作品タイトル不明
21「おこじゃね?」
夏樹は、もしかしたら故郷の星に帰れないと落ち込んでしまったいつるを励ますため、リリスにパンケーキをトッピング増し増しで注文した。
フルーツと生クリーム、アイスクリームが乗るパンケーキが目の前に置かれると、気が沈んでいたいつるもご機嫌になった。
なんだかんだと彼女も夏樹と歳が変わらない女の子なのだろう。
「んで、どうするの?」
「この星で生活をするお金は持ってきていますので、問題はありません」
「そうなの?」
「はい。今も、ホテルのスイートに泊まっていますが、このまま死ぬまで同じ生活をしても大丈夫なくらいのお金です」
「心配して損した! なんでわざわざスイートに泊まるんだよ! 普通のお部屋でいいじゃん!」
「一応、私は星ではそれなりにいい暮らしをしていましたから。食事は地球、特に日本の方が段違いに美味しいですが」
そういえば師匠は王様だったことを思い出す。
情報量が多くて、処理しきれない。
「故郷だろうと、地球だろうと私がすべきことは変わりません。君にギャラクシー流を教え、銀河にギャラクシー流在りと知らしめるだけです」
「……かっこいい」
「ふふん!」
離れた席で、「え? ギャラクシー流ってなんですか? そんなもん銀河に知らしめられたらゴッド困っちゃう!」と言っている眩しい存在がいるが、気にしない。
「とりあえず今日は話を聞けてよかったよ。俺、そろそろご飯の時間だから――」
帰るね、と言おうとして夏樹は言葉を止めた。
「どうしましたか、夏樹くん?」
「いや、不愉快なことが起きた」
「なにか?」
「森さんと片岡くんがいちゃいちゃしながら帰るところを目撃したから、きっと今日ちゅーするかもしれないと思って常に気配を探っていたんだけど、無粋な奴が邪魔したらしい」
「森さんと片岡くんがどこの誰だか知りませんが、君も大概気持ち悪いですね」
「だって気になったんだもん!」
夏樹は立ち上がる。
リリスが今日は奢りと言ってくれていたので、カウンターに行きグラスを磨いているリリスに頭を下げた。
「ごちそうさまでした!」
「いいえ。また来てね」
「うっす!」
お礼を言って出て行こうとすると、
「お待ちなさい、夏樹くん」
ゴッドが夏樹を止めた。
「気づいているでしょう、新たな神々が関わっていますよ」
「わかってるよ」
「ゴッドは介入はしませんが、君にはいくつか借りもありますし、君のことを好意的に思っているので助言をします」
「……助言?」
「現在、この街に来ている新たな神々は――強いです」
「へぇ」
ゴッドが強いと言うのなら強いのだろう。
腕がなる。
「ですから――」
「みなまで言わずとも大丈夫。――鏖殺してきます」
「ちょ、待って、違いますから! アマイモンと戦って強くなった君が今までの感覚で戦ったらこの街が大変なことに――って、もういねーし! ちょっと誰か、あのバーサーカー勇者止めてくださいぃいいいいいいいいい! くっ、こうなったらツッコミの勇者七森千手くんに連絡しなければ」
鏖殺宣言した夏樹が飛び出してしまい、ゴッドが慌てる。
「ふう。ごちそうさまでした。とても美味しかったです。さて……彼の力を改めて見させていただきましょう。ギャラクシーの名のもとに」
「この子もこの子で何か問題を起こしそうで怖い! ゴッド困っちゃう! というか、星渡りの民がなぜここに――って、やっぱいねーし! 話聞いてよぉおおおおおおおおお!」
いつるもゴッドを無視して店の外に出てしまった。
「やはり七森千手くん、君だけが希望です!」
ゴッドは千手に電話をかけた。