軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第61話 見た目以外は完全に主人公

「それでは最後の宝箱を開けてみましょう」

〈ごくり〉

〈攻略報酬は最後に開けるやつが最も高価値ってジンクスあるからな〉

〈そんなん初めて聞いたんだがw〉

〈ジンクス云々はともかく、ニシダは持ってる男だからなー。あり得るでー〉

〈確かにニシダはそういう男だ〉

「なんか変な期待されてますが……別にそんな主人公タイプの人間じゃないですよ」

〈見た目以外は完全に主人公やろw〉

〈だよな、見た目以外は〉

〈うん、見た目を除くとな〉

〈お前らやめてやれwww〉

〈大丈夫、ニシダはイケオジ(笑)〉

どうせ俺は見た目からして冴えないおっさんだよ……。

「じゃあ、開けますねー」

ガチャリ。

「っ!?」

宝箱の中から強烈な光が弾け、俺は思わず目を背けた。

〈何だこの光!?〉

〈何かの演出か?〉

〈眩しい!〉

〈目が、目がぁ~~っ!〉

〈目が、目がぁ~~っ!〉

〈目が、目がぁ~~っ!〉

「こ、これは……」

ようやく少し光が収まってきて、宝箱の中にあるそれを目にした俺は思わず息を呑んだ。

瓶だ。

ただし、ポーションなどが入っているのとはデザインが違う。

さらに注目すべきは、瓶の中の液体である。

黒色の中に無数の煌めきが散りばめられており、それはまるで宇宙に浮かぶ銀河のよう。

〈もしかしてエクスポーション?〉

〈それってこの間、ニシダが使ってたやつだろ?〉

〈こんなん見たことないんだが?〉

〈すごく奇麗だな。神秘的な感じ〉

……これはマズイな。

俺は内心で呻きながら、素早くその小瓶を隠した。

「えーと、これは多分、ポーションの一種だと思います。今は詳細が分からないので、地上に戻ってからどこかで鑑定してもらおうかなと」

〈ニシダも知らないやつか〉

〈鑑定結果が分かったら教えて~〉

〈てか、今のエリクサーじゃね?〉

〈エリクサーって、ポーション系のいわゆる治療薬を遥かに凌駕するっていう万能薬のこと?〉

〈え、マジ? 飲むと先天的な病気すら治せるっていう?〉

〈寿命を10年延ばすとも言われてる〉

〈10年若返るって説も〉

〈記録に残ってる範囲では過去に二つしか見つかってない激レア。なおどちらも割と人がたくさん死んだ〉

〈おいおいおいおい、そんな物騒なやつなんかよ〉

〈だから慌てて隠したのか……〉

〈あっ(察し)〉

〈これはあかんやつや〉

〈あんまり余計なこと書かない方がいいかも〉

〈争奪戦の勃発は不可避?〉

察しの良い視聴者がコメント欄に書き込んでしまっている通り、この瓶の正体はエリクサーだ。

本来なら地下51階以降の冥層でしか手に入らないはずのものだが、迷宮暴走中の強化ボスの討伐報酬だったためか、地下30階の深層で入手してしまった。

こいつをどんな手を使ってでも入手したがる連中がいくらでもいるだろう。

その度合いは恐らく、先日の「不死鳥の羽」のスキル書の比ではない。

一方で、正直俺にはまったく必要のない代物だ。

別に長生きしたいわけじゃないし、若返りたいという願望もない。今のところ障害や持病があるわけでもない。

地上に戻ったら管理庁に買い取ってもらうとしよう。

「はい、それでは今日の配信はこんなところで。また次回の配信日が決まったら告知します」

〈今回も楽しかった〉

〈相変わらずのボリューム〉

〈満足度高杉〉

〈一度の配信とは思えないよなw〉

〈チャンネル登録よろしくー〉

〈みんなチャンネル登録してね〉

〈グッドボタンでの評価もよろしく!〉

〈ニシダの代わりに視聴者が言うの草〉

〈視聴者に媚びないニシダかっこよ〉

〈そもそも収益化してないからなニシダ〉

〈マジか勿体な〉

配信を終了させた俺は、転移ポータルを使って地上へ。

「ダンジョンから帰還しました」

「お帰りなさい! 配信、拝見していました! 井の頭ダンジョンの攻略、おめでとうございます!」

窓口にいる管理庁の職員に声をかけると、20代半ばくらいの若い男性が対応してくれる。

名札には「山根」と書いてあった。

探索者は必ず帰還すると窓口で報告をしなければならない。

入手したダンジョン素材もここで査定してもらい、その場で買い取ってもらったり、税額を計算してもらったりするのだ。

俺のことが気になるのか、他の職員たちまでも集まってくる中、持ち帰った素材を提出する。

「地下29階で手に入れたバナナです。税額の計算をお願いします」

実は道中でバナナカレー用に採っておいたのだ。

「ば、バナナだけ、ですか? 深層の魔物を大量に倒されていたかと思いますが……」

「そうですね。特に食べると美味しそうな素材はなかったので」

「深層の魔物素材なんて、どれも貴重ですごく需要があるんですよ!? 持ってきていただけたら高額で買い取りさせていただくのに……っ!」

なんかめちゃくちゃ驚かれてしまった。

他の職員たちも呆れたような顔をしている。

「まぁ他のダンジョンでも同じようなことを言われます。でも別にお金のためにやってるわけじゃないんで」

バナナの査定額はたかが知れているので、税額も平和なものだった。

「あとは攻略報酬ですね」

続いて俺は手に入れた攻略報酬について申告した。

こちらはありがたいことに税金が免除される。

腕輪、脱出用結晶、盾、スキルの書は、俺がそのまま所有するため報告だけだ。

「それから魔石ですね。買い取ってもらおうかなと」

「こ、これは……配信でも少し見ましたが、真っ黒ですね……」

専用の測定器で含有される魔力量を測ってもらい、その数値よって値段が変わってくる。

ちなみにこのサイズの平均的な魔石の魔力量は1000Mvほどである。

ピピピッ!

「っ!? じじじ、150000 Mvっ!? こんな魔力量の魔石、初めて見ました!」

より高性能の測定器で改めて正確な値を調べた後、支払い額が通知されてくるらしい。

なので、今はざっくりした金額だけ教えてくれた。

「恐らく……2~3億くらいにはなるかと……」