軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

44「ルシファーな花子じゃね?」①

――天界某所。

ルシファー家の二階の奥の部屋は、ルシファー・花子の部屋だった。

花子は、ルシファー・小梅の姉であり、ルシファー・ 一心(ピュア) の妹でもある。

そんな花子は、グレーのスウェット上下を装備して、散らかった部屋で発泡酒を飲みながらSNSに罵詈雑言を書き殴っていた。

「……年収五百万の三十八歳が、この私に相応しいわけがないでしょ! なによ、喫茶店って! 私と会うなら最低でもホテルのラウンジでしょうが!」

花子は、婚活に焦る女性だった。

天使の中でもトップクラスであるルシファーの家系に生まれ、実力もその名に相応しいものを持つ高位天使である。

天使でありながら、他神話の神々に匹敵する実力を持ち、紀元前には小梅と共に期待された天使であった。

「私と結婚したいなら、年収二千万で高貴な血を引いて、同居の心配のない次男で、タワマンに住んでいるくらいじゃないとダメでしょ!」

しかし、そんな花子は現在モンスターになってしまっていた。

「――昔はここまでじゃなかったんだぜ?」

と、魔王サタンは哀愁を漂わせて語ったという。

「日本で変な影響を受けちまってな。なまじ、スペックが高いから高望みがやべぇんだよ」

何度かサタンが食事に誘うものの、長い長い反抗期のためか花子が応じることはなかった。

しばし放置気味だったが、ネットが普及してから花子は天使からモンスターになった。

どのような、とは説明しない。

しかし、天使からモンスターにジョブチェンジしてしまったのだ。

これだけなら、さほど珍しい話ではない。

問題はここからだ。

末の妹である小梅が、人間界で年下の少年と仲良くなった。

少々子供っぽいところがある妹だ。

友人として仲良くなったんだろうと、考えたが、SNSを見て違うと確信した。

「――雌の顔しやがってぇええええええええええええええ!」

花子はこの日、スマホを握り潰した。

後日、新しく買ったスマホで再びSNSを凝視する。

ラーメン屋で少年と顔を寄せ合って幸せそうにする小梅の写真があった。

親しい異性がいない花子にとって、嫉妬するのは十分過ぎた。

「……許さない!」

つう、と花子の頬に涙が伝う。

そんな時だった。

ピコン、とスマホが鳴ると、小梅からメッセージが届く。

『婚活に忙しいクソお姉様へ。――どやぁ!』

由良夏樹という人でありながら神々と互角に戦える少年とまるで初々しいカップルのような写真を大量に送ってきたのだ。

いくら妹でもやっていいことと悪いことがある。

「ぶっころしてやんよぉおおおおおおおおおお! 小梅ぇええええええええええええええええ!」

ルシファー・花子。

紀元前から生きる大天使。

――彼女が向島市の土地神になるまであと少し。