軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第43話 わたくしに尊死しろと

「今回のコラボではパワーレベリングをやろうと思ってます」

〈パワーレベリング?〉

〈なんぞ?〉

〈あれだろ。筋肉があれば何でもできるってやつ〉

〈なるほどすべて理解した〉

〈やっぱ筋肉は最強だな〉

〈全然違うwww〉

〈パワーレベリングってのは低レベルプレイヤーが高レベルプレイヤーの助けで効率よくレベル上げすること〉

〈もちろん知ってた〉

〈お、俺だって知ってたぞ?〉

〈てか、ゲームと違ってパワレベできないんじゃなかったっけ?〉

〈そのはず〉

〈色々確かめた探索者がいたけど、無意味って結論だったな〉

〈仮に同行してても実際に活躍しないとほぼ経験値が入ってこないとか〉

「そうですね。コメントにも書かれてる通り、普通にやってもあまりパワーレベリングに意味はないです。数値が見れるわけじゃないので正確なところは分からないですが、イメージとしては経験値が何十分の一とか何百分の一とかになってしまう感じですかね。結局、地道に同格の魔物を倒していた方が早く強くなれるわけです」

〈でもあえてやろうってことは……〉

〈なんか裏技でもあるってこと?〉

〈マジか。また大バズりするんじゃね?〉

〈すげぇ楽しみ〉

〈てか、内容によっては探索者業界に革命が起こるんじゃないか?〉

「あ、いや、裏技というほどでもないかなと。……まぁ簡単に言ってしまうと、めちゃくちゃ格上の魔物と戦うっていうやり方です。要するに経験値が何百分の一にされても、元の経験値が膨大なら結構な経験値が入ってくるよってことですね」

〈お、おう……?〉

〈つまりどういうことだってばよ〉

〈分かるような分からないような?〉

〈日本語でおk〉

〈分かれよwww〉

「前置きはここまでにしましょう。そんなわけで、まずは地下20階まで行ってみますね」

〈は?〉

〈へ?〉

〈あ?〉

〈え?〉

〈ちちち地下20階!?〉

井の頭ダンジョンは地下30階まであるクラス6のダンジョンである。

その地下20階は、まさに先日、俺が暴走したダンジョンボスを討伐した場所だった。

「さて、無事に地下20階まで来れましたね」

一時は迷宮暴走で魔物が凶悪化していたが、すでにその影響はほとんど見られず、俺たちはここまですんなり辿り着くことができた。

〈マジで地下20階まで来やがったぞ〉

〈相変わらず転移トラップ見つけるの早すぎだって〉

〈ここの魔物でパワーレベリングするってこと?〉

「いえ、今回彼女たちに戦ってもらうのは、地下21階……深層の魔物ですね」

〈やべえええええええええええええ〉

〈何考えてんだあああああああああ〉

〈クレイジー野郎〉

〈いくら何でもパワー過ぎるってwww〉

〈初心者連れて深層はヤベェだろ!?〉

〈管理庁に怒られるぞ〉

〈やっぱニシダって頭のネジぶっ飛んでる〉

〈強くなり過ぎて常識を忘れた男、ニシダ〉

「あはは、だけど前回だって、地下20階まで行ったしね。しかもボスと戦ったし。私たちは見てただけだけど」

〈言われてみれば〉

〈平然としてる美久ちゃんもはや強者メンタル〉

〈けど今回は戦うんだろ?〉

〈見るだけと戦うのは違うって〉

〈初心者で深層の魔物と戦わされる恋音ちゃん……〉

「もちろん安全には十分配慮します。深層はイレギュラーが発生しやすいので、戦う場所はここ地下20階にするつもりです。まずは地下21階に繋がる階段のあるこの辺りに、安全な空間を作って、と」

俺は土魔法を使い、ちょっとした家くらいのサイズの巨大な立方体を作り出す。

内部は空洞になっていて、大人がしゃがんでギリギリ入れるくらいの入り口から入ることができた。

〈土魔法も使えるのか〉

〈何でもできるニシダ〉

〈テント忘れてもキャンプできるな〉

〈それは便利だ〉

「これは……相当な硬さですね」

加賀麗華が壁を叩きながら驚いている。

「かなり強固に作ってあるので下層の魔物程度では破壊できないはずだ。俺が深層の魔物を連れてくるから、三人にはこの中で待っていてくれ」

そう告げて、俺は階段を下りて地下21階へと向かうのだった。

◇ ◇ ◇

「はい、そんなわけで、ケンさんが戻ってくるまでここで待ちまーす」

三人だけ下層に残される中、間を繋ごうと金本美久は視聴者に呼びかける。

それから相変わらず緊張した様子の恋音に話しかけ、

「恋音ちゃんはまだ高校生なんだっけ?」

「そ、そうですっ……高校一年生ですっ(美久先輩に話しかけられたあああああっ! しかもこの狭い空間で、こんなに近い距離から!)」

「広島出身なんだよね?」

「は、はいっ! この間、こっちに上京してきて、今は寮に住んでますっ!」

「あはは、グループのね。あんまり公にはしてない話だけど」

「っ!? 今の、話しちゃダメなやつでしたか!?(あああああああっ! 変なこと言っちゃったあああああああっ! それにしても……美久先輩やっぱり可愛すぎいいいいいいいいいっ!)」

至近距離で推しと会話できるこの状況に、顔を真っ赤にする恋音。

それをミスのせいで紅潮していると思った美久は、優しくフォローする。

「ううん、大丈夫大丈夫。たぶんファンはみんな知ってるから。私も上京組だからちょっと前まで住んでたし」

「それって、美久先輩のいるタイミングだったら一緒に住めたってことですか!?」

「へ? う、うん、そうだけど……」

「(美久先輩と一緒に住みたかったあああああああああああああああああっ!)」

〈微笑ましい女子トーク〉

〈これは癒される〉

〈ダンジョン配信中とは思えないw〉

〈ここ深層のすぐ手前の下層なのにな〉

〈美久恋音ペア推せる〉

〈恋音ちゃん、たまに先輩見てる目がギンギンになるの何なん?〉

一方、そんな二人のやり取りをすぐ後ろで見ていた加賀マネージャーはというと。

「(尊いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!? ていうか、恋音たん可愛すぎなんですけどおおおっ!? これは美久に匹敵すると言っても過言ではないかもしれません……っ! まさかの二推し決定ですかあああああっ!? って、推しと推しのやり取りを間近で見れるとか、わたくしに尊死しろとおおおおおおっ!?)」

昇天しかけていた。