軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40「レベルアップって意味わかんなくね?」①

「レベルアップした人いたぁあああああああああああああああああ!?」

「なんでぇえええええええええええええええええええええええええ!?」

夏樹と一登が叫んだ。

「え? え? なになに? なんでそんなに驚くの? やっぱりレベルアップしたのって杏だけなの?」

過剰とも言えるふたりの反応に、杏が目を白黒させてしまう。

「ちょっと、真面目な話……いつレベルアップしたの? 異世界で?」

「ううん。今朝、急に」

「今朝急に!?」

「よくわからないけど、女性の声が響いて――綾川杏のレベルが上がったって、びっくりしてドイツ語で叫んじゃったもん」

「……夏樹くんといい、杏といい、なんで素直に日本語で叫ばないんだろう? ていうか、普通、反射で叫ぶ時に自分の国の言語が出てこないのって普通に変だよね? え? 俺の方が変なの?」

夏樹だけではなく、杏までが愉快な叫び方をしていることに、一登は大きな動揺を受けた。

血の繋がりがないのに、共通点があるのが怖い。

もし、兄三原優斗が杏にちょっかいをかけていなかったら、第二の由良夏樹が生まれていたのではないかと思うと、震える。

「いや、実は俺たちも急にレベルアップしたって声が降ってきて」

「お兄ちゃんと一登もなんだね。でも、お兄ちゃんって今まで異世界で戦ってきたのに、今さらレベルアップなの?」

「そうみたい」

「なんで、かな?」

「きっと異世界の方々が雑魚だったから経験値にならなかったんだよ。数だけはたくさんいたけど雑魚だっから」

「……確かに、杏に手を出そうとした王子も簡単に首を刎ねることができた雑魚だったけど」

「このふたり、なんかバイオレンスで嫌っ!」

ただ、不思議だと思う。

夏樹、一登、杏がレベルアップしている。

三人の共通点はなんだろう。

中学生。

向島市民。

さすがにそれはない。

「もしかして、勇者だからレベルアップしたってことかな? 杏も、アテーナー様に選ばれた勇者なんでしょう?」

「――あ」

「忘れていたんだ……」

「ちょ、まてよぉ! それじゃあ、大地の魔族大好き系勇者祐介くんとツッコミの勇者千手さんもレベルアップしてないとおかしいでしょう!」

「祐介くんはさておき、千手さんはちょっと違うんじゃ」

「同じだよ! 勇者差別しないでよ!」

「してないよ! むしろ、千手さん的には一緒にされたくないと思うよ!?」

「……そんな、ばかな」

夏樹は、震えた。

まさか勇者というだけでレベルアップする安直な展開だとは思っていたようだが、もう少し別の可能性を期待したかったようだ。