軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第22話 最強の露出狂

「な、何なんですか、この戦いは……?」

ボス部屋で繰り広げられる異次元の戦闘に、金本美久は声を震わせながら呻いた。

二人の動きは、覚醒者である彼女からしても、ほとんど目で追うことができない。

一瞬岩場の方で姿を見せたかと思うと、次の瞬間には砂浜の方にいたりして、まるで瞬間移動でもしたかのようだ。

暴力的な激突音が耳をつんざき、断続的に襲いくる衝撃波はしっかりと腰を落としていなければ簡単に吹き飛ばされかねないほど。

さらにSランク探索者の能力によるものか、猛烈な火柱があちこちで噴き上がるため、高熱で肌が焙られてしまう。

麗華が魔法で氷の結界を生み出してくれたことで、どうにか緩和することができたが、それがなければ干上がっていたかもしれない。

「これがSランク探索者……もはや兵器ですね……しかし、それと互角に斬り合っているなんて……」

「加賀さんには二人の動きが見えるの?」

「ギリギリといったところです。これだけ距離を取っていてなお、時折、見失ってしまいますが。近距離だと絶望的でしょうね」

Bランク探索者である麗華は、その動体視力も常人を遥かに凌駕しているはずだが、そんな彼女ですら遠距離でどうにか目で追えるレベルだという。

〈何が起こってんだ……〉

〈全然姿が見えなくてもすごい戦いだというのは分かる〉

〈これが探索者の頂点Sランクか……〉

〈もはや災害で草〉

〈それとサシでやり合ってる俺たちのニシダ〉

〈Fランクじゃなかったのかよ〉

〈やっぱり最強オヂ。惚れ直した〉

美久チャンネルのコメント欄もこの戦いに圧倒された様子で、画面の向こう側から彼らの困惑が伝わってくる。

〈どっちが勝つんだ?〉

〈全然分からん〉

〈予想できる次元の戦いじゃない〉

〈だよな〉

〈神々の戦いの勝敗を予想できる人間おる?〉

〈海外のブックメーカーで賭けが始まってるw〉

〈マジかw〉

〈さすが日本人とは感覚が違う〉

〈今んとこ天童奈々有利予想だな〉

〈どこでやってる?〉

〈知ってどうする? 日本からじゃ参加できんやで〉

ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!

「「っ!?」」

そのときひと際大きな音が轟き、砂浜の一部が爆発したかのように弾け飛んだ。

舞い上がった砂の雨が美久たちのところにまで降り注いでくる。

「がっ……くそがっ……」

砂の中に半身をめり込ませ、顔を歪めながら悪態をついているのは天童奈々だった。

〈天童奈々がやられたああああああああああああっ!?〉

〈うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!〉

〈Sランカーが負けた!?〉

〈マジか〉

〈祭りだ祭りだ!〉

〈ニシダやりやがった!〉

〈俺たちのニシダ!〉

〈ニシダは俺が育てた〉

〈てか、そのニシダはどこいった?〉

〈ほんまやおらん〉

「ケンさんは……?」

姿が見当たらず、美久は慌てて首を左右に振ってボス部屋全体を見回すが、やはりどこにもいない。

「まさか相打ち、ですか?」

「そんな」

麗華の言葉に、一瞬血の気が引く。

〈いやよく見てみろ。上だ〉

〈あ、ほんとだ! それっぽい影がある〉

〈よく気づいたな。砂煙で見えにくいのに〉

〈ニシダ飛んでるん?〉

コメントから少し遅れて、美久はハッと視線を上げる。

ボス部屋の高い天井、その近くに彼の姿があった。

「うーん、さすがに二十年近くもブランクがあると、このレベルの戦闘はキツイな」

舞い上がった砂煙のせいで見づらいが、余裕のある話しぶりからして無事のようだ。

〈二十年のブランク持ちがSランク倒せる?〉

〈意味不明で草〉

〈ほんとに何者なんだニシダ……〉

〈なんにしても無事そうでよかった。……ん?〉

〈あれ?〉

「ケンさん! ケン……さん?」

やがて砂煙が晴れていくと同時、美久は我が目を疑った。

なにせ、一糸纏わぬ全裸のおっさんがそこにいたのだ。

〈は?〉

〈わら〉

〈やば〉

〈ぎゃああああああああああああ!〉

〈うおおおおおおおおおおおおう!〉

〈放送事故www〉

〈ち〇こ丸見え〉

〈開放的〉

〈そして伝説になった〉

〈視聴者20万人の前でアレを見せつけるとか最強の露出狂〉

〈ニシダ神〉

〈一発BAN?〉

〈あっ、モザイクかかった〉

〈最近は自動でモザイク入るようになってるからな〉

〈モザイク遅くて草〉

〈モザイクもっと早く仕事しろよwww〉

〈アーカイブでもモザイク補正される〉

〈え、じゃあ、見返そうとしても無理ってこと?〉

〈モザイクてめぇ余計なことすんじゃねえええええええええええっ!!〉

〈ちなみにニシダの方のチャンネルならもっとアップで見えたぞ〉

〈裏山〉

〈おっさんのち〇こ見たいやつなんでそんなにいんだよwww〉

「きゃああああああああああっ!?」

思わず悲鳴を上げてしまう美久。

「美久っ、見てはダメです!」

一瞬遅れて気づいた麗華が慌てて両手で美玖の目を覆うが、もはや時遅しである。

〈美久ちゃん生で拝んだんか〉

〈リアクションが初々しいな〉

〈この反応は処女〉

〈おじさんのも見せてあげようかハァハァ〉

〈真面目に何でニシダ裸なん?〉

〈天童の炎で燃えたんやろ。よく見たら服の残骸がついてる〉

〈え、じゃあ奈々様も全裸?〉

〈耐性ある服着てるだろ。ニシダは普通の服っぽかったもんな〉

〈ニシダーーー!!!! はやく服きてくれーーーっ!!!!〉