軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

04話 初めての友達

驚いた。

ちょろいとか思ってすんません。

紛れも無く、ヤバイ。間違いない!

見えてなかったからかなり失礼な態度を取ってしまった気がするが、今更だな。

(おい。約束は覚えているな? …というか、文句いってたわりにはあっさり習得しおって。)

(勿論っすよ!軽い冗談です。周囲も見えるし、音まで聞こえます。助かりました!)

(ふん。もっと時間をかけて習得しても良かったのだ…)

まあ、大丈夫だろ。

見た目にびびったが、この竜、親切だったし。

何より、やっぱこの竜、寂しがりやだわ。

見た目で損するタイプか。まるで、"泣いた赤鬼"だな。

(で、これからどうするつもりなのだ?)

(そうっすねー。とりあえず、同郷の異世界人でもいないか探してみますよ。見つからなくても別にいいんですけどね。)

見つかるほうがいいけど、仲良くなれるかわからんしな。

それより、せっかく視覚も得た事だし、世界を見て回るのもいいだろう。

光や音を感じ取れるようになった事で、世界が広がった。

これで、暇つぶしに草をもしゃもしゃする必要もない。

しかし、このドラゴン。

見れば見るほど邪悪なのだが、ピクリとも動かない。

そういえば、300年前に封印されたとか言ってたか?

(ところで、ヴェルドラさんは封印された・・・とか、言ってましたよね?)

(む? まあな。ちょびっと相手を舐めてたのは間違いないが・・・途中から本気出したが、負けたな!)

何故か誇らしげに 負けた! と、この竜は宣った。

実際、魔法ならともかく、剣や槍なんてこの竜に刃が立ちそうにもないのだが・・・。

(相手はそんなに強かったのですか?)

こんな化物より強いのが結構いるのだろうか?

外の世界は思ったより危険がいっぱい! なのかもしれないぞ。

(ああ。強かったよ。"加護"持ちで、人間の"勇者"と呼ばれる存在だ。)

勇者。

色々なゲームで馴染み深い存在だ。

最近は、かませみたいな勇者をモチーフにした作品も多い為、そこまで圧倒的なイメージは無かったけど。

この世界では本当に強いみたいだな。

(そういえば、勇者は自分で自分の事を"召喚者"だと言っておったぞ。お前と同郷かもな。)

(え?いやいや、自分と同郷ならそんなに強いハズないですよ?)

(いや、この世界に来た"異世界人"は、特殊能力を持つ事が多い。それは、世界を渡る際に魂に刻まれる力なのだ。

"召喚者"ならば、100%特殊能力を持つ。それも、世界で唯一つの"ユニークスキル"を持つのだ。

偶発的に落ちてくる"異世界人"と違い、召喚に耐えるほど強い"魂"故の事だろう。

召喚の成功率が0.03%未満という事実が、裏付けておるよ。)

(召喚というと、魔法か何かで呼び出した・・・とか?)

(その通り。30人以上の魔法使いで、3日かけて儀式を行うのだ。成功率は低いが、強力な"兵器"としての役割を期待されておる。)

(は? 兵器?)

(うむ。"召喚者"は召喚主に逆らえないように、魔法で魂に呪いを刻まれているからな。)

(なんじゃそりゃ!? 召喚される人の人権は無視か!?)

(人権?・・・異世界人がたまに口にしておるな。そんなもの、この世界では幻想だよ。

弱肉強食こそ、万物にして絶対なるこの世の真理なのだから。)

なるほど・・・

どうやら、この世界で召喚されるのは元の世界の感覚からしたら、受け入れがたいものがありそうだ。

(では、"異世界人"の扱いも奴隷みたいな感じなのですかね?)

(いや、人によるな。"支配の呪禁"が施されていないから、受け入れられたら普通に暮らしたり、冒険者になったりしてるんじゃないか?

実際、我を討伐に来た冒険者の"異世界人"も何度か撃退しているぞ! フハハハハ!!!)

(つまり、召喚された場合だけ、強制労働って事ですね・・・)

(労働ではないだろうが、まあ、そんな感じじゃないか?

