軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ゲームフェイズ2:大広間4

7枚のカードが揃った。

……つまり、1人分の脱出の材料が揃った、ということになる。

「……が、特に何も起きねえな」

……しかし!四郎が何とも言えない顔をしている通り!8枚のカードが1つのエレベーターの中に集まっている今この状況でも!特に何も起きないのであった!

「俺は、7枚以上集めてエレベーターに乗れば、『大広間』か『アルカナルーム』以外への行き先が表示されるんじゃねえかと思ったんだがよ」

「ああ……成程。もしかしたら、その先でようやく『ダァト』が見つかるかもしれない、と……」

海斗が頷く。タヌキも、『なるほどなるほど!』とやっている。バカもとりあえず『よく分かんないけど分かった!』と頷いておいた。よく分かってないのに!

「だが今、こうして何も起きねえ、ってところを見ると、見当が外れたか?」

四郎は呟きながら、ぐるり、とエレベーターの中を見回す。

だが、室内には特に変化が無い。海斗が最初に寝かされていたのであろうベッドがあって、小さな机があって、アンティークなカンテラがある。カンテラの中の蝋燭は燃え尽きてしまっているのだが、まあ、つまるところ、特に変化が無いのだ!

「……あっ!」

だが、そんな中、タヌキが何かに気づいたように声を上げる。バカが『おお、タヌキが何かに気づいた!』と期待を込めてタヌキを見つめると……。

「そりゃそうですよ!だって今、『4人で』7枚を持っています!……もしかしたら、単に『1人が7枚同時に持っている』という状況にならないといけないのかも!」

タヌキは、尻尾をぴこん!と立てつつ、そう言ったのだった!

「あー……カード持ってる奴がバラけてるから、ってことか?」

「はい!そういうことです!いかがです!?」

四郎は『まあ、そりゃそうか……』と納得したらしい。海斗も、『まあ、それはそうだろうが……』と言いながら、ちら、とタヌキや四郎を見ていて……そして。

「あ、じゃあ樺島さんに集めましょう。はい」

「持っとけ」

「え!?え!?俺ェ!?」

何故か、四郎とタヌキのカードが、バカに差し出されたのであった!

更にそこに海斗も差し出してきたので、バカは『あわわわわわ』とカードを受け取る。

元々バカが持っていたカードもポッケから出して、8枚揃えて、手に持ってみる。

……そのまま、沈黙が室内を満たした。

何も!起きない!

「……何も起きないよぉ」

「だな。ってことは、エレベーターがどうこう、ってんじゃねえらしい、ってことか」

四郎が『じゃあ返せ』と言ってきたので、バカは『あい』とカードを返した。タヌキも『では私のも』と手を出してきたので、こちらも『ほい』と返した。そして海斗にも魔術師のカードを返そうとしたら、海斗には『いや、お前が持っていてくれ』と言われてしまったので、『うん!』と自分のポッケにしまうことにした。

……すると。

「……なんかよ、樺島ぁ」

「うん?」

「お前……これで素直に返しちまうあたり、人が好すぎるんじゃねえか……?」

四郎が、少し揶揄うような、それでいて笑みが隠しきれていない顔でそう言ってくるので……バカは、『えっ!?』とびっくりした!

「……今の、返しちゃいけないやつだったのかぁ!?」

「いや、そういうわけじゃ……」

バカは『じゃあどういうことォ!?』と混乱する!バカには色々難しい!色々難しいのだ!

「わかんねえよぉ!そういうの俺、わかんねえよぉ!ちゃんと言ってよぉ!」

「あー、樺島さん、『平服でお越しください』って書いてあったらTシャツで行っちゃう人ですか?」

「へーふくって何ぃ!?」

「平らな服、と書きます!」

「なるほどなぁ!確かにTシャツ、平らな服だよなあ!」

「物理的な話じゃないぞ樺島!」

……バカにはとても難しい話なので、バカは、『というかよく考えたら立体的な服って何ぃ!?アッ!?ヘルメット!?』と気づきを得ていた。

「……ま、お前がお人好し、ってことは分かった」

そうしてバカが『ヘルメットは平服じゃない服……』と、三回転半したことを考えていると、四郎がそんなことを言いつつ、『大広間』のボタンを押した。

「となると、後は……ま、デュオか」

「デュオさんですね!緊張しますね!うわー!緊張します!緊張!うわー!」

エレベーターが動き出し、その中でタヌキは『緊張する!緊張する!』とそわそわしている。

……この後は、大広間で皆と合流して、そして……デュオに話を聞く、ということになる。

デュオは、悪魔なのだろうか。タヌキの体を使っている以上、何も知らないということは無いだろうが……。

……バカは、タヌキと一緒に『俺も緊張してきた!』とそわそわすることになった。緊張とは、感染するものなのである。

そうしてエレベーターが大広間に到着し、ドアが開く。すると……。

「ああ、『1』のチームも戻ってきたか」

そこには既に、孔雀が居た。その横には、むつと五右衛門も居る。つまり、『5』のチームが一番乗りだったらしい。バカはちょっぴり悔しく思った!

