作品タイトル不明
14「ガチで戦うんじゃね?」③
二分割になって倉庫の壁に激突した死の神を見て、夏樹は舌打ちをした。
夏樹の予定では半身を消し飛ばすくらいしたかった。
『やっぱりこういう狭い場所じゃ戦い辛いわね。それに、周囲にも気を使わないといけないし』
「――だね」
星子の言葉に、夏樹は頷くしかない。
夏樹も星子も強くなった。その強さは主に「火力」だ。
しかし、その「火力」を最低限に制御するには苦労してしまう。
まだまだ未熟であるということだ。
アマイモンを比較対象に出したが、異世界で彼と戦った時の力を出せば、小梅たちはさておきありすたち帝国の人間は無事ではすまなかっただろう。
『ほら、やっぱり死んでないわよ。一応は神を名乗るだけあるわね』
「本当にめんどくさーい」
夏樹は星槍を回転せながら、すでに肉体を再生して繋いだ死の神に笑う。
「……この程度で私を殺せるものか」
「身体を両断されて、まだそんなこと言えるのなら流石だ。じゃあ、どうしようか。今度はもう少しギアを上げて四分割にしてやるよ」
「やってみろ、由良夏樹。私の死が効かずとも、この手で直接死を与えてやる」
「やってみやがれ!」
再び、夏樹と死の神が肉薄する。
夏樹が星槍を突くと、器用に身体を捻り鋭い手刀を振り下ろした。
紙一重で避けたはずが、夏樹の瞼から出血してしまう。
(あ、めんど。学習しやがった。拳と蹴りじゃ倒せないからって、次の手段を始めやがった)
『時間をかけると負けるわよ。単純なスペックで負けているのを、あたしの力と夏樹の身体強化を重ねてようやく力で上回って戦えているんだから』
(わかってますぅ)
実際は夏樹に余裕などない。
夏樹が力を使えば使うほど、死の神も力を上げている。
夏樹の魔力と魔法、蒼穹の星槍の力と強化を得て戦っている夏樹に対し、死の神は彼自身の力のみで戦っているのだ。
基本的なスペックがどれだけ違うかわかるだろう。
「――ふう」
夏樹は大きく息を吐きし出した。
そして、魔力を限界まで高める。
青い雷を纏い、地面を焦がしながら、夏樹の魔力がこれでもかと高まっていく。
死の神も夏樹の魔力の高まりに、自らを強化して地面を蹴った。
だが、夏樹は動かない。
まっすぐ死の神を見つめて、視線を逸さなかった。
「お前はここで絶対に殺す。いずれお前は大きな障害になる!」
「そうですかー!」
死の神が夏樹の間合いに入った刹那、思い切り星槍を地面に突き立てた。
「――――な」
攻撃が自分に来なかったことに死の神が驚くも、攻撃の手は止まらない。
神力が込められた貫手は夏樹を貫き殺すだろう。それだけの威力はある。
だが、させなかった。
――数多の雷が地面から解き放たれ、刃となって死の神を襲った。