作品タイトル不明
間話「ツッコミ担当の業じゃね」④
――七森千手は頭痛に悩まされていた。
もともと季節の変わり目や、気圧の変化などで頭痛を覚え鎮痛剤に世話になることも多かったが、そろそろ本格的に治療をしようと決意した。
その理由は、ツッコミのせいで喉が痛くなってしまったことだ。喉と頭、二箇所も痛いのはしんどいのだ。
もっと言えば、虎童子が心配性なのだ。そして、かまってちゃんでもあるため、頭痛を覚えて薬を飲んで横になっても、五分くらいの感覚で「大丈夫?」「治った?」「病院行く?」「結婚する?」としつこい。
心配してくれるのは嬉しいが、ときどき罠のように関係ない質問を投げてくるので気が気ではない。
そこで千手は向島市にある頭痛外来に足を運んでいた。
「えっと、初めてなんですけど、頭痛がひどくて」
「はい。マイナンバーはお持ちでしょうか?」
「はい、こちらに」
「ありがとうございます。では、そちらの機械で読み取っていただき、はい、そうです。ありがとうございます。それでは、しばらくお待ちください」
頭痛外来の受付で、手続きを済ませると、千手は椅子に座り大きく息を吐く。
病院に来るまで面倒くさかった。
虎童子がついてくると聞かなかったのだ。
耳鼻咽喉科のように愉快な病院ならいざ知らず、頭痛外来では痛みを抱えてきている人も多い。そんな中、元気いっぱいの虎童子のよく通る声は頭に響くだろう。
おかしを買ってもらえなかった子供のように駄駄を捏ねる虎童子だったが、病院のあとの昼食を好きなところでいいから調べておくように言って、ようやく家を出られたのだ。
「――七森さん、診察室へどうぞ」
「はい」
診察室の中には、恰幅のよい白衣をきた医者がいた。
「本日は、頭痛が続くということですね」
「はい。十代の頃から、偏頭痛っていうんですかね、頭痛に悩まされていたんですが市販薬でなんとかしちゃっていて」
「頭痛もひどい時には動けませんものね」
「そうなんです」
「とりあえず、CTをとりましょうか。大事はないと思うのですが、初診ですし念のためということで。よろしいですか?」
「お願いします」
その後、千手はCT検査を終え、再び診察室に戻ってきた。
「お疲れ様でした。検査の結果ですが……」
医者はどこか表情を暗くしていた。
千手に緊張が走る。
何か大きな病気でも見つかったのかもしれない。
「――ツッコミのしすぎですね」
「さすがにそんなことはねえだろう!?」