軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50「捕まったんじゃね?」①

一日の授業が終わり、久しぶりの学園生活を送った夏樹は改めて中学校は面倒臭いと実感した。

新たな神々が教師をしていたり、クラスメイトのノリが良くなっていたりと、ファンタジーであることもその要因だ。

「ふわ。眠い。帰って昼寝しよう」

「なあなあ由良っち」

「片岡くん、距離感バグってね!?」

隣の席の片岡くんがフレンドリーに話しかけてくる。

以前の彼の記憶はあまりないのだが、話してみるといい子だ。

クラスにひとりはいるムードメーカー的な存在であり、好ましく感じた。

「いいじゃん、いいじゃん。ところでさ、由良っちって明日からも学校くるよね?」

「なんで?」

「いや、なんでっていうか、学校は来るのが普通なんだけど。えっと、そうじゃなくて、三原の問題があるだろ。松島さんのことも。由良っちって学校じゃ絶対にってほど絡まれてたじゃん。学校来たりこなかったりしているのはそれが理由かなって、みんな話しててさ」

「あー、三原……松島……? あ、はいはい。あいつらのせいで俺は学校に来られなかったんだよ!」

「……今、誰? みたいな感じで首を傾げなかった?」

「そんなことないよ!」

「そうかなぁ? まあ、でも、元気そうでよかった。今までの由良って、素っ気ないっていうか。三原の被害者とはそれなりに仲がいいみたいだけど、どこが線引きしているっていうか、なんていうかさ」

片岡は言葉を選んで、続けた。

「今日のホームルームみたいなはっちゃけかたする愉快な性格だとは思わなかったよ」

「あれ? 褒められてる?」

「褒めてる褒めてる! 由良っちって触れたら切る、触れなくても切る、なんなら切りにくるってくらい刃物みたいに取っ付き難かったから、ちょっと安心したよ」

「片岡くん」

「だからさ、また学校に来なよ。お昼も一緒に食べよう。昼休みも萌え萌え先生とバレーボールしようぜ」

「うん。ありがとう」

片岡は、夏樹を気にかけてくれているのだ。

彼だけじゃなく。

クラスメイトたちが、こちらを伺っている。

「バレちゃった? みんな由良っちのことを気にしていたんだよ」

「なんか、ありがとう」

「うん。これからは遠慮せず積極的に話しかけるし、遊びにも誘うね」

「おう!」

「由良っちが可愛がっている、三原の弟も一緒にさ」

「――ありがとう」

三原優斗を嫌う男子は多いというのに、弟の一登を同じに扱わない片岡に夏樹は感謝した。

クラスメイトたちと挨拶を交わして、夏樹は教室を出た。

心なしか、足取りは軽い。

中学校に通うことはあまり好きではなかったが、明日にまた片岡たちと何気なく挨拶することを楽しみに思う。

「――待っていましたよ、由良夏樹」

「――あ」

校舎を出た夏樹の前に、校門で憤怒の表情を浮かべている昼休みから放置していた謎の少女が現れる。

「やべ、すっかり忘れてた」

「………ほう。君のその根性は認めましょう」

夏樹はダッシュで逃げ出した。

魔力を使った全力疾走。

スマホを取り出し、ゴッドに電話をかける。

「もしもし?」

「もしもし、ゴッドゴッド?」

「はい。みんなのゴッドです」

「あのですねぇ、いつになったら星槍さんは戻ってきてくれるんでしょうか!? なっちゃん、ずっと待っているんですが!」

「夏樹くん……女性と女性の戦いに雑魚の男性が余計な手出しはしていけないのです」

「待って、星槍さんに何が起きてるの!?」

「まだ時間がかかるようですので、終わり次第そちらに帰っていただきますのでしばしお待ちを」

「ちょ、ま」

無情にも電話が切れる。

「くそ!」

「電話は終わりましたか?」

「ひいっ」

夏樹は再び逃げ出した。

しかし、回り込まれて腹パンされた。

「げふっ」

身体をくの字に折った夏樹は、力なくその場に倒れる。

少女はにこりと微笑むと、どこからか取り出したガムテームで両手足をぐるぐる巻きにすると、夏樹の身体を担ぎ上げた。

「ようやく話ができますね。ゆっくり、ゆっくりお話をしましょう」

「誰か助けてぇええええええええええ!」