軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14.すべてを捨てる覚悟

「私と彼とのことなのに、なぜクラウディア様の許可が必要なのですか?」

「なんですって?」

「私と彼は結婚を誓った恋人同士です。お互いに思い合い、両親の許可も得ています。それ以上に必要なものなどないですよね。大きなお世話ですよ」

「あなた!王太子妃に向かって無礼ですよ!」

「これのこと、もうお忘れですか?」

誓約書を指差す。書いてもらって正解ね。

「それに、本当に彼以外必要ないのであれば王女などやめてしまえばよかったでしょう。

そうしたら政略結婚は無くなりましたよ。次にまわってくるマグダレナ王女は迷惑でしょうが」

「な、そんなことできるわけないじゃない!」

「なぜです?彼以外いらないのでしょう?

ならば重いだけの身分など捨てて彼に飛び込めばよかったんです。

そこまでの覚悟があればセシリオも 絆(ほだ) されたかもしれませんね」

あら。すごい顔。

「……お前は私に平民になれと言うの」

「そうです。どうしてもセシリオがいいんでしょう?だから、アルフォンソ殿下との結婚がお嫌だったのでしょう?なら平民になるしかありませんよ」

あれも嫌、これも嫌と 我儘(わがまま) ばかりのお姫様。そんな根性無しに負けるわけにはいかないわ。

「あなたの一番はセシリオじゃない。あなた自身ですよ、クラウディア様。

セシリオの為だとしても平民にはなれないのでしょう?綺麗なドレス、美味しい食事、皆が敬う身分。

彼の為にどれか1つでも捨てられますか?」

あなたに出来るはずがない。

「……どうして平民になることがセシリオのためなの!そんなの関係ないじゃない!私は王女よ、彼はその護衛騎士よ!」

そうですよね。あなたはどこまでも王女で、セシリオだって対等だとは思っていないのでしょう?

「では政略結婚を遂行なさってください。子を成すだけではありません。両国を結ぶ為の努力を。

アルフォンソ殿下に愛人がいる?そんなの根性で振り向かせなさい。いずれ王妃になる方が愛人ごときに負けてどうするのですか」

「他人のことだと思って!あなたはどうなの!愛する人と結婚できて、好きな仕事ができて、貴族のままでいられるじゃない!」

「あなたはすべてが不幸なのですか?かなり恵まれているのでは?気に入らないのは結婚相手だけでしょう」

こんなに甘やかされて不幸だと 宣(のたま) う意味が分からない。

グラセスから送られた二人を見せてやりたい。命をゴミのように扱われる、不幸とは彼等の事だ。

あんなに苦しい思いをしていた時に、あなたは好きだのなんだのと悲劇のヒロインぶって、セシリオに慰められながら過ごしていたなんて。

あなたこそ10年位辺境で働けばいい!

「ところで、クラウディア様はセシリオをどうしたいのですか?このままでは彼は騎士ではなく男娼です。一番好きだと言う割に扱いがひどいですね。

まさか、自分に愛されていることが最高のご褒美だとか思ってます?」

「あなたは!本当に失礼な女ね!!」

「純粋な疑問ですよ。お答えください」

「……彼には悪いと思っているわ。でも、私達は思い合っているの。仕方がないじゃない」

本当に気持ちが悪いわね。よくここまで自分の作った悲劇に酔えるわ。セシリオはどこに絆されたの?彼の気がしれないわ。

「それで?とりあえずアルフォンソ殿下の子供を産んで?それからは何もせず王宮の奥底で二人で朽ちていくおつもりですか?」

「……え?」

「当たり前でしょう。役に立たない人間にいつまでもお金を掛けていられません。子を産むのは最低条件ですよ。そこまでしか働かないなら、その後は病気になっただのと理由を付けて隠し、そのうちもっと役に立つ新しい妻を迎えるでしょうね。

ああ。でもたぶん、セシリオはあなたに付けてくれますよ。よかったですね」

まさか、こんな生活がずっと続くと思っていたのかしら。

確かにエルディアは男性社会で、王妃は表には出ない。だからといって仕事もせず男娼とイチャイチャしてるだけの王妃などいらないわよ。

「あとたぶん、クラウディア様は国王陛下のお気持ちを勘違いしてらっしゃいます。

陛下がセシリオを付けたのは、異国で寂しい思いをしないように、それと想い人ときちんとお別れできるように。それだけです。

だって、陛下はセシリオに、クラウディア様が王太子殿下との子を授かれる様に上手く誘導しろとしか指示をしていないみたいですから。

あなたを男として慰めろなんて一言も言っていないんですよ」

知らないと言いながら、カハールがペラペラと喋っていた。

きっと、クラウディア様の侍女の中に買収したか子飼いの者が紛れているのでしょうね。

それは彼自身が動いているのか、宰相閣下の指示なのか。

でも、アルフォンソ殿下も怪しいと思っている。

本当は中身が足りないクラウディア様を早めに降ろしたかったのではないかしら。

ウルタードとは結婚だけでもじゅうぶん利益になる。数年したら有能な妻を迎えるつもりだったとか?

けど、愛人がいる話も嘘っぽいわよね。お互いに愛人がいてもいいなんて、セシリオを恋人にしやすくする為の嘘じゃないかな。

ほら面倒くさい。だから私は平民でいいって言ったのに欲をかくから。馬鹿セシリオめ。