軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

93.手心を

さてと。

贄川(にえかわ) は 咲耶(さくや) に任せ、俺は一人、ももかたちの元へと疾走する。

アスファルトを強く蹴り、夜風を切って進む。

『して、勇者よ。どうする? 魔力を 探知(サーチ) しようにも、異能者どもは魔力を持っておらんぞ?』

脳内に、魔王の呆れたような声が響く。

これが異世界なら探知は楽だが、こっちの世界の人間は魔力を全く持っていないからな。

「魔剣の魔力を辿ることは?」

ももかと 玉姫(たまき) は魔剣を――魔力を帯びた武器を持っている。

妖刀と違い、彼女らの武器は魔法の武器。すなわち魔力があるはずだ。

『残念じゃが、ももかたちの魔力はその……』

魔王が言葉を濁す。

察した俺は、ズバリと言い放つ。

「ああ、雑魚すぎて探知の網に引っかからないのな」

『我が言いにくいことを、ズバッと言いよって……』

ももかたちは魔剣使いへジョブチェンジした。

とはいえ、彼女らの魔力は俺ら異世界組と比べると、とんでもなく微弱だ。

ゆえに、魔王の広域探知スキルでは、ももかたちの魔力はあまりに小さすぎて感知できないのである。

例えるなら、マグロ漁船の網を、プランクトンがすり抜けていくようなものだ。

『主よ……その……もう少しこう……手心というものをな……』

「え、でもマジであいつらプランクトン並だろ?」

『事実だとしてもっ、それを 女子(おなご) に言うのはデリカシーがないのじゃっ!』

魔王が脳内で、ぷりぷりと怒っている気配がした。