軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

79「戦いが終わったんじゃね?」

「はぁ……はぁ、はぁ……あー、限界すぎ」

アマイモンが意識を失ったことを確認すると、夏樹の痩せ我慢も限界に達した。

もう指一本も動かせない。

倒れることさえできない。

「――ようやった、夏樹」

「お疲れ様でしたっす」

小梅と銀子が両脇から肩を貸してくれる。

蒼穹の星槍も、少女の姿となった。

「……まさか聖剣が槍じゃったとは」

「星槍さんっすね」

「……面倒じゃから星子でええじゃろう」

「あんたらね……適当に名前つけないでくれる!?」

不満そうな顔をしていた彼女だったが、夏樹を見て優しい笑みを浮かべた。

「――よくやったわ」

「聖剣さんも……星子さんもありがとう」

「……星子さんって決定なの!?」

ははは、と夏樹が笑う。

小梅も銀子も聖剣さん改め星子も笑う。

「ちょっと星熊童子と被っちゃうっすねぇ」

「そう思うなら星子なんて呼ばないでよ!」

「槍子でええじゃろう」

「なんか響きが嫌!」

夏樹はふたりに引きずってもらいながら、仲間たちの元へ。

途中、首だけ振り返ってガープに声をかけた。

「おい、ガープ。アマイモンが起きたら魔王城に来いよ。一緒に帰ろうぜ」

「――っ、わかった。必ず伝える。由良夏樹! ありがとう!」

「おう」

軽く手を挙げ、再び引き摺られていく。

途中で気づいた。

「……なんか、初めに戦っていた場所から遠くね?」

「夏樹がアマイモンとノリノリで暴れながら移動しまくっとったんじゃろうが!」

「そうだったんだ? 全然、気が付かなかった」

「そりゃそうでしょうねぇ。夏樹くんもアマイモンさんもお互いのことしか見えてないようでしたっすからねぇ」

「戦いの余波に巻き込まれた魔族も人も多いんじゃぞ」

「……そっか。なんか魔族さんたちには悪いことしちゃったな」

魔族にも魔族の戦いがあっただろう。

夏樹はその戦いを邪魔をしてしまった可能性があることを申し訳なく思う。

が、すぐに切り替えた。

「そういえば、一登たちは?」

「一登はもちろんじゃが、メンヘラ女も無事じゃ。魔神の剣も一登がへし折って完全勝利じゃったぞ」

「まるで物語の主人公のような戦いでしたねぇ。水無月姉妹さんや円さんはもちろんっすけど、千手さん、征四郎さん、東雲さん、義政大先生の助力もあって事なきを得たっす」

「まあ、夏樹とアマイモンが全力を出したせいで防御に全振りしなきゃならんかったりしたが、まあみんな無事じゃ」

「夏樹くんのお師匠様が最後の最後で守ってくれたっす。ていうか、やばいっすね! あの力のぶつかり合いの力を、ほっほっほ、と笑って防げるとかどんだけっすかね!?」

「さすが師匠。魔王さんたちは?」

「あちらも大勝利っすよ。ブレイバーズ王国にひとり王子が残っているそうですが、ひとりくらい王族を残しておかないと敗北宣言させられないっすからね」

「殲滅は?」

「せんわ! と、言いたいが、人間次第じゃろう」

「そっか。じゃあ、遅かれ早かれだね」

一登たちが無事である事に安堵した。

杏も連れて帰ることができる。

絶望の神も倒した。

ブレイバーズ王国の面々も、もう数える程度しかいない。

あとは魔族に任せよう。

これで過去と決別とした。

「んじゃ、そろそろ地球に帰ろう」

「そうじゃな」

「そうっすね!」

一登たちが夏樹を見つけて駆け寄ってくる。

手を振り、応じた。

たった数日だが、異世界の日々は長く感じだ。

ようやく地球に帰れる、と夏樹は肩の力を抜いた。

夏樹たちの背後をあるく聖剣さんこと星子は、片割れである名無しに声をかけた。

「――ティッシュ必要だったでしょう?」

「ええ。今も鼻血が止まらないわ。理想の王子様が見つかるなんて、ディスティニーね」

「それはよかったわ。じゃあ、また機会があれば会いましょう。この世界で、元気でね」

「――は?」

「え?」

「何言ってんの? 付いていくに決まっているじゃない」

「あんたこそ何言ってんの。あんたの力なんていらないのよ」

「はぁ? 付いて行って私の理想の王子様に育てるって決めたんだから邪魔しないで」

「するに決まってるでしょう! 夏樹はもう十分過ぎるほど理想的よ!」

ごん、と星子と名無しが額をぶつけて睨み合った。