軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45「イベントがないとかやばくね?」②

「えっと、月読先生って由良と仲がよかったんですか?」

「……というか月読先生が特定の生徒と親しくしているっていうのが意外かな」

森と片岡の感想で、夏樹は思い出す。

月読は本当に良い先生だし、慕われている。

彼に導かれて進路を決める生徒も多い。

だが、月読は生徒に教師以上に踏み込まない。

家庭の事情があれば手を差し伸べる。

プライベートで困っていても助けようとしてくれる。

しかし、それは彼にとって教師としての範疇だ。

生徒も月読のスタンスは十分に理解していた。その上で、良い先生だと慕っているのだ。

「えーっと、月読先生は……なんやかんやあって」

「まったく説明になっていないのだけど」

月読の正体を勝手に明かすわけにはいかず、だからと言ってうまい言葉が見つからない夏樹が悩んでいると、月読が眼鏡を戻し微笑んだ。

「構いません。昨日の一件は、私も責任を感じていますので、誠意としてお話をしましょう。それに、どうせ驚かれませんよ。むしろ、誰? みたいな反応されるだけですから、平気です」

「平気かなぁ?」

「平気ですとも!」

月読がいいのなら、と夏樹が月読との関係を明かす。

「えっと、月読先生はファンタジー関係者なんです」

「え!?」

「そうなんですか!?」

「はい。訳あって、人として生活をしていますが、実は……月読命と申します」

打ち明けられた神の名を聞き、森と片岡が止まった。

あんぐりと口を開けてしばらく呆然とする。

そして、堰を切ったよう大声を出した。

「月読命って、三貴神の、月読命様ですか!?」

「超がつくほど神様だ! うわっ、すご! 俺でも知ってるよ!?」

「逆に知らない人間がこの日本にいるとは思えないんですけど!」

夏樹はそっと視線を逸らした。

「信じられないわ……偉大な神様の授業を受けていたどころか、相談まで乗ってもらったなんて……あ、心臓が、ひゅってなったひゅって、ぶ、無礼な態度とってないわよね」

「お、俺、前に月読先生に漫画没収されたことあるんだけど、やばい神様を怒らせちゃった! 神罰だ! 神罰がくる!」

「はははは、大袈裟な。あくまでも今は君たちの先生です。ありのままで接してください。神罰などありませんので、変わらずいてくださると方が嬉しいですよ」

気さくに振る舞う月読だったが、夏樹は見逃さなかった。

「月読命」に大きく反応するふたりの姿に、小さくガッツポーズをとっていたことを。

「私の正体を知ってもらったところで、心から謝罪を。昨日は君たちが攫われたにも関わらず助けることができなくて申し訳ありませんでした」

「い、いえ、そんな」

「月読先生が悪い訳じゃないですから!」

「そうです!」

「……ありがとうございます。本当に君たちが何かされなくて良かった。本当に、よかった」

「月読先生」

月読は本当に安堵していた。

夏樹だって同じだ。

ふたりに何かされていたら冷静じゃいられなかった。

「ふたりのことはこれから気に掛けさせていただきます。君たちのプライベートを侵害しない範囲で、見守らせていただきますね」

月読の言葉は力強かった。