我は人間に詳しいほうだが、全て知っている訳ではないからな。)

(それもそうか・・・竜ですもんね。)

むしろ、竜にしては詳しすぎな感じだ。

とにかく、喋る事が出来て嬉しいみたいで、聞けば何でも答えてくれそうだ。

それから暫く、俺は竜こと、ヴェルドラさんと色々な事を話した。

勇者といかに戦ったか。

勇者がいかに強かったか。

白い肌。

真紅の小さな口唇。

長く漆黒の長髪。

身長はそんなに高くない、やや小柄で細っそりとした体型。

眼はマスクで隠されていたそうだが、美人である事は間違いなかったと言っていた。

女性だったそうだ。

見とれて負けたのか? と聞いたら、フザケルナ! と怒鳴られた。

反りの入った独特の武器、"カタナ"と呼ばれる剣を使い、盾は持っていなかったそうだ。

ユニークスキル『絶対切断』

ユニークスキル『無限牢獄』

を駆使し、各種魔法を用い、自分を圧倒したのだ! と嬉しそうに語ってくれた。

話していて解ったけど、この竜、人間が好きみたいだ。

口では雑魚だのゴミだの言いながら、襲ってきた者を殺した事はないみたいだ。

逆鱗に触れない限り・・・

かつて一度、

300年前にとある事件が起きて、街を一つ灰塵に帰したそうだ。

その事が原因で、勇者が差し向けられ、結局封印されたのだと。

勇者の用いるユニークスキル『無限牢獄』によって。

俺には、竜の気持ちなんて判らない。

他人の気持ちだって、結局の所想像でしか判らないのだから。

でも、俺はコイツが悪い竜ではないのだろうと思う。

だって、気に入ったし。

もう、怖いとは思わなくなっていた。

だから、

(よし!じゃあ、自分・・・いや、俺と友達にならないか?)

ちょっと、いや、かなり恥ずかしい。

今の俺は、顔真っ赤だな。

(な、なんだと? す、スライムの分際で、"暴風竜ヴェルドラ"と恐れられる、この我とトモダチだと!?)

(い、いや、嫌ならいいんだけど・・・)

(馬鹿!お前!!! 誰も嫌だなどと、言っておらぬだろうが!!!)

(え、そう? じゃあ・・・どうする?)

(・・・そうじゃなあ。・・・どうしても、と言うなら・・・考えてやっても・・・)

なんとなく、こっちをチラチラ見てくる感じ。

可愛い女の子ならいいが、邪悪な見た目のドラゴンにされても・・・嬉しくはない。

面白いけど。

(どうしても、だ! 決定な! 嫌なら絶交。二度と来ない!!!)

(ちょ! ・・・仕方ないな! 我が友達になってやるわ! 感謝せよ!)

ふ。

この竜も素直じゃないわ。

俺も素直じゃないから、おあいこだな。

(じゃあ、宜しく!)

(宜しくの!・・・そうじゃ、お前に名前をやろう。お前も我に名前を付けよ!)

(は?なんでだ? 突然何を?)

(同格と云う事を、魂に刻むのだ。人間でいうファミリーネームみたいなものだ。

我がお前に付けるのは、"加護"になる。お前はまだ"名無し"だが、これでネームドモンスターを名乗れるぞ!)

むむ。

つまり、俺がファミリーネーム(=この竜との共通の名前)を考えろってか。

センスないんだけどな・・・

(暴風だから、"テンペスト"とかでいい・・・かな?)

駄目だよな。

簡単に響きがいいから、暴風=嵐 とか、安直すぎるか。

(決まり!だな!!! 素晴らしい響きだ。)

気に入ったのかよ!

(今日から我は、ヴェルドラ=テンペスト だ! そしてお前は・・・

"リムル" の名を授ける。リムル=テンペストを名乗るがよい!!!)

その名前は、俺の魂に刻まれた。

見た目にも、能力にも変化はない。

だが、魂の奥深くで、何かが変化した。

それはまた、ヴェルドラにも言える事なのだ。

こうして、俺達は、友達(というよりは、より深く"魂友"とも呼ぶべき関係)になった。

(で、行く前に一応聞いておくけど、その封印って解けないの?)

