作品タイトル不明
51「アマイモンが戦うんじゃね?」②
「く、くはは! 絶望的だ! なんと絶望的だ! アマイモンくん! なるほど、君はそこまで絶望的に強かったのか!」
身体を再生させながらも、ダメージが抜けない絶望の神がふらつきながら戻ってくる。
「くぉら! アマイモン! 俺様の敵を取るんとはどういう了見じゃ!」
「小梅・ルシファー。今のお前では、絶望の神は手に余るだろう」
「なんじゃと? 余裕じゃけど!」
「そういうことにしておこう。だが、譲って欲しい。ウォーミングアップにちょうどいいのでな」
「しゃーないのぅ。どうしてもと言うのなら、譲ってやるとしよう」
「すまない。感謝する」
「まあ、俺様のほうが格上じゃからのう! 気にせんでええぞ! どうせおどれは夏樹にボコされて泣いて魔界に帰るんじゃろうからな!」
「――由良夏樹を信じているのだな」
「当たり前じゃ、ぼけぇ! 家族を、ダチを、相棒を信じとらんで誰を信じるんじゃ!」
「……そうか、そうだな。私が間違っていた。謝罪しよう」
「お、おう、素直でやりづらいのう」
アマイモンは、指を鳴らしふらついている絶望の神に近づき、腹部に拳を叩き込んだ。
くの字に身体を折る絶望の神の頭部に、踵を落とす。
轟音が響き、絶望の神が地面に激突し、砕いた。
「そうえいば、門の神がどうしているか知っているか?」
「……そういえば、おらんのう」
「絶望の神は私に任せて、門の神を頼む。由良夏樹をまた転移されたらたまらん」
「任せておくんじゃ!」
「させるのものかぁあああああああああああああああああああ!」
絶望の神が立ち上がり、視界を覆う神力を放つ。
だが、小梅の光の槍と、アマイモンの魔力の砲撃によってかき消された。
「それが全力だと言うのなら、抵抗しないことをお勧めする。無駄に抵抗して苦しむ必要はない」
「く、くははは。ぜぜぜぜぜぜ! アマイモン! 弱い魔族だった君が、偉そうなことを! ならばお見せしよう! 絶望をかき集めた、私の真の姿を! 由良夏樹との戦いにとっておいた、私の本当の姿を!」
絶望の神の神力が吹き荒れる。
まるで竜巻のようだった。
「この姿になれば、私は手加減などできない。きっとこの場にいるすべての者を殺してしまうだろうが、それはそれで絶望的に楽しそうだ! 絶望の神である私は絶望をもたらす神である! さあ、絶望の時間だ!」
絶望の神がかつてないほどの力を高めた時だった。
――どんっ。
凄まじい魔力が衝撃波となって絶望の神を襲った。
「な」
吹き飛んだ絶望の神が、体勢を立て直し着地した地面は草花に覆われていた。
「……なにが起きた」
疑問の声を出したと同時に気づいた。
これは、浄化の力だ。
絶望の神にとって相性の悪い力だった。
「何がおきたぁあああああああああああああああああああ!」
高めていた力が消えていく。
あれほど集まっていた絶望が身体から消えていた。
そして、気づいた。
佐渡祐介が、大地の勇者として覚醒している。
どう言うわけか、彼の中にあった絶望が消えて希望に満ち溢れていた。
「佐渡祐介ぇえええええええええええええええ! なぜだぁああああああああああああああ!」
「お前はそれを知る必要はない」
絶叫する絶望の神を、アマイモンの拳が打ち砕いた。