作品タイトル不明
49「聖剣さんの過去じゃね?」②
地球とは違う、遠い果てにある星に「彼女」は生まれた。
その世界にはなにもなかった。
本来ならば海が、大地が、生命が生まれるはずの星の力が「偶然」に「彼女」を生み出した。
代償は大きく、「彼女」以外になにも生まれなかった。
何百年、何千年と時間が経っても「彼女」はそこにいた。
自我はない。
考えることもしない。
ただそこに「ある」だけ。
なにもない場所でひとり佇んでいるだけだった。
――そんな「彼女に」突如変化が起きた。
自ら生まれた星を破壊したのだ。
自我が芽生えたのか、偶然なのか、それは「彼女」だけにしかわからない。
故郷の星を破壊した「彼女」は消滅することなく、弾かれたように別の星に移動した。
そして、また星を破壊した。
次に、新たな星に移動し、破壊した。
次第に、「彼女」に抵抗する勢力が現れた。
しかし、どのような相手が来ても「彼女」の力は絶大であり、ことごとく打ち破った。
星を、世界を、文明を、種族を、「彼女」は破壊し続ける。
「彼女」の行動理由はわからず、行動範囲もわからず、数多の星が恐れ、怯え、畏怖し、崇めた。
星と同等の力を持つ「彼女」だったが、繰り返された破壊活動、対抗勢力との戦いの結果、緩やかに力が削がれていくことになる。
わずかなものだったが、そのわずかな力の減少が、十、百、千、万、億と繰り返されると「彼女」の力は最初と比べ八割ほど削られていた。
ついに「彼女」は星を破壊する力を失うこととなる。
だが、まだ強かった。
星を破壊できずとも、文明は破壊できた。
「彼女」を破壊しようとする「敵」を殺すだけの力はあった。
また繰り返される。
そして、ついに「彼女」の力は最初と比べられないほど削られた。
――だが、それでも、まだ「彼女」を破壊することができなかった。
すると突然「彼女」は活動を停止する。
長い眠りについたのだ。
「様々な者たち」は彼女を見守った。
そして、あまりにも長い時間が経ち、存在を忘れた。
もう「彼女」が生まれてからどれだけの時間が経ったのかわからなくなった頃、「彼女」は目覚めた。
「彼女」が眠る世界でひとりの幼い「少女」が「彼女」を求め手にしたのだ。
どのような理由があったのか定かではないが、「彼女」は「少女」のために力を振るい、そして世界を滅ぼした。
その時、力を使い果たした「彼女」が砕け、遠い星に弾き飛ばされてしまう。
かつての力を完全に失いながらも、持て余すには十分な力を持つ「彼女」を完全に破壊するため、様々な手段が用いられた。
「彼女」は攻撃さえしなければ何もしてこない。
ならば、放置しよう。
そう決まった。
看守には、かつて故郷の星を滅ぼされ、何度も「彼女」に挑んだ勇敢な青年を選んだ。
――そして、気の遠くなるほどの時間が流れ、ひとりの少年が「彼女」が眠る星に現れた。