軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

44.無効化

『助けてぇ〜っ!!私は無関係なウルタード国の人間なのに殺されるぅ〜〜!

偶(・) 然(・) 心優しい王太子殿下が助けて下さったけれどっ!国王軍が無差別攻撃しやがって怖いです~~~っ!!』

もう喋れるとこまで叫んでやる!

『長年監禁されていた王妃様が真実を話せないように縛りの魔法を掛けられているのを知って、命がけで救出しただけな「ブツッ」

残念。魔法を解かれた。

「よくも!その様な嘘をベラベラとっ!」

「何を言っているのよ、すべて真実でしょう!

あなたこそ何を平然としてるのかしら。自分が無差別殺人の犯人グループの一人だと理解してないのっ!?」

「なんだとっ!?」

「武装していない一般人を虐殺したあなた達に言ってるのよ!ここは戦場じゃないわっ!これはただの人殺しでしょうっ!!」

「!」

命令されたらなんでもやるなんてどれだけ愚かなのよ!

「はい、ルシアストップ」

ただの口喧嘩になってきたのをアルフォンソ様に止められる。

「国王軍隊長ガセト殿に問う。私達の罪状は何だ?」

「国王陛下への謀反です」

「証拠は?」

「現に今、辺境軍が攻めてきているでしょう!」

「順番が違うな。母上は20年近く縛りの魔法を掛けられ軟禁。前辺境伯の暗殺。王太子妃を拉致強姦。これらの方が先だ。

我々は母上と王太子妃の救助、そして辺境に掛けられた魔法の解呪を求めて来ただけ。

お前達は国王に利用されるだけで自分で考える頭を持っていないのか?

現状を見ろ!ここにいるのは王妃と宰相だ!彼等が私と行動を共にする理由は何だ?

こんな虐殺を命令するような国王が本当に正義だと思うのかっ!」

国王軍に動揺が走る。今まで正しいと思っていた行動に違和感を覚えたようだ。

「もしかして洗脳とかもしちゃう系?」

「軽い催眠効果が王の命令にはあるのかもしれません。どこまでも腐った男なので」

エスカランテ様が辛辣だ。でも本当に腐ってる。早く可燃ごみとして回収廃棄してしまいたい。

それは突然のことだった。

「ルシアっ!!」

それまで国王軍隊長を説得していたアルフォンソ様が突然振り返り必死の形相で私の名を──

ダダダダダッ!!

射撃音が鳴り響く。

……痛い……

私は飛び込んで来たアルフォンソ様に抱え込まれ、勢いよく床に転がった。瓦礫に突っこんだ為あちこちに痛みが襲う。

それでも頭はアルフォンソ様の腕に守られて無事だ。

「っ、アルフォンソ様、ありがとございます」

私が撃たれるのを察知して助けてくれたのだろう。あのままでは痛みを感じることもなく死んでいた。

痛む体をゆっくりと動かし起き上がる。

指先に何か温かい液体が触れた。

「……え」

痛むけど、そんなに大きな傷は無いはず……

「アルフォンソ様っ!」

私を庇ってくれたせいでアルフォンソ様が!

「嘘!どこ?何処を撃たれたのっ?!」

「……大丈夫だ。致命傷じゃない」

「いいから診せなさい!」

「今から死ぬのに治療か?」

悪意に満ちた言葉が聞こえた。

声がした方を見る。豪奢な衣装に身を包んだ男性が立っている。

───あれがエルディア国王か。

「貴様のような小娘にここまでしてやられるとは思わなかったが……ソレに傷を負わせる隙が出来たから良しとするか。このまま仲良くあの世へ逝くがいい」

「残念!死ぬわけ無いでしょう?すぐ治すわよ!」

腹立つ!アルフォンソ様をソレ呼ばわりするなんて!!

でも今は急いで治療しなきゃ、

「駄目だ、ルシア!魔法が使えない!」

セシリオが悲痛な叫び声をあげた。

「うそ……」

慌てて治癒魔法を掛ける。……駄目だ、発動しない!

どうして……どうして?!こんなに血が流れているのに!!

「……落ち着くんだ、ルシア。母上の館と同じだ。魔法が無効化されている」

「落ち着けるわけないでしょう!!」

急いで傷口を圧迫する。弾は抜けてる。でも抑えるだけでは無理。傷口を縫わないと、

「オフェリアとエスカランテはこちらに。お前達はまだ必要だ。他はこのまま殺せ」

くそジジィ!お前が死ねよっ!

魔法が使えない、治療道具も時間無い!

どうすればいいの?!

「これ程の事件をどう揉み消すおつもりですか」

オフェリア様が私達の盾になるように立ち、国王に毅然と話し掛ける。

時間を稼いでくれるなら。急いで服を裂き、簡易の包帯を作る。肩は掠った程度だからまだいい。問題は足。貫通しているけれど出血がかなり多い。血管を損傷しているかもしれない。

止血しながらアルフォンソ様に小声で話し掛ける。

「魔法の無効化はどの様な道具を使うのですか?」

「……館に設置してあるものはかなり大きいよ。回路が難しいからあまり小さくは出来ないんだ。だけどここに持って来たということは研究が進んでるね。

それでも……ああ、国王の右後ろ。お抱え魔法士の後ろにある石柱みたいなやつ。たぶんアレだ」

本当だ。いかにも怪しいこの場に不似合いなもの。

「あれを壊せば魔法は使える様になるんですね?」

問題はどうやってやるか。

魔法が無い今、私達には武器が無い。

「この事件の犯人はそこにいる王子と小娘だ。王子はその下品な女に 唆(そそのか) され、王位簒奪を企てた。故にここで葬り去るのだよ。

分かったらそこを退きなさい。怪我をしたくは無いだろう?」

「……あなたの呪縛を解かれた私が黙っているとでも?」

「何の事だい、オフェリア。あぁ、可哀想に。君はその女に洗脳されてしまったのだね。だがもう大丈夫だ。私が助けに来たのだから。

後で治療をしよう。そうしたらまた、私を慕う王妃に戻れるよ。そうだろう?」