作品タイトル不明
間話「まもんまもんと生き霊じゃね?」
――青森、某所。
「……さまたん、様……ただいま、帰りました」
仕事を休むと言って出かけたマモンがボロボロになって帰ってきた姿を見つけて、さまたんは手に持っていた農具を落として駆け寄った。
「マモン!? おまっ、ボロボロじゃないか! どこの誰にやられた!?」
「――周平についていた怨霊でまもんまもん」
「愛ちゃんが返り討ちになったあと、挑みに行ったのか!? 無茶しやがって! で、どうだった?」
「負けまもんまもん」
「だろうな! ぼっこぼこだもんな!」
事の始まりは、一枚の心霊写真だった。
さまたんの畑で働く青年周平の股間に、陽キャの怨霊が写っていたのだ。
愛の女神こと愛ちゃんが勇猛に挑むが、返り討ちになったのは先日の話だった。
「マモン、お前、怨霊にビビっていたくせに頑張ったのか」
「まもん……ただ、ひとりでは怖かったので、愛ちゃんと、愛ちゃんがSNSで知り合った狐耳大好きせーめーくんと三人でまもんまもんと挑んだんです」
「誰それ!? 狐耳が好きって主張いる!?」
「しかも、凄腕のまもんまもん陰陽師でまもんまもん」
「癖が強い陰陽師だな! って、現代じゃ陰陽師って言わないだろ。霊能力者じゃないのか?」
「まもんまもん、せーめーくんは狐耳好き系陰陽師であると主張しているので、あえて否定するのもどうかと思いまもんまもん」
「……まあいいけどさ。で、負けたんだ?」
「負けまもんまもん」
「逆にすげえよ! 愛の女神と、七つの大罪のマモンと、狐耳好き系陰陽師が束になっても勝てないとか……最後だけ個性強すぎだろ!」
いくら人間の霊でも恨みを溜めた怨霊が想像を超えた力を得ることがある。
周平に憑く怨霊はそのパターンなのかもしれない。
「仕方がない。怨霊を消し飛ばそう」
「まもん!? しかし、さまたん様! それでは、万が一周平の周平がまもんまもんしてしまったらどうするのでまもんまもん!」
「その時は、責任を持って――可愛い女の子にしてやる」
「そ、それは責任でまもんまもんですか?」
「死ぬよりいいだろう!」
とはいったものの、さまたんの力は魔界を統べる王サタンと同等だ。
万が一、周平の周平にかすめようものなら、下半身が吹っ飛ぶ可能性だってある。
綿密な力の操作が必要となるのだが、脳筋パワー系であるさまたんにはあまりにも苦手なことだった。
「その前にまもんまもん!」
「なんだ?」
「周平の周平に憑いている怨霊は、実は怨霊ではなかったのでまもんまもん」
「――はぁ?」
「狐耳大好きせーめーくんが叩く前に話をしてくれたのですが……生き霊だったのです」
「怨霊じゃないじゃん!?」
「――まもんまもん」
マモンは神妙な顔をして語った。
「彼女は、かつて周平がまもんまもんと助けた女性の生き霊でまもんまもん。どうやらその時に胸キュンしてしまったようでまもんまもん」
「……胸キュンとか言うなよぉ。しっかし、生き霊になるくらいだから、さぞ想いは強いんだろうな。数年くらい想っているのか?」
「いいえ、一週間ほど前のことでまもんまもん」
「めっちゃ最近じゃねえか! 逆にすげえよ! 恋の力は偉大だな!」