作品タイトル不明
100「加座間家で企んでいるんじゃね?」②
加座間源蔵は、加座間家当主であると同時に、霊能力に焦がれている人間だった。
貿易商で財を成した、祖父と父が、欧州で「魔法」や「怪物」の存在を知り、強く衝撃を受けた。
日本にも、古くから「霊能力者」がいることや、「神」や「妖怪」などが実在することも知り、追い求めるようになった。
途中、加座間家の人間たちが、代々霊能力者に恋焦がれ、霊能力者と縁を結び血を取り込んでいたことを知った。
また時には「人外」の血を取り入れ、力を得ようとしてことも古い文献に残っていた。
しかし、当時、加座間家の人間に「霊能力」に目覚めた者はいない。
ならば、先祖の悲願を受け継ごうと加座間家は再び動き出した。
金とツテを駆使し、「院」の存在と、古くから続く「一族」の存在を知った。
最初は、一族に近づき、交友を結んだ。
父はその一族の娘を娶り、霊能力者の血を取り入れた。
だが、やはり霊能力は発現しなかった。
そこで、父は妖怪の血を引く女を愛人にして子を産ませた。
また失敗した。
不思議な力を持ち、神との間に生まれたという女の噂を聞きつけ、彼女との間に子を儲けた。
ここで初めて、霊能力を持った子が生まれた。
しかし、身体が弱く、流行病で亡くなってしまった。
父は、力を追い求めたものの、悪人ではなかった。
子が死んでしまうことには耐えられなかった。
半ば諦めていた頃、寿命が尽きようとしていた祖父がどこからか「巫女」を連れてきた。
幼い、巫女だった。
巫女は、代々人ではない者たちと交わり、力を蓄えていた一族の人間だったが、気づけば人間から人外になってしまい、迫害されたという。
巫女の望みは、血を絶やさないことと、人として当たり前の生活が欲しいということだった。
父は快く応じた。
もともと、父は手を出した女には住まいと金、仕事を用意していた。
貿易業で敵も多かったこともあり、いつ何があっても生まれた子供と一緒に暮らしていけるよう準備をしていたのだ。
父が迎えた女たちは、皆、不遇だった。
一族から娶った女は、霊力がないに等しく「無能」として暴力を受ける日々だった。
妖怪の血を引く女も、父親がわからないという理由で母と共に迫害されていたところを、母と一緒に保護された。
神の間に生まれた女も、不思議な力を持つため、小さな集落の中で普段は冷たくされながらも困ったことがあると頼られるという、人間の嫌な部分を見ていたことで辟易していた。女は集落から出て普通の生活をしたいと望み、叶えられた。
加座間家が「捕らえた」といわれる妖怪や力が弱いなもなき神、欧州の怪物などは、裏社会で「コレクション」として販売されていたものを保護するために購入したのだ。
ただやはり「金で買った」ことは事実であるため、悪い噂を否定することはしなかった。
そんな父だから、人でなくなりながらも、代々続いた血を絶やさぬように藁にも縋るように加座間家の噂を聞きつけて自ら足を運んだのだ。
その結果、生まれたのが加座間源蔵である。
加座間家悲願の霊能力者である源蔵が生まれた日、加座間家のすべての人間が万歳した。
その中には、父の妻たちも含まれている。
すると、その後、次々と霊能力者が生まれたのだ。
源蔵を長男に、弟が三人、妹が四人、すべて霊能力者だった。
父は自分のすべきことは成し遂げたと満足し、成人した源蔵に当主を任せると、妻たちと一緒に不遇な妖怪や、ハーフの子供を保護していた。
源蔵は、祖父や父よりもできる人間だった。
金を使い、「旧家」と親しくし、妹を嫁がせ、弟たちに嫁をもらった。
院での立場も上がり、しかし、不気味な一族として一定の距離を保っていた。
源蔵は、父が面倒を見ていた怪物との間に生まれた子を娶った。
単純に慕われていたからでもあるが、思いがけずその力は子供に受け継がれた。
そこまではよかった。
そこまでは、よかったのだ。
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「はぁ、なぜこうなった。勤勉な娘が書庫に入り込んで古今東西の異形たちの本を熱心によんでいるから同志と思ったのだがのう」
「ははは、人外っ子は大好きだよ! でもね、おじいちゃん。これはこれ、それはそれ。私は男の子と男の子がきゃっきゃうふふしている姿を見ることが、とても好きなの!」
「わしは可愛らしい女の子と女の子がきゃっきゃしている姿が見たいのだが」
「甘いわね。その女の子たちについていると想像してよ」
「…………」
「――お得でしょう?」
「初めて聞いたわ! そんなお得!」
加座間家はもう駄目かもしれない。