「そっちどうだったー!?こっちはなー、なんか、頭良さそうな部屋だったから海斗がやってくれたぞぉー!」

「こっちは教皇を殺してきたわよぉー!」

「えええええええええええ!?なんかよくわかんねえけどすげえブッソウだなあ!」

バカは『誰かを殺しちゃったのか!』とびっくりしていたが、海斗がそっと『樺島。これはな、弱肉強食だ』と教えてくれたので、『そっかぁ……』と納得した。そして、見たことのない『教皇』に対して、『成仏しろよ……』と、天使らしからぬことを思うのであった。南無。

「さて。残るは『8』のチームだけど……遅いな」

「ヤエちゃん、大丈夫かしら……」

そうして、バカ達は全員揃って、『8』のアルカナルームに挑んだデュオと七香とヤエのチームを待つことになる。

バカは、ひょいひょいひょこひょい、とそわそわステップを踏みながら、特に意味もなく、ヤエ達が入っていった個室があったあたりをうろうろしている。

「おい、樺島。うろつくならもう少し離れたところにしろ。僕が居るあたりまで下がってこい」

「ん?分かった!」

「個室が出てくるところに居たら、個室が出てきた時、天井で潰されるぞ」

海斗からストップをかけられたバカは、『潰されちゃったら大変!』と、慌てて海斗の所へ戻ってきた。

……のだが。

「……そういやそうだな」

それを聞いていた四郎が、はた、と気づいたような顔をする。

「エレベーターが上がってきた時、エレベーターの屋根の上に乗れる。……で、その時、エレベーターの屋根の上に居たら……天井裏に、行けるんじゃねえか?」

ということで、『どういうことぉ!?俺、わかんねえよぉ!』と騒いだバカに、海斗からちゃんと説明があった。

「樺島。今、ここにある個室は全部、床から天井までしっかりくっついている状態だな?」

「うん!」

「だが、今、五右衛門さんの個室はこの通り、完全に床に引っ込んだ状態だ」

バカは床を確認した。『8』のアルカナルームへ向かうためにヤエ達が使用中の個室は、しっかり床に引っ込んでいる状態だ。バカはその床の上をゴロゴロゴロ、と転がって、『引っ込んでる!』と更に確認した。

「それで、ヤエさん達が戻ってきた時、ここの床はどうなる?持ち上がって、天井にくっつくだろう?」

……更に、海斗の話を聞いて、バカはようやく事態を理解した!

「つまり!個室が出てくる時、個室の上に居たら!」

「そう。天井裏に繋がるんじゃないか、ということだな」

バカはようやく事態を理解して、『おおおおー!』と歓声を上げたのだった!

「天井裏、となると……僕達が最初に居たのは恐らく、天井裏だろうな」

海斗は天井を見上げながら、ふむ、と考える様子を見せる。

「となると、『ダァト』もそこに在るんじゃないか、と僕は思う」

「すげえ……!」

バカは目を輝かせ、海斗に拍手を送った。ついでに、『最初に思いついたのは四郎のおっさん!』と、四郎にも拍手を送った。四郎は何とも言えない顔をしていた!

「よ、よし!んじゃあ早速、試してみようぜ!出口もそっちにあるかもしれねえもんな!」

そしてバカは、喜び勇んでソワソワし始めた。

もし出口が見つかったら、ひとまずタックルするつもりである。出口にバカ1人で勝てるのならば、カードの奪い合いなんてしなくて済むのだ!

「ま、待て。だったらヤエさん達に影響が無いようにしろ!他の個室でやれ!」

「だったら俺の個室、使えば?繋がってるアルカナルームは4つしか無いし、全部クリア済みだし」

「な、なんかよくわかんねえけどいいぜ!やろうぜ!」

……と、やる気のバカに、サポートの頭脳役が2人やってきてくれたので、バカは元気に準備運動を始めた。そのせいで床は凹んだ。海斗に『凹ませるな!』と怒られたので、バカはしゅんとして、それ以降は大人しい準備運動にした。

更に、準備運動を終えたバカは、孔雀が腕輪の準備をしているのを横目に、天井を見上げて……。

「天井……エレベーターがぶつかる前に穴とか開けといた方が、スムーズかなあ……」

……余計なことをまた思いついた!