作品タイトル不明
32「妖怪がなんか用かい、じゃね?」
「まあまあ、なっちゃん。エロ本ライダーはんも、悪い存在じゃないようやから、このまま放置するんはちょっと可哀想かなって思うんよ」
「円ちゃんがそういうなら……ようこそ、ギャラクシーファミリーへ!」
円の言葉にも一理ある。
悪霊であれば、問答無用で消滅コースだったが、話を聞いて少しだけかわいそうに思ってしまった。
「え? ギャラクシーってどういう意味ですか? そういえば、さっきもギャラクシーがどうこうって言っていた気がしますけど。あと、エロ本ライダーっていうのやめてください」
「俺たちはギャラクシー河童勇者!」
「ええっ、みなさん河童だったんですか!? まさか同業者だったとは」
「……首なしエロ本ライダーが河童様と同等だと思うなよ!?」
「さっきから思っていましたけど、この子情緒不安定すぎませんか!? 最近の子ってみんなこうなんですか!?」
「由良ぁ! もう黙ってろ! 俺たちが河童さんと完全に認識される前に、俺が説明するから! 頼むから、黙っててくれ!」
千手が夏樹とケヴィンの間に割って入ると、彼に説明を始めた。
その間に、夏樹たちはケヴィンの扱いを決めようと相談する。
「それでどうしようか?」
「僕の式神になってもらうこともできるとは思うんやけど、生まれが特殊やと失敗した時が怖いんよねぇ」
円としては、式神として縛ることで悪事ができないように制限をかけたいようだが、新たな神々が関わった生まれの首なしライダーを縛れるかどうか不安が残るようだ。
「そもそも僕は妖怪しか縛ったことがないんよ。首なしライダーって、結局なんなん? 幽霊なん? 妖怪なん?」
「さあ? 河童さんを同業者って言ったから妖怪なのかな?」
「一応、言っておくけどな! 俺たち鬼も妖怪だけど、首なしライダーなんて妖怪いねえから!」
「べあべあ!」
「あたいらとあいつを同列に語んなよ!」
首なしライダーを妖怪扱いするのは、星熊童子、熊童子、虎童子は不満のようだ。
妖怪は妖怪なりのプライドがあるらしい。
「適当に働かせればええんじゃろうて。神や魔族が平気で馴染んで生活をしとる向島市じゃったら、首がない程度のライダーがバイク便しとったって驚きはしても、その内気にしなくなるじゃろう」
「……それを言われると、否定できないっすねぇ」
小梅の暴論に、銀子がつい頷いている。
「いやいや、さすがに首がないのはまずいでしょう?」
「俺様からすると、首がないくらいどうってことないんじゃ!」
「そりゃ小梅ちゃんはスーパー天使だから気にしないだろうけど!」
「そういえば、アルフォンスが出前始めたいって言っておったぞ。ちょうどええじゃろうて」
「ちょうどいいかな!? 岡持ち装備させて出前はできるかもしれないけど、お客さんがびっくりだよ!」
「じゃから、驚かん相手に限定すればええじゃろう。神や魔族、妖怪、幽霊、霊能力者といろいろおるのが向島市じゃろう」
「――前々から思っていたんだけど、小梅ちゃんって天才じゃね?」
「そうじゃろう!」
ありだ、と思ってしまった夏樹は、小梅の発想力に震えた。
カメラをずっと構えていたリヴァ子が「んなわけねーじゃん」と呟いたが、気にならなかった。
「べあっ!」
「ベア童子さん……なんだって!?」
その時、熊童子が何かに気づく。
「え? 夏樹くん、熊童子さんはなんて言ったの?」
一登がちょっと戸惑った声を出す。
「なんでも、力を押さえているが神に近い何かがふたりこちらに近づいてくるみたいだよ」
「べあっ! って短い言葉にそんな意味があるの!? ていうか、よくわかったね! そっちの方がびっくりだよ!」
「ベア童子さんの澄んだ瞳を見れば、だいたい言いたいことはわかるさ」
「べあべあぁ」
「ほら、照れちゃうって」
「うん。今のは僕もわかった」
一登がちょっとだけ熊童子のことを理解した時、懐中電灯の光が向けられた。
「――だ、誰だ!?」
「いや、お前らが誰だよ!」
なぜか驚く相手が何者かわからず、だが、神力を確かに感じたので、先手必勝として夏樹は近づいてきた男たちを殴り飛ばした。