軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

46.独り善がりの愛

「アルフォンソッ、無事か?!」

この声は──

「リカルド様っ!!」

爆撃を受けたのは私達では無く国王軍だ!

「無事じゃないですっ!魔法が無効化されて治癒できません!あの黒い石柱を破壊してください!!」

やっと……やっと辺境軍が来てくれた……

「分かった。どうする、いっそ2階ごと落とすか?」

「……いや、国王に確認しなくてはいけないことがある。生かしたまま捕らえてほしい」

生かしたまま?確かに知りたいことはたくさんあるけど、アルフォンソ様は何を聞き出したいのだろう。

「総員、聞こえたか?目標は黒い石柱!国王は殺すな!

一班は援護射撃準備!これ以上建物に被害が出ない様に気をつけろ!2班はアルフォンソ達を守れっ!3班は俺に続けっ!行くぞっ!!」

お願い、急いでっ!

「アルフォンソ様、もう少しだから頑張って」

「大丈夫だ…、こんな所で死ねないよ…」

青白い顔、指先が冷たい。呼吸だって……怖い……

「落ち着いて……リカルドを信じて……アイツは、強い」

「……はい!」

怪我人に慰められてどうするの。しっかりしなきゃ。

「すごい……」

リカルド様は本当に強かった。そして辺境軍も。

「もう少しです!あとちょっと!」

「うん、魔法……使えるようになったらココ、治して。ごめん、女性の顔に傷を付けた」

冷たい指先が頬に触れる。傷があるのだろうか。まったく気が付かなかった。

「そんなの舐めときゃ治ります!大怪我してる人が何を言ってるのよ!自分の心配をしなさい!!」

「…ふふ、ごめん」

全然悪いと思っていない顔だ。あとで説教だ。絶対に説教してやるんだから!

だから……お願い、生きてよ……

「もうすぐ魔法が使えるようになる。それは国王軍も同じだ。シールド準備。捕縛魔法も。スピード負けするなよ」

「「はいっ!」」

「あと、死にたくなかったら国王には攻撃するな。あの人の防御魔法はたぶん守るだけじゃない」

「!っ、分かりました!」

「壊れました!!」

やっとだ!

「治療開始します!」

焦ってはダメ。慎重に正確に素早く!

「ルシア、完治じゃなくていい。動ける程度まで頼む」

「……分かりました。ですが、かなり血を失っています。急に動かないで。……死にかけたのよ」

分かってる。ここが正念場だ。のんびり治療している場合じゃない。でも本当に危なかった。出血性ショックの症状が出ているくせに!

「セシリオ、ガランさん、殿下の移動を手伝って下さい。自力歩行は無理です。アルフォンソ様、嫌とは言わせませんよ。こんな時に格好つけても仕方がないでしょう?」

「怖いお医者様には逆らいませんよ。二人とも頼む。そろそろ制圧出来そうだ。行こう」

「はい、殿下」

リカルド様達が強かったのもあるけど、国王軍がすでに戦意を失っていたようだ。

目の前で王妃様が自決したのだ。国王の正義を信じられなくなったのだろう。

「……リカルド。一応まだ国王だから踏み付けるのはどうかな」

「俺は捕縛術は苦手だ。それにコレの防御魔法は厄介なのだろう?下手に魔法は使えん」

「うん、合ってるよ。母上がだいぶ術を壊してくれたからね。あとどれだけの物が残っているのか……教えていただけますか、父上」

此処にはもう国王の味方はいない。

「……オフェリアを返せ」

「質問に答えてくれたら、お二人仲良く同じ墓に埋葬してさしあげます。

私は貴方が大嫌いだが……母は今でも愛していたみたいですから」

どうしてこの男を愛せるのだろう。

国を巻き込み、自分を騙し、己の子供すら私欲の為に殺そうとする気狂いなのに。

……愛って怖いな。

「ねぇ、貴方は何がしたかったの?このまま皆を殺して、貴方を理解することのない、自分で考えて行動する事さえできない操り人形だらけの王国の王であり続けて何が楽しいの?」

こんなに巻き込まれたのだもの。私だって聞く権利があるよね?

「……オフェリアが……側に居るはずだった」

「………は?」

「オフェリアと二人、理想の王国で永遠の幸せを手に入れられるはずだった!だって彼女も望んでいた!だからたくさんの魔法を私に与えてくれたのだ!」

「……馬鹿なの?オフェリア様は貴方に愛されたいだけだった……貴方とアルフォンソ様と三人、幸せに暮らしたかっただけよ!」

「うるさい!ソレは不要だっ!私からオフェリアを奪う悪魔だ!」

意味が分からない。この人の愛は何?だって愛しているのに言動も心も縛り付けて閉じ込めて……愛でるだけの人形を愛してる?

「アンタ気持ち悪い……独り善がりの変態じゃない」

いっそハゲにしたかったけど、守護魔法がどう反応するか分からないから出来ない。残念だ。

「お前なぞに私の崇高な愛が分かるかっ!」

「……もういいよ、ルシア。たぶん、いくら聞いても私達には理解できないし、もう理解する必要もない。

貴方は絶対に死罪以外の道は無いのだから」

妻への気持ち悪い執着心で子供を悪魔だと言うなんて……気狂いだと分かっていても傷付かないはずが無い。

「ただ、死刑にした途端、こちらも巻き込まれるのは御免です」

「ガラン、解除出来そうか?」

「そうですね、王妃様のお蔭である程度は。ただ、最低限のしっぺ返しはありそうです。……これはもともとは同じ様に相手も殺す術ですね。解除も最後までやるとこっちが死にます。えげつないな」

「餓死なら?」

「……国王が犯人だと思う人物が巻き添えです。自死でも同じです。とりあえずしっかり拘束しましょうか」

何それ……どう殺しても誰かが巻き添えで、コイツが恨むのってアルフォンソ様しかいないじゃない!

「ハハハッ、ザマァみろアルフォンソッ!貴様だけを幸福になどするものかっ!」