軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

54「知り合いの天使じゃね?」①

「なんでお前らが異世界におるんじゃ!?」

小梅が叫んだ。

相手は天使だ。

同じ天使である小梅とは顔見知りなのだろう。

「プリティー小梅ちゃん」

「ちーっす!」

「おひさです」

黒いスーツを身につけ、一対の白い翼を広げる天使たち。

夏樹に攻撃を放ったのが黒髪の長髪、一歩背後にいる天使が茶髪の短髪と、眼鏡をかけた金髪だった。

「……もしかしなくても、小梅ちゃんの知り合い?」

「そうじゃ。奴らは――」

小梅が天使たちのことを教えようとしたが、黒髪の天使が遮った。

「おっと、プリティー小梅ちゃん。名乗りは自分たちにさせてほしい。仮にも、相手は由良夏樹と勇ましい仲間たちだ。僕たちも、天使として堂々と名乗ろう」

「ま、待つんじゃ!」

なぜか小梅が慌てて止めようとするが、天使たちは構わず名乗りあげた。

「僕は吉田!」

「俺は山田だぜ!」

「私は金田。かねだ、ではなく、かなだ、です」

「三人合わせて天使四天王だ!」

空中でポーズを取る天使たちい、夏樹がぼそりと呟いた。

「いや、三人しかいないじゃーん。ひとり足りないじゃーん」

なんとも言えないガッカリ感があった。

夏樹のテンションが下がる。

「おっと、少年。まるで僕たちが間抜けなようなことを言わないでほしい」

「ちゃんと四人目がいるんだぜ!」

「しかし、腹痛のため異世界について来られなかったのですよ」

「ちなみに、四人目のお名前は?」

「――栗山だ!」

「ちなみに、四天王の紅一点でもあるぜ!」

「私たちは幼馴染みなのですよ」

「なんかがっかりだよ!」

吉田、山田、金田と来て栗山なのがちょっとバランスが悪い気がする。

あと、やっぱり和名だ。

「夏樹、奴らは天使の中でも格下も格下じゃ」

「格下なの!?」

正直、驚いた。

天使吉田たちから感じる力は、小梅と同等だ。

十分すぎるほど強い部類に入るはずだ。

「じゃが、油断するな。あくまでも格下ってことじゃ。力は、強いんじゃ」

「だ、だよね。よかった、ちょっと安心した」

「すまんが、少し話をさせてほしいんじゃ。奴らは、昔から知っておるんじゃ。まさか新たな神々に与しているなど思わんかった」

「うん。いいんだけど、大丈夫?」

「平気じゃ」

小梅は前に出る。

すると、天使たちが地上に降りた。

距離が近づき、改めて彼らが強いとわかる。

銀子や千手、東雲、そしてギーゼラも自分たちよりも明らかに強い天使が現れたことに、全力で警戒し口を開く余裕はないようだ。

「なーんで、お前らがそっち側にいるんじゃ」

「誤解しないでほしい、ラブリー小梅ちゃん」

「俺たちはあくまでもぜっくんと個別に契約しただけだぜ!」

「そうです。新たな神々を少し利用しただけにすぎません」

「その理由を聞いておるんじゃ!」

「――無論、堕天するため」

吉田の言葉に、小梅が納得したような顔をした。

「なるほど。おどれららしいのう」

「小梅ちゃん? なにか事情を知っているの?」

あまりプライベートを聞くものではないとわかっているが、今回は問わずにはいられない。

さすがの夏樹も、小梅と親しい天使ならば戦いづらい。

「こやつらは、クソ親父とクソ兄貴の派閥の天使じゃ!」

「……うん?」

「特に兄貴とは仲が良くてのう。格下の雑魚だったこやつらが、兄と親しくするために頑張って強くなったなんて過去もあるんじゃ」

「……あれ? いい天使じゃね?」

「悪い天使ではないんじゃ。じゃが、こやつらは、クソ親父と兄貴が堕天したときについていこうとしたんじゃが」

「じゃが?」

「堕天の仕方がわからんかったようで、今も天使じゃ!」

「……あれー?」

「悪い奴らじゃないんじゃ! じゃが、すこーし阿呆の子なんじゃ!」

なんか力が抜けた気がする。

どのような背景があると思ったら、あまり大した事情がなかった。

「阿呆とは失礼な!」

「だって学校じゃ、堕天の仕方を教えてくれなかったんだぜ!」

「二千年以上、堕天するためにいろいろしたのですが、できませんでした」

「……そんなときにぜっくんが力を貸したら堕天させてくれるというから」

「ぜっくん手広くやってるなー!」

いろいろなところに関わっているぜっくんに、夏樹は感心した。

「ぜっくんがこの世界をどうしようとしったことではない」

「そうそう。どうせ他人の世界だ」

「個人的に、いつまでも争い続ける種族は強者に支配されるべきと思っています」

吉田たち天使は、この世界の行く末に興味がないらしい。

奇遇なことに夏樹も同じだ。

「勇者由良夏樹よ」

「なーあーに?」

「個人的には嫌いじゃがないが、仕事だ」

「ぜっくんの邪魔ができないように叩きのめさせてもらうぜ!」

「安心してください。我々の誰かが一対一で戦いましょう」

夏樹は獰猛な笑みを浮かべると、聖剣さんで肩を叩く。

「遠慮するなよ。三人まとめてかかってこい!」

夏樹が真っ直ぐ剣を天使たちに向けると、天使たちから表情が消えた。

「ほう。いい度胸だ」

「俺たちに舐めた態度を取ったことを後悔させてやるぜ」

「あなたが強いことは承知しています。しかし、やり方次第では弱者でも戦えるのですよ」

天使たちは夏樹が強いと分かった上で、戦う気だ。

夏樹も天使たちが強いと十分に理解している。

とても楽しみだ。

異世界に来てからフラストレーションが溜まっている。

ここで発散させてもらおう。

「夏樹……こんなことを頼むのは間違っとるんじゃが、奴らを殺さんでほしい」

「……小梅ちゃん」

やはり知り合いが殺されるのは嫌なのだろう。

「奴らはお中元とお歳暮に高級ハムを送ってくれるんじゃ! お正月にはお年玉もくれるんじゃ! じゃから、殺さんでくれ!」

「小梅ちゃん!?」