軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第39話 俺も心の弟子にしてもらおうかな

どうやら無事に暴走した深層ボス、多頭のフォレストドラゴンを撃破できたようだ。

しばらく待ってみても復活しないのを確認し、胸を撫でおろしていると、

「僕の完敗だあああああああっっっ!」

「?」

高橋竜牙がいきなりジャンピング土下座してきた。

「君……いや、あなたのことをライバル視していた自分が恥ずかしい! まさかここまで力の差があったなんて! 僕は完全に感服しました! どうか、弟子にしてください!」

涙ながらに訴えてくるが、当然ながら弟子なんて御免だ。

「弟子? 悪いが断る」

「そ、そんなっ……」

〈即答で草〉

〈そんなに簡単にニシダの弟子になれると思うなよ〉

〈一人取ったら希望者が殺到して収集つかなくなるだろうしなぁ〉

〈そもそもニシダは探索者として生きる気がないっぽい〉

〈てか、さすがニシダだよな。あの竜牙を屈服させるなんて〉

「がははははっ! 竜牙殿、気持ちは分かるが、どう考えても師匠は弟子など取らぬタイプである。吾輩のように心の師匠に留めておくがよい」

〈権蔵氏もニシダの弟子希望なのかよ〉

〈物わかりのいい弟子で草〉

〈権蔵マジでいいやつ〉

〈これから竜牙と権蔵は心の兄弟弟子ってこと?〉

「ヒャハハハッ! じゃあオレ様も弟子になるぜェ!」

〈もう一人増えたw〉

〈俺も心の弟子にしてもらおうかな〉

〈ニシダ師匠と呼ばせてください!〉

〈師匠おおおおおおおっ!〉

〈心の弟子が増殖してるwww〉

「ま、まぁ、勝手に思うだけなら好きにすればいいけど……」

俺たちはすぐに地上へ戻ることにした。

途中で何人か他の受験者たちを見つけたので合流し、最終的には十数人で帰還した。

自ら異常に気付いて引き返した者たちもいて、全員が無事にダンジョンから避難することができたようだ。

ちなみにボスを倒すと迷宮暴走は収まるが、一度増えた魔物はそのままなので、元の難易度に戻るまでしばらく時間がかかってしまう。

「えー、今回は異常事態が発生してしまったため、昇格試験は中止とさせていただきます。再試験については追ってご連絡させていただければ」

管理庁の職員が告げる。

「まぁ仕方がないか」

せっかく休日を潰して臨んだ試験だったのだが。

俺としては別にSランクに昇格しなくてもいいが、姪っ子と約束してしまったからな。

また再試験を受けなければならない。

「ちょっと待ってくれ!」

声を上げたのは高橋竜牙だった。

「僕たちは再試験で構わない! だけど、師匠も再試験というのはどう考えてもおかしいだろう!」

「え、俺?」

「吾輩もそう思う。どう考えても師匠はその規格外の実力を見せつけた。再試験は必要ないであろう」

「あたしも同意見よ」

「ヒャハハハ、オレ様もそうぜ!」

俺が驚いていると、他の受験者たちもまた高橋竜牙の主張に同調した。

「み、皆様のお考えももっともです。西田さんに関しましては、異常事態の解決に甚大な貢献をしていただいたこともありますので、当然それを踏まえ、試験の合否を別途、協議させていただければと存じます」

どうやら俺は特例で合格になるかもしれないらしい。

と、そこであることを思い出す。

「……あ、そういえば。一応、女王蜘蛛の糸腺を入手したんだが。ほら、これだ」

俺は女王蜘蛛の糸腺を取り出した。

「さすが師匠だぜ! まさかちゃっかり手に入れていたなんて!」

「ううむ、師匠には驚かされてばかりであるな」

「でも、ちょっと大きくないかしら? 前に一度だけ見たことがあるけど、こんなに大きくなかった気がするわ」

「確かにめちゃくちゃデケェなァ!」

しばし唖然としていた管理庁の職員が、恐る恐る告げた。

「これは……クイーンタラントラの糸腺ではなく……アラクネクイーンの糸腺かと」

「「「は?」」」

「あ、そうそう。よく分かったな。アラクネクイーンを倒して手に入れたものなんだ」

さすがは管理庁の職員である。

軽く素材を見ただけで見抜いてしまうなんて。

「同じ女王蜘蛛の糸腺だから構わないかと思ったんだが……やはりダメだったか?」

「いやいやいや、ダメなわけないですよ!? はい、合格! 西田さんは合格です! おめでとうございます!」

職員はなぜか半ばヤケクソ気味に叫んだ。

わっ、と受験者たちが湧く。

「師匠、おめでとうございます!」

「がははははっ! これはめでたいの!」

「ヒャハハッ、Sランクなんて、師匠にとっちゃまだまだほんの通過点だろうぜ!」

なんか俺以上に喜んでくれているんだが。

……これは言えないな。

管理庁に務めている姪っ子にお願いされたから、仕方なく今回の試験を受けたなどとは。