軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15「やっぱりいつも通りでよくね?」①

「……赤嶺先輩、そういうのやめてくださいってもう何度もいいましたよね」

「進藤くん、君も進藤家の後継だというのに、B組なんて恥ずかしい」

赤嶺と呼ばれた少年は、何を思ったのか教師の前で生徒を侮辱する暴挙に走った。

「赤嶺くん、さすがにその言葉は見逃せませんよ」

「笹山先生、見逃せないのはこちらの台詞です。彼らは一般人。つまり我々が守るべき存在だ。いくら素質があろうとしても、こちら側に来るべきではないのです!」

(あれ?)

夏樹は一登たちと顔を見合わせた。

赤嶺の言葉は言い方は悪いが、夏樹たちを気遣っているようにも聞こえる。

「君も君だ、進藤くん。A組のやり方は合わないという理由でB組に入り、こつこつ勉強する姿は見習うものがあるが、A組にはA組の学びがある。才能がある生徒は、才能のある生徒と共に学ぶべきだ」

「それは僕が決めることです」

進藤と赤嶺が睨み合う。

「赤嶺さん! こういう手合いは、痛い目にあわせてしまえばいいんですよ!」

「やめないか、黒森くん」

「教師の前だからって関係ない。俺たちを導く先生とは違うんだ」

黒森、と呼ばれた小柄な少年が夏樹を睨んだ。

短い髪の毛を逆立てた、制服を着崩した生徒だった。

彼は夏樹に近づいてくると、胸ぐらを掴む。

「お前らみたいな一般人上がりの雑魚が学校に入学しても、D組のような底辺なんだよ。雑魚は雑魚らしく俺たちにひれ伏して守ってもらっていればいいのに、どうして無駄なことをしたがるのか理解ができねえ」

「……あのさ、手を離してくれない?」

「ビビってんじゃねえよ!」

「ビビってないし。あんたのどこにビビる要素があるんだよ。ただ粋がっているだけでしょう。せっかくキラキラした青春を見てほっこりしていたのに、お手本のような負け犬が現れてとっても残念」

「てめぇ! 誰が負け犬だ! 黒森家の当主候補だぞ! って、おいおい、なんだ。水無月と七森がいるじゃねえか」

黒森は夏樹の背後に、都と千手を見つけいやらしい笑みを浮かべた。

「落ち目の水無月家と当主不在の七森家が揃って一般人と学校見学か? というか、水無月。お前は、姉もお前も霊能関係は自分たちでやりますって入学拒否しておきながらよく来られたな!」

「……」

「……」

都も千手も黒森を相手にしなかった。

ここでこんな人間と揉めても何も意味がないとわかっているのだろう。

「黒森くん、やめるんだ。外部の人間に突っかかっても仕方がない。――いいかい、君」

赤嶺は、黒森の腕を夏樹から離しながら、言い聞かせるように言った。

「一般人が関わっていい世界ではない。君のために言っているんだ。どうか、よく考えてくれ」

「それはどうも」

馬鹿にする黒森ではなく、赤嶺は態度こそ悪いが、夏樹たちの身を案じているようにも思えたので、素直に返事をしておいた。

ただ、黒森は夏樹の態度を快く思わなかったようだ。

「なんだ、てめえ、その態度は! 赤嶺さんの顔を立てて、見逃してやろうと思ったが、やめだ! 学校見学に来ているんだろう!? なら、霊能力者の怖さっていうのを教えてやるよ! 水無月、てめえもだ! 出来損ないの姉もだが、お前も」

そう言って黒森が拳を振り上げた。

次の瞬間、言葉の途中で黒森の身体が宙を舞い、体育館の壁にぶつかった。

べたん、と音を立ててうつ伏せで床に落ちてくる。

「お姉ちゃんをなんて言ったぁああああああああああああああああああ!」

夏樹が殴るよりも早く、都が黒森を殴り飛ばしていた。

「お前、よくも!」

控えていたA組の生徒たちが都に掴み掛かろうとするので、夏樹が割って入り蹴り飛ばす。

「いい子にしようと思っていたけど、やっぱり俺たちはこうじゃなくちゃね!」

月読が手で顔を覆っていたが、気づかないふりをした。

「なーにがA組だ! こっちは月読ファミリーだ!」