軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

47「紳士なオーガさんじゃね?」

「グランドル様、ジードル様、とりあえずお席にお座りください」

「すまぬ、オズワルド殿。さあ、ジードル、椅子に座るぞ」

「……うん」

オズワルドに促されて、グランドルとジードルのオーガ兄弟が席につく。

だが、背もたれに寄りかかり腕を組むグランドルに対し、ジードルは背中を丸で巨体を小さくしていた。

「……魔王様、兄はこの調子なので、私がお話をさせていただいてもよろしいだろうか?」

「無論だ」

ギーゼラは夏樹たちに目配せをしてから、頷く。

「今回は、オーガ族族長であるグランドルと勇者一行の顔合わせだ。言いたいこともあるだろうし、聞きたいこともあるだろう。遠慮なく言葉にするといい」

「ありがとうございます。――では」

グランドルは、椅子から立ち上がり、一礼した。

「オーガ族の族長、グランドルである。ここで小さくなっている四天王ジードルの弟だ。悪鬼羅刹と名高い勇者殿とこうしてお会いできること嬉しく思う」

夏樹も立ち上がり、挨拶をした。

「どうも、はじめまして。ギャラクシー河童勇者由良夏樹です! よろしく!」

「……話に聞いていたよりも、若く、感情に溢れる少年のようだな」

「いろいろあったんです。それで、こっちが勇者一行四天王の小梅・ルシファーさん、青山銀子さん、七森千手さん、安倍東雲さん、そして大地の勇者佐渡祐介くんです」

「……ほう。勇者がもうひとりいるのだな。なによりも、四天王殿方もかなりの使い手と見た」

夏樹たちに、グランドルの探るような視線が向く。

それぞれ臆することなく、彼の視線をまっすぐに受け止めている。

「グランドルよ、そう威圧するな」

「……失礼した。勇者一行と、ふたりめの勇者の存在に、つい好奇心を抑えられず」

夏樹は、ランドルが椅子に座り直したことを見届けてから、自らも座る。

(このオーガさん結構強いな。魔王さんほどじゃないんだろうけど、戦いに全てをかけているタイプだ。こういう人って苦手なんだよねぇ。腕一本落とされても笑って戦いを続けるからさ。こっちの世界の人間にはいないタイプだ)

ちらり、と夏樹は必死に気配を殺しているジードルを見た。

視線を合わせないように、下を向き、小刻みに震えている。

隣に座る単眼族のヒトエと一緒にプルプル震える姿を見た夏樹は、なんとも言えない感情になった。

(今さらだけど、まさかこんななまはげさんのごとく恐れられているとは思わなかったんですけど。あまり四天王さんって記憶にないんだよねぇ。あ、サキュバスは覚えているけど、昨日気絶していたサキュバスさんとは違う人だったし。俺が殺しちゃったから代替わりしたのかな?)

「さて、勇者殿」

「えっと、俺のほうでいい?」

「無論。そちらの勇者は知らぬ」

「じゃあ、由良夏樹って呼んでくださいな」

「うむ。では、由良殿」

「うっす、グランドルさん」

「お主たちは、魔族と手を組み、人間たちを倒すと聞いている」

「そうだね。勇者として勝手に別世界から呼ばれて、戦わされて、散々な目に遭ったんだ。機会があればやり返すさ」

「ふむ。それに関しては特に言うことはない。だが」

「わかっているよ。魔族さん的には俺に仲間がぶっ殺されているから納得できないってやつでしょう?」

「否っ!」

「え?」

夏樹はびっくりした。

小梅たちも、魔王たちも驚愕の表情を浮かべている。

「確かに、人間には思うことがある。だが、由良夏樹殿個人に恨みはない」

「え? そうなの?」

「うむ。お主は、ひとりで戦い続けていた。戦場で相見えたことはないが、強さは知っていた。だが、不思議だった。なぜ人間たちはお主と共に戦わないのか、と」

人間たちは、夏樹ひとりに任せていればいいと考えていた。

夏樹も、邪魔な奴らが余計なことをしないほうがいいと思っていたし、一緒に戦って仲間だと思われても嫌だったので、なにも言わなかった。

「同時に、怒りを抱いていた。子供に、ただひとりの勇者に丸投げして、他の者はなにをしているのだ! と!」

「……グランドルさんめっちゃいいオーガさん!」

「お主はまだ子供だ。いくら強くても、大人が、子供だけに戦わせるなど言語道断である!」

「……とぅくん!」

夏樹は胸を押さえた。

異世界にもこんな立派な人――オーガがいるのか、とときめいた。

「確かにお主は魔族を殺した。だが、それは戦争ゆえ。聞けば、お主は元の世界に帰るのに必死だったという。俺も同じ境遇ならば、がむしゃらに戦ったであろう」

「……グランドルさん」

「魔王軍もそんなお主に戦力をぶつけ、敗れた。卑怯者の人間たちはともかく、戦い続けたお主を恨むなどそのような情けないことはせぬ!」

「……やだ、かっこいい」

「お主のような者を、本当の意味で勇者と呼ぶのであろう。ならば、勇者と共に戦えることを誇りと思う!」

「ら、らめぇ、グランドルさんがイケメンすぎてときめいちゃうぅ!」

「しかし!」

夏樹に向けてグランドルは拳を向けた。

「俺にもオーガ族族長という立場がある。個人的には喜んで共に戦いたいが、族長としてすべきことがある」

グランドルは男臭い笑みを浮かべた。

「戦いを所望する!」