(我の力では解けぬな。勇者と同格のユニークスキル持ちなら、あるいは可能性があるかもしれぬが・・・)

(ヴェルドラはユニークスキル、持ってないのか?)

(持っている。が、封印された時点で、全て使えないな。かろうじて、念話が出来るのみだ・・・)

本来、勇者のユニークスキル『無限牢獄』は、対象を永遠の時間、無限の虚数空間に封じ込めるスキルであり、現実世界への干渉を許す程甘い能力ではないのだ。

この場合、念話だけしか出来ないという考え方のほうがおかしい。

時間とともに、封印が弱まる事などもないのだ。

現実世界を認識し、念話だけでも干渉可能なヴェルドラの方が異常なのだが・・・

無論、俺もヴェルドラもその事には気付かない。

(よし。一回試してみるか・・・)

そう言って、俺はヴェルドラに触れた。

そして、

《ユニークスキル『捕食者』にて、ユニークスキル『無限牢獄』を捕食します…失敗しました 》

流石に、勇者の封印は格が違った。

眩い閃光を発し、ユニークスキルの干渉が行われたのだが、一瞬で跳ね返されてしまった。

僅かな綻びを作ったようだが、それだけだ。直ぐにでも修復されてしまうだろう。

そもそも、同じユニークスキルならなんとかなるか? という発想だけでなんとかなったら苦労はない。

どうにかできないか?

どうすれば…

《解。ユニークスキル『無限牢獄』の一部解析が終了しました。脱出方法を提示致します。

肉体を伴う脱出は不可能です。物理的ダメージによる牢獄の破壊の可能性は0%です。

虚数空間の解除による脱出は解析出来ません。

同様の状況=『無限牢獄』に囚われ、内部から解析を行う必要があります。故に、現在は行使不可能です。

意思体のみの脱出の可能性は1%です。

外部に自らの依代を用意し、そこに移行を行う場合、成功率は3%です。

なお、このプロセスは"転生"に相当します。依代との相性が悪い場合、記憶と能力の全てが消去されます。

脱出方法の提示は以上です 》

…ふむ。

成功率低すぎる。

揺らめく透明な膜にしか見えない、ユニークスキル『無限牢獄』。

しかし、物理ダメージでの破壊不可能ときたか…。

ひょっとすると、絶対防御の能力を併せ持つとかありそうだ。

(なあ、勇者ってダメージ受けてた?というか、傷ついたりしてた?)

(よくぞ聞いてくれた!我の攻撃はほぼかわされたのだが、何発か直撃したのだ! だが、全て効果を及ぼさなかった。

"死を呼ぶ風" "黒き稲妻" "破滅の嵐"さえも、絶対回避不可能なのだが、効果なし!お手上げよ!!! 笑ってしまったわ!!!)

などとほざきながら、高笑いするヴェルドラ。

ユニークスキル『無限牢獄』は、自分の身を覆う事で、外部からの攻撃を防ぐ盾にもなるのだろう。

なんて便利なスキルだ。

ユニークスキル『絶対切断』

ユニークスキル『無限牢獄』

この二つが揃うなら、ほぼ無敵なんじゃないだろうか?

出会いたくないが、300年前の人物。

すでにお亡くなりになっているだろうから、大丈夫と思いたい。

間違いなく、最強クラスだ。

※実は、ヴェルドラも最強クラスである。この時のリムルが、その事を知る術はない。

ともかく。

脱出方法は、依代への転生か。

(脱出するには、依代になるモノが必要なようだ。意識体のみでも可能性はあるみたいだが、低い。)

敢えて確率まで言う必要はないだろう。

ヴェルドラがやる気無くすと成功率下がりそうだし。

(む?脱出方法があるのか!実はな、後100年も持たずに我の魔力は底をつくところだったのだ!

なんせ、魔素の流出が止まらなかったものでな…)

(なるほどなー。それでこの辺りの魔素濃度が高かったのか。)

(うむ。かなり上位の魔物も寄り付けぬ。草も生えぬ土地だったろう。ここらで生息出来るのは希少な植物のみよ!)

