作品タイトル不明
間話「まもんあもんじゃね?」①
――青森、某所。
「まもんまもんまもんまもんまもんまもんまもんまもん!」
「あもんあもんあもんあもんあもんあもんあもんあもん!」
農業系動画配信者さまたんの家の茶の間で、「まもんまもん」で人気となった動画配信者マモンと、さまたんのスタッフを務めるアモンが睨み合っていた。
「おい、小一時間くらいもうまもんまもんとあもんあもん続けているけどさぁ! 脳が壊れるからやめろ! やーめーてー! やめろって言ってんだろっ!」
さまたんがキレたことで、マモンとアモンが静かになる。
心なしか先生に怒られた小学生みたいにしょんぼりしていた。
「お前たち、やかましい! 見ろ! 三十分時点で愛ちゃんがお前たちの輪唱に耐えられなくなって失神しちゃったじゃないか!」
「まもんまもん、それは愛ちゃんの鍛え方がまもんまもんが足りないということでは」
「シャラップ! 私もいきなり輪唱されて脳が壊れるかと思ったわ!」
さまたんが指差す方には、床の上で芋ジャー装備の愛ちゃんが失神していた。
時々、びくんびくん、と痙攣している。
「私だって、紀元前からまもんまもんをずっと聴き続けてなければ失神していたからな! 片方に耐性があったから耐えられただけだからな! あと、アモン!」
「は、はい! あ、あもんあもん!」
「お前は前から無理すんなって言ってるだろぉおおおおおおおおおおおおお!」
アモンはマモン不在時に飛び込みで現れいついてしまったが、マモンのように自分の名前を連呼する習性はないようだった。
それでも、マモンの穴埋めをしようと頑張って「あもんあもん」と言うのだが、時々忘れる。しかし、それがショート動画で好評だった。
もちろん、面白くないのはマモンだ。
ポッと出のあもんあもんが好評であることもそうだが、さまたんの部下になったことも腹立たしい。しかも、この家で一緒に暮らしていることも我慢ならない。
――まるで自分の居場所を取られた気分だった。
「さまたん様! このマモン、由良夏樹のためにまもんまもんしてきたと言うのに、まもんまもん不在にこんなあもんあもんを連れ込むなんてどういうことでまもんまもん!」
「……お前な、まずな、青森から出ちゃいけないーの」
「ま、まもん! それはまもんまもん」
「よせばいいの、魔王サタンに刃向かって、由良夏樹くんに殺されかけて、私預かりになったんだろう? なーのーにー、青森から出過ぎぃ!」
「お待ちくださいまもんまもん! これには駿河湾よりも深い理由があるのでまもんまもん!」
「普通に海よりも深いでいいだろう! なんで駿河湾限定なんだよ! 生しらす食いたくなるだろう!」
「私は桜エビが好きであもんあもん」
「まもんまもん的にはうなぎの方が好きでまもんまもん」
「そういう話をしているわけじゃねえんだよぉおおおおおおおおおおおお!」
さまたんの叫び声が響く。
マモンとアモンは静かに正座をして、しゅんとなった。
「とりあえず、マモン。お前は勝手に抜け出したペナルティを与える」
「まもん!?」
「一週間酒抜きだ!」
「……あの、大変申し訳ございまもんまもんですが、このマモン、お酒は嗜む程度なのでさまたんみたいに飲まないと死ぬまもんまもんではありませんので特に罰にはならないでまもんまもん」
「――え?」
「そんな信じられねえまもんまもんみたいな顔をされても困ってしまいまもんまもん」
「……マモン殿、私が言うのはあれだが、こう言う時は、はいわかりました、と言って素直に罰を受ければいいだろうが! ……あもんあもん」
「……さまたん様っ、このマモン! まもんまもんと禁酒させていただきまもんまもん!」
「いやもう遅えよ? あとアモンも助言するなら私に聞こえないようにやれよ! 不器用さん! あとあもんあもんを無理して言わなくてもいいって何回言わせるんだ!」
今日の青森はツッコミが多い日だった。