軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.誓い

可愛いなぁ。目をキラキラさせてる。

でもね、子供だからって嘘はつきたくない。

「ありがとう、ラファ。私を望んでくれて本当に嬉しい。でもね、あなたと結婚はできないの。ごめんなさい」

「なんで?どして? らふぁきらい?」

「まさか!大好きよ、ラファ」

ぎゅうぎゅうと抱きついてくる。やっぱりお母さんと混同してるのかな。

どう説明しようかと思案していると、まさかのリカルド様から助け舟が出た。

「残念だがラファ、ルシアには結婚したい相手がすでにいるんだ」

「え~!」

「結婚の誓いは絶対に破ったら駄目なんだ。だから諦めような」

「ちかい?」

「そう。約束よりもっと凄いやつだ。ルシアを嘘つきにしたくないだろ?」

子供相手でもちゃんと話してくれてる。リカルド様のこういう所、すごいなって思う。

「ルシアは素敵な女性だ。出会うのが遅くて残念だったな。本当に好きなら困らせていないで、幸せを願ってあげなさい」

「……ちかいってなに」

あ、そこからか。

「誓いは、自分への約束だ」

「わかんない」

「そうだな。例えば、テーブルの上にたくさんのチョコがある。でも、ラファはすでにお菓子を食べたから今日はもうおしまいってルシアに言われてるんだ。でも、部屋には誰もいない。誰も見てない。チョコもたくさんあるから1つ減っても分からない。さあ、どうする?

でも、本当に誰も見ていないと思うかい?」

ん〜?と首を傾げて考えるラファ。

「だっておへやはらふぁだけでしょ?」

「そう、ラファがいるじゃないか」

「?」

「何かする時、誰が見てなくてもラファ自身が見ている。良いこと、悪いこと、何をするにも自分が見てるんだ。わかるか?」

「うん」

「だから自分に誓うんだ。必ずその約束を守ると。誰が見ていなくても、自分自身がそれを見てる。

だからルシアもラファが子供だからと嘘をつかないだろう?好きな人がここにいなくても関係ない。約束したルシア自身が見てる。だから絶対に好きな人を裏切らない。素敵だね」

「……うん」

「だからラファも約束。本当に好きならどうしたらその人が幸せになれるか考えよう。

気持ちを伝えるのはいいよ。勇気があってすごいことだ。ルシアも嬉しいって言ってただろ?じゃあ、次は?」

「……わがままいってごめんなさい」

「うん、よくできました」

そう言って、優しくラファを抱きしめる。

素敵な二人だ。よかったね、ラファ。ご両親は逝ってしまったけど、こんなにあなたのことを考えてくれるリカルド様がいる。

「尊いです、本当に尊敬します!!

私、イリス・エスパルサはお二人を主として仕えることが出来て本当に光栄に思います!一生お護り致します!!」

「え、イリス?なんで泣いているんだい?」

ずっと黙っていたイリス様は歓喜に震えているようだ。クールに見えて熱い人だった。

確かにふたりにお仕えできるって羨ましい。1年だけなのが寂しいなぁ。

◇◇◇

やっと王城に着いた。リカルド様は謁見に向かわれた。私はもし必要があれば呼ばれるくらい。ラファはただいまお昼寝中。

私は皆と別れ、まずはカハールに会うことになった。

「お久しぶりです。お元気そうでなによりですが、こちらにはなぜ?」

「ごきげんよう。分かっていることをわざわざ説明する必要があるの?面倒だからそういうのやめてくれるかしら」

憎たらしいカハールを睨みつける。

「あなたは本当に貴族らしくありませんね」

「えぇ、本心を隠してやんわり話してる間に患者の病状が悪化したらどうするの?

間違いが起こらないように正しく言葉を伝えるようにしてるわ」

貴族の話術なんて知らない。私はしがない男爵令嬢よ。だから何?あなたに迷惑かけた覚えはないわ。

「クルス卿は勤務中ですよ」

「24時間ずっと働いてるの?そんなわけ無いでしょう。休憩は?食事は?睡眠は?取り次げない理由は何。婚礼は終わったでしょう」

「……分かりました。このままお待ちください」

しばらく待つと、今から案内してくれると言う。ただし、絶対に声を発するなと。

怖い。先に進みたくない。でも知らないままではいられない。だって私には知る権利がある。

案内されたのはどう見てもセシリオの部屋でも、応接室でもなかった。

そっと扉が開かれる。

何の物音もしない。でも、生体反応が二つ。こんな時、この力が 疎(うと) ましい。

ベッドの上に抱き合って眠る二人の男女が見えた。

クラウディア様を抱きしめて眠るセシリオだ。

……まるで大切な宝物みたいね。

いつから?いつから私は裏切られていたの。

約束通り、私は静かに部屋を出る。無言で来た道を戻る。そして、

「カハール、知っている事をすべて話しなさい。嘘偽りだと分かったら本当に毛根死滅魔法を掛けるわよっ!」