作品タイトル不明
33「イベントが無くね?」①
朝食を終え、身支度を整えた夏樹はスクールバッグを持って玄関でスニーカーを履いていた。
「…………俺、学校行くよ? 行っちゃうよ? 止めるなら、今だよ? イベント始めるなら、夕方よりも午前中のほうが嬉しいんだけど、早めに言ってくれる?」
見送りに来てくれている家族を一瞥し、念を押すような言動をする夏樹に一同が怪訝そうな顔をする。
「なーんで、イベントが起きる前提で話しておるんじゃ。さっさと学校行って帰ってこんかい」
「いやいやいやいや、イベントしかなかったじゃん! イベントだけの数日間だったよ!」
「大丈夫だ。一年分のイベントがまとまってきたと思えばいいんじゃ」
「一生分じゃないんだ。神殺しして、七つの大罪の魔族マモンと戦って、素盞嗚尊とガチバトルしたのに一年分なんだ。濃いなぁ」
自分で言うのもあれだが、異世界転移をした時点で一生分のイベントを終えた気がする。
「じゃあ、いってきます。いい? 最後だよ。これが俺を引き止める最後のチャンスだからね!」
「いいから、早よ行け! こちとら、月読からいい加減学校に通わせろと苦情がきとるんじゃ!」
「……わかったよ。学校に行けばいいんでしょ! いってきます!」
顔を覆って泣きながら玄関を飛び出していく夏樹を見送る一同は、首を傾げた。
「なーんでそんなにイベント待ちなんじゃ?」
小梅の疑問に、誰ひとりとして答えることはできなかった。
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「ひどいっ、イベントさんも異世界から帰還して十一日間も俺を弄んだのに、十二日目に飽きちゃったのね! 俺はもうイベントなしじゃ生きられない身体になっちゃったのに!」
くだらないことを言いながら、夏樹は街をダッシュする。
「わ、ワンチャン、千手さんや祐介くんと会ってイベント周回しようぜってお誘いがあるかもしれな――ああ、学校着いちゃった! なんで俺走ったんだろ!」
あっという間に中学校にたどり着いてしまった。
魔力による身体強化をして走った道のりは風のごとく一瞬だった。
久しぶりの登校だというのに正門の前で膝をつく夏樹はとても目立っていた。
「……なにやっているんですか、由良くん」
「――あれ? 都さん?」
そんな夏樹に呆れた顔をして声をかけたのは、水無月家次女水無月都だった。