軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第46話 ネタバレ禁止だぞ

コメント欄でもツッコまれ、さすがにいきなり200体はやり過ぎかと思い直した俺だったが、

「わ、私は……やりたいかも……美久先輩と一緒に戦えるの楽しいし……それにもっと強くなりたい……(あと斧で魔物を仕留めていくの爽快感があって好きかも……)」

という恋音の一言で、さらに100体、追加することになった。

〈恋音ちゃんも脳筋で草〉

〈やっぱニシダの血縁者だな〉

〈見た目は似てないけど中身は似てるかも〉

〈そもそも三親等ってそこまで似ないけどなー〉

恋音は相変わらず楽しそうに戦斧を振るい、深層の魔物を絶命させていく。

〈なぁ、俺の気のせいかもしれんが、なんか恋音ちゃん嗜虐趣味に目覚めてね?〉

〈気のせいだよw〉

〈でも魔物の脳天叩き割るの、めっちゃ楽しそうじゃん〉

〈憧れの先輩と一緒に戦ってるからだろ?〉

やがておかわりの魔物もすべて片付け終わった。

「お疲れ様」

「やっと終わったぁ……。最初の100体のときより長く感じたよぉ」

「ふふ、そうですね……でも、良い汗掻けました」

〈美久ちゃんより余裕な恋音ちゃん〉

〈覚醒したばかりのはずだよな?〉

〈スキルのお陰かもしれん〉

〈新たに脳筋系のスキルを獲得したのかもなwww〉

俺は疲労困憊の二人にポーションを渡す。

見たところ怪我をしている様子はないが、ポーションには傷を癒すだけでなく、疲労を消してくれる効果もあるのだ。

「どうだ? 強くなった感覚はあるか?」

「う、うん、あると思う。始める前より、この斧がすごく軽いし。何回かレベルアップしたような感じがした」

「……確かに魔力量が段違いになっているな」

「分かるの?」

「大よそはな」

相手の魔力を見れば、だいたいの力量が分かる。

俺の見立てでは、すでに中層の魔物と戦えるくらいになっているかもしれない。

もちろん、まだまだ中層なんて危険なところには行かせられないけどな!

「ケンさん、私はどうですか?」

「金本さんは……」

「むう(私のことは美久って呼んでくださいって言ったのに……)」

「え?」

金本美久が少し恨めしげにこちらを睨みながら口を尖らせているが、俺にはその原因がまったく見当もつかなかった。

よく分からないけど、なんか急に嫌われた……?

「ええと……恋音ほどじゃないが、間違いなくレベルアップしてる」

金本美久はそろそろ下層でも通用しそうだ。

「ただ、先ほども同じような話が出たが、パワーレベリングでのレベルアップはあくまでステータスを上げるものだからな。戦闘そのものの経験値が増えたわけじゃないから、そのあたりを勘違いしてはダメだ。これまで通り、地道に攻略を進めていくように」

この点は何度も言い聞かせておかないとな。

俺は探索記録を更新してもらいたくて、パワーレベリングを施したわけではない。

より安全にダンジョン配信ができるようになればと思っただけだ。

幸い本業はアイドルだし、それほど無茶をするとは思えないが。

加賀マネージャーもいることだし。

「さて、そろそろ地上に戻るとするか」

パワーレベリングを終えた俺たちは、地上を目指して歩き出す。

「帰りは行きと違って転移トラップは使えないんですよね?」

「そうだな。だから基本は地道に戻らないといけない」

さすがにここから地下30階まで行ってボスを討伐し、転移ポータルで帰還するのは難しい。

普通に帰る方がよっぽど早いだろう。

「ただし、一つ裏技がある」

「え、そんなものが?」

「せっかくだし、そのルートで行ってみるか。ネットに載ってた情報だし、間違ってる可能性もあるけどな」

〈なんだろ?〉

〈これは気になる〉

〈ただ帰るだけだとさすがに視聴者も退屈だろうし、いいアイデアだな〉

〈もしかしてあの方法?〉

〈ネタバレ禁止だぞ〉

探索者の中には知っている人もいるだろう。

普通にダンペディアとかにも書いてたりするしな。

ちなみにダンペディアというのは、ダンジョンに関する情報を誰もが自由に執筆・編集できるという世界最大のダンジョン攻略サイトだ。

日本語でもサービスが提供されていて、国内にあるほぼすべてのダンジョンの攻略ページが存在している。

ダンジョンは少しずつ内部構造が変わったりするのだが、古い情報のままだったり間違った情報が載っていたりと、完全に信用し過ぎると痛い目を見るので注意が必要だ。

たまに探索者を危険に晒すような悪質な誤情報があったりもするしな。

俺は上階へと続く階段を目指さずに、大きくそのルートを逸れていく。

「あったあった。ここだな」

そうして二、三十分ほど進むと、目的の場所を発見する。

〈ダンペディア見たけど、細かい位置までは載ってなかったぞ?〉

〈何でまったく迷わず辿り着けるんだよ〉

〈ニシダだから〉

〈うん、ニシダだしな〉

地下20階の端っこ。

聳え立つ壁の麓に存在したのは、古びた両開きの扉だ。

開けてみると、その先には広々とした空間が存在していて、

「グルアアアアアアアアアアアアアッ!!」

亀に似た巨大な魔物が待ち構えていた。

「こいつがこのダンジョンの隠しボス、タラスクだ」