんたのせいでこんな甘ちゃんになっちゃったじゃない! 責任取ってもらうわよっ!」

「私も、お母さんと弟を救ってもらい、お父さんが残してくれたお店の奪還まで……。

そして、私が商会を設立するための資金稼ぎも、予想以上に順調に……。

だから、絶対逃がしませんよ、マイルちゃん!」

「……あは……、あはは……」

ここ数日、昼間は特訓、夜はベッドに腰掛けて、今までの楽しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、あちこちで出会った人達のことを話し、笑ったり、懐かしんだりしていたが、それも今夜で最後。

みんな、死ぬ気など更々ないが、それでも、あまりにも大きな『数の差』は、どうしようもない。

そしてマイルがBランク以上の魔物の大半を倒すまでは 退(ひ) かないであろうことは、ほぼ確実であった。

……なぜか?

それは、『マイルだから』である。

そしてメーヴィスも、おそらくその同類であろう。

なので、レーナもポーリンも、それに付き合う。

何の不思議もありはしない。

彼女達は、魂で結ばれた仲間達、『赤き誓い』であり、その友情は不滅なのだから……。

「そろそろ寝ましょうか。明日は、朝が早いですから……」

そして、最後の夜が終わる……。

* *

【アサ~! アサ~! アサ~!】

(あ、おはよう、ナノちゃん。いつもありがとう!)

権限レベルが上がったため、ナノマシンを目覚まし時計代わりに使うようになったマイル。

いや、以前にもそういう使い方をしたことがあるが、そう毎日使っていたわけではない。

「ん……、朝かぁ……」

マイルがごそごそと動き始めたからか、他の3人も目が覚めたようである。

まだ陽も昇っておらず、辺りは暗いが、昨夜は早く寝たためみんな眠そうな様子はない。

「はい、どうぞ」

「あ、ありがと……」

ベッドに腰掛けて、マイルがアイテムボックスから取り出したサンドイッチと熱い紅茶で簡単な食事を摂る4人。

普通は、戦いの前に胃にものを入れるのは愚策である。

動きが鈍くなる、腹を刺された場合に助かる確率が下がる、等々で。

しかし、今日は持久力勝負である。満腹は論外であるが、少し食べておいた方が良いだろうとの判断であった。

そしてその後、マイル達が使っている2階にもあるトイレと洗面所で身嗜みを整え、身に着けた衣服と防具、武器とアイテム……ミクロスとか、栄養ドリンクとか……以外のものは全てマイルのアイテムボックスに収納し、準備完了。

「……いい? じゃあ、行くわよ。ハンターパーティ『赤き誓い』、出撃!」

「「「おおっ!!」」」

……最後まで、指揮を執るのはレーナであった。

そして既にメーヴィスも、それを普通のこととして受け入れていた……。