軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

76.愛しい世界

「ただいま、我が家!」

う~っ、やっぱり自分の家が一番落ち着くわ。

「ルシア、お前は3日間休みな」

「え!」

「出勤してきたら更に1週間休みを延ばすぞ」

「……はーい」

「ミゲル、本当にありがとう」

「はいはい、どういたしまして。じゃ、有能なお兄様は研究所に帰るからな」

いや、勤務先に帰るっていうのはおかしいでしょう。

「元気だな」

「本当にね」

「私達は少し休憩しよう」

皆でお茶とお菓子を囲んで寛ぐ。

暫くするとマリアが遊びたそうにしているのを見て、ラファがお部屋で遊ぼうと連れて行ってくれた。いいお兄ちゃんだ。

「アル、お疲れ様」

「ルシアもね」

「やっと肩の荷が下りた?」

アルはずっと母国とリカルド様を心配していたから。

「どうかな。でも、今の二人ならもう大丈夫だって信じているよ」

「そうね。一時はどうなることかと思ったけど」

リカルド様が今度は溺愛しすぎて嫌がられないといいけど、イメルダ様もちゃんと気持ちを伝えると言っていたし、まあ、なんとかなるでしょう。

これで本当にアルはエルディアから解放されるかな。長かったね。本当にお疲れ様。

それからはのんびりと穏やかな休日を過ごそうと──

「あの、お客様がお見えです」

使用人がとても困っている。これは。

「陛下。お忍びで来るのはお止めくださいとお願いしましたよね?」

「……すまない」

しょんぼりと肩を落とす姿は叱られたわんこのようだ。

ルフィノ陛下はアルよりも年上のはずなのにこれでいいのか。

「だが……もう、アルフォンソがウルタードには帰らないのではないかと心配で」

なぜ。どうしてそこまでアルに懐くの!

まるで恋人のように縋るのはやめて。アルは私のだから。

「そんなはず無いでしょう。私の国はここですよ。まさか追い出すおつもりで?」

「無い!絶対にそんな事は無いぞ!」

ああ、ブンブンと尻尾を振っている幻が見える。

アルはやり過ぎたのだ。残してきた国への思いと、ベルナルド様とリカルド様に任せて来てしまった罪悪感。

それらの贖罪をうっかりとルフィノ殿下に捧げてしまったから。

王になることに不安があったルフィノ殿下は、アルの献身に絆されてしまった。

ちょろい。チョロ過ぎる。

ルフィノ様はクラウディア様と血が繋がっているとは思えないほど善人だ。だけど少し繊細で。

アル曰く、王としての能力はある。一番大切な、国民を守ろうとする思いがあるから。何よりも真面目だし、頭も悪くないらしい。

だからつい、重責に苦しむ姿が可哀想で手を出してしまったのだ。

前王に退位を促したのも私達だしね。

でもまあ、それでアルの罪悪感が減るなら良しかな。

ただ、アルがやりたかった政策を提案して、ルフィノ王の評価もまた上がっている。まだまだ懐くのだろうなぁ。

「ダミアン様もこんにちは」

「こんにちは。父がとつぜんおじゃまして、もうしわけありません」

第二王子のダミアン様はまだ5歳なのに、とても礼儀正しく聡明な子だ。

でも絶対に怒られない為にダミアン様を連れて来ているわよね。陛下ったらズルいわ。

「よかったら一緒にお菓子でもどうです?」

「あの、マリアはどこですか?」

あら。ダミアン様はお菓子よりもマリアなのね。

我が家に遊びに来ると、いつも遊んでくれるからマリアもとっても懐いている。

「マリアは今、ラファと遊んでるわ。あ、ラファっていうのはね」

「エルディアの、へんきょうの子ですよね」

「あら、覚えててくれたの?」

「はい、いぜん教えていただきました」

凄いなぁ。これで第二王子なのよね。やっぱり王族は優秀……いや、前王やクラウディア様みたいなのもいるか。あとゴミ屑国王も。

「ダミアン様に紹介してもいいですか?」

「はい!」

何だろう。やたらと気合が入っている気がする。

マリアの部屋に行くと、ラファが絵本を読んであげていた。

「だーっ!」

ダミアンと呼んだのか、ただの叫び声か。

ダミアン様が嬉しそうだから、前者だと思おう。

「マリア、ひさしぶりだね」

「あーい」

マリアをギュッと抱きしめてご挨拶。

うんうん。仲良しは尊い。

「はじめまして。ウルタード国、第二王子のダミアンともうします」

ちゃんと言われなくてもラファに挨拶をするのね。偉いわ。

「僕はラファエルです。今日からこちらに住むことになりました。よろしくお願いします」

「……そうなのですか?」

「はい。ウルタードの学園に通うことになったんです」

?なぜダミアン様はショックを受けているのかしら。

「……マリアとこんやくするのですか」

「えっ?違うよ!?」

まあ、なんておませさんなの!

まさかのマリアに三角関係?

「……僕ね、他に好きな人がいるんだ。でも、絶対に好きになったら駄目な人。だからここに来たんだ」

内緒だよ?とラファが秘密を打ち明けた。

「教えてくれてありがとう。それから、ごめんなさい。あなたの話をを聞いていたから。でも、負けたくなかったんだ」

何だコレ。これが5歳と8歳の会話なの?

私達大人より恋愛スキルが上なのでは。

「いいよ。僕と友達になってくれる?」

「はい!」

胸の内を語り合った二人はお互いを信頼出来たみたい。

それからは三人で仲良く遊んでいた。

「ということが、あったのよ」

とりあえずアルに報告する。

「フフッ、マリアは愛されているね。それで、ルシアはどうしたいの?」

どうしたいか?私が?

「どうもしないわ。だってマリアの人生だもの」

助けを求められたら絶対に助ける。助言を求められたら必死に考える。

でも。

「選ぶのはマリア自身よ」

子供達にはどんな未来が待っているのだろう。

まさかまた王族が絡んでくるとは思わなかったけど。

「ルシアは格好良いね。大好きだよ」

「惚れ直した?」

「うん。君は私の唯一だから」

「あら、子供達は?」

「ルシアのおかげで大切なものがどんどん増えるよ。こんなにも温かい世界に出会えたのは全部君のおかげだ」

「ふふ、熱烈ね。でも私もよ」

貴方がいるから。

だからこんなにも幸せなんだよ。

「まあ、選ぶのはマリアだけど、泣かせる奴がいたら容赦しないけどね!」

「ハハッ、私もだ」

だって子供達は私達の宝物だもの。

「これからが楽しみね」

なにがあってもずっと二人で。

この愛しい世界を大切にしていこうね。

【end】