軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

94「最強の獣さんだって寂しいんじゃね?」①

義政の問いに、フン・フナフプは地面に倒れるベヒモスを見た。

「ベヒモスっち、身体のほうはどうだ?」

「もう治ったぜ。ったく、あのガキ容赦ねえな。こんな美女を相手に、なんも躊躇わずに攻撃しやがって……将来が心配になるぜ」

「あんたに心配してもらわなくてもいいですぅ!」

フン・フナフプの手を借りて、ベヒモスが立ち上がる。

言葉通り、彼女の身体にはもう傷はない。

魔族も神も、当たり前のように回復手段を持っているようだ。

「で、義政さんがお尋ねになっているだろ! パチモスマンのベヒモスさんは、どんな崇高な理由で絶望の神ぜっくんについて異世界にいるって言うんだ?」

「ああ? 俺は別にぜっくんなんかについてねえから!」

「じゃあ、なんで異世界にいるのよ」

「大暴れしたかっただけだ!」

「……すっげー迷惑なモスマンさんだな」

「だから、俺はモスマンじゃねから! UMAと最強の獣一緒にするなよ! ていうか、モスマンよりも俺の存在のほうがやべえだろ!」

「いえ、モスマンのほうがやばいです」

「…………そっか」

「うん」

モスマンとベヒモスの希少性は、モスマンのほうが高い。

UMAであるモスマンは「存在するかも」と思われているだろうが、ベヒモスは「いや、いないっしょ」となる。

テレビや動画でUMAを取り扱うことがあっても、ベヒモスを扱うことはない。

動画配信者だって「今日はモスマンを探してみようと思います!」的なことはするかもしれないが、「今日はベヒモスを探してみようと思います!」とはならないはずだ。

「……そうやって」

「え?」

「そうやってお前たちは、俺様の扱いが悪いんだ! リヴァイアサンは七つの大罪の魔族に数えられているのに、同格の俺やジズの奴は扱いが違う! ジズにいたってはなんかふんわりした存在になってるじゃねえか!」

なんとなく気持ちはわかる。

夏樹も中学生だ。

七つの大罪を調べて妄想を膨らませることもある。

「つまり七つの大罪に入りたい、と?」

「誰がそんなこと言った!? ちげえよ、扱いが悪いって言ってんだよ! この間、ちょっとネットサーフィンしてたらベヒモスって象頭人身で描かれてるじゃねえか! しかもお腹出てるし! 見ろ! 俺はスレンダーだ!」

「良きスレンダーであり、良き美脚ですね!」

「だろ! リヴァイアサンのやろうは、ネットでもチヤホヤされやがって!」

(つまり嫉妬かな? 気持ちはわからなくもないけどさ)

「ちなみに、ジズさんはなんと?」

「空をのんびり飛べればいいってよ! スカしやがって!」

「えっと、それでつまり、リヴァ子さんに嫉妬したベヒモンさんがその鬱憤を異世界で発散しようってことでオーケー?」

「モスマンとまぜんな! ちげえよ! 俺は、この世界で大暴れして、最強の獣となるんだよ!」

「…………それって、地球じゃリヴァ子さんがいるから勝てないから、リヴァ子さんがいない世界で暴れてひゃっほーってことでオーケーですか?」

「違うけど、そうだ!」

「うーん。だっさ」

「んだと!?」

夏樹は、ベヒモスの行動理由を切って捨てた。

「リヴァ子さんが気に入らなきゃ、リヴァ子さんに喧嘩売ればいいじゃん。それをしないで、いない場所で暴れるって、ちょっとないわー」

「ぐっ……俺だって、俺だって、戦えるならちゃんと戦いたいもん! 戦って勝って、俺が最強だって言いたいもん! なのに、あいつが相手してくれないから! ぐ、ぐすっ、うわぁああああああああああああああああん!」

突如、ベヒモスが泣き出してしまい、夏樹はなんとも言えない顔をした。