ああ。

脳裏にヒポクテ草の事が思い出された。

それで、ほとんどが貴重な薬草だったのか。

(まあ…そういう事なら脱出を試してみるか?依代があれば、成功率上がるみたいだし。…で、依代ってどんなのがいいのかわかる?)

(…恐らくだが、意思のみ出ても、魔素を集めて核を再結成させる事が難しいという事だな。お前が牢獄に綻びを作った事で、成功の可能性が出来たのだろう。

で、依代。つまり、新たな核を用意するならば、そこに移るだけですむ。様は、転生か!)

こいつ!

あまり頭良くないのかと思っていたが、素晴らしい読みだな。

見事なまでに、『大賢者』と同じ結論だ。

(そういう事。で、用意出来るものなら探してくるぞ?)

(うーむ。実は、我には核は必要ないのだ…秘密だぞ? 我は、"個にして完全なる者"。特殊固体なのだ。

意識生命体なので、この肉体に拘りはない。周囲の信仰に応えて、この肉体になっただけの話でな。)

また意味の解らないことを言い出した。

俺が理解するまで会話した。

結果、

意識のみで魔素を集め、肉体を形成。

今回は、肉体が囚われただけではあるが、意識で外部の魔素を集める事が出来ない状態である。

との事。

では、意識だけ外部に出られるのか?というと、

(それは不可能。受け皿がいる!)

だそうだ。

意識だけ外に出ると、魔素と共に拡散して存在が消滅してしまうそうだ。

そしてどこかで、新たな"暴風竜"が生まれるのだとか。

脱出は可能かもしれないが、別人の様にになってしまっては意味がないという事だ。

詰んだ。

いっその事、『捕食者』で、ヴェルドラごと喰ってしまうか?

捕食者の胃袋の中で解析するか、隔離して『無限牢獄』の効果だけ消してから開放とか出来ないものだろうか?

《解。対象:ヴェルドラをユニークスキル『捕食者』の胃袋に収容する事は可能です 》

可能なのか…

説明して納得してくれるなら、やるか。

このままだと、100年の孤独の後、消滅する運命なのだから。

俺は、ヴェルドラに『捕食者』の能力と、やろうとしている事を説明した。

もっとも、『大賢者』の補正なしには成功は有り得ないだろうが…。

(クアハハハハ!面白い!!! ぜひやってくれ。 お前に、我の全てを委ねる!)

(そんなに簡単に信じていいのか?)

(無論だ!ここで、お前が帰って来るのを待つよりも、お前の中で外へ出る為『無限牢獄』を破る方が面白そうだ!

なあに!我とお前と、二人でかかれば『無限牢獄』も破れるかもしれん!)

そうか。

一人じゃなく、二人か。

いいじゃないか。

俺が、『大賢者』と『捕食者』で解析を行い、内部からはヴェルドラが破壊を試みる。

胃袋の中なので、意識が拡散し消滅する恐れもない。

いけるような気がしてきた。

(じゃあ、今からお前を喰うけど、さっさと『無限牢獄』から脱出して来いよ?)

(クククッ! 任せておけ!そんなに待たせずに、お前の前に合間見えよう!!!)

よし!

俺は覚悟を決めた。

ヴェルドラに触れ、捕食を行う。

一瞬にして、ヴェルドラの巨体が目の前から消えうせた。

実にあっけなかった。

今までしゃべっていたのに。

いなくなって寂しさを感じる。

スキルを対象に行うと抵抗され失敗したのだが、流石にヴェルドラ本体もろともだと抵抗される事もなかった。

あの巨体を飲み込めた事には驚いたがね。

現在の胃袋の現在の空間使用量は25%程度だと…

どれだけ大きなスペースを持つんだか。

そして…

《ユニークスキル『無限牢獄』の解析を行いますか?YES/NO 》

頼むぞ!

俺は祈るように、YES と念じた。

ステータス

名前:リムル=テンペスト

種族:スライム

加護:暴風の紋章

称号:なし

魔法:なし

技能:ユニークスキル『大賢者』

ユニークスキル『捕食者』

スライム固有スキル『溶解,吸収,自己再生』

スキル『水圧推進』

エクストラスキル『魔力感知』

耐性:熱変動耐性ex

物理攻撃耐性

痛覚無効

電流耐性

麻痺耐性