軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

66「漆黒騎士さまたーんじゃね?」①

「……お前、何者だ。ジェイソンさんの紹介とはいえ、覆面を被って怪しいやつだな」

「まもんまもん……諸事情あって正体は明かせないでまもんまもん。あえて名乗るのであれば、青森の漆黒騎士さまたーんと名乗らせてもらうでまもんまもん!」

「青森の漆黒騎士さまたーん! だと!?」

自称、青森の漆黒騎士さまたーんは、グレイのスーツに長靴を履き、割烹着を羽織った姿だった。顔には紙袋を被り、ちょうど額の部分に「ま」と書かれている。

正直、ぱっと見では誰だかわからないのは仕方がない。

「いやいやいやいやいやいやいや! 名乗ってる! 名乗っているよ! とんでもない自己主張しているじゃない! これほどまもんまもんなんて言う人いないよ!? 漆黒騎士さまたーんとか、安直にさまたんからとってるじゃん!」

「騙されるな、一登!」

「夏樹くんがね!?」

一登が慌てるのは無理がない。

確かに、まもんまもんと言っているので「あれ、もしかしてこいつマモンじゃね?」と思うかもしれないが、それは素人の考えだ。

「一登、一登、あのね、私はマモンさんをよく知らないけどね」

そう前置きをして杏が言う。

「幅広い年代に今、まもんまもんは流行っているからきっとあの人も真似しちゃったんじゃないかなって」

「……そうじゃない、そうじゃないよ。あのね、あの人が、そのまもんまもんの発信源だから!」

「うん、一登がそう思うならきっとそうなんだろうね」

「……どうして、残念な感じにまとめられそうになっているんだろう!」

納得がいかない一登が拳を握り震わせる。

「ふっ、さまたんと個人的にメールをしている三原一登くんでまもん?」

「本人が隠す気ないじゃん! めっちゃ俺のこと知っているじゃん!」

「誤解でまもんまもん! 俺は、七つの大罪の強欲を司るマモンなどというイケオジな魔族は知らないでまもんまもん! 決して、真門亜子さんという素敵な婚約者と、小林蓮という素晴らしい息子がいるナイスガイなまもんまもんなマモンさんとは違うでまもんまもん!」

「……これだけ自分のことを明け透けに言っているのに、本当に夏樹くんは気づいていないわけ? もしかして、マモンさんも気づかれたいから主張を続けているとか? なら、まず覆面取って!?」

「まあ、待てって、一登」

青森の漆黒騎士さまたーんの正体を七つの大罪の魔族マモンと疑う一登を夏樹が止めた。

「……落ち着け。あいつはまもんまもんとマモンさんを装っているだけでマモンさんじゃない」

「えー」

「戦った俺にはわかる。仮に、あの漆黒騎士さまたーんがマモンさんだったとしても、それはそれでおかしい」

「あのね、おかしいのはわかっているよ?」

「前に戦った時よりも、強くなりすぎだ。いくら魔族が人間よりも強いとはいえ、俺は勝った。当時の俺で、だ。だけど、漆黒騎士さまたーんは……正直、今の俺でも勝てるかどうか」

「――そこまで!? 青森でマモンさんになにがあったの!?」

一登の叫びは幻想的な景色に響き渡った。