軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編 -リムルの優雅な脱走劇- 05

残された生徒達の反応は様々だった。

大半の生徒が絶望したように泣き崩れている。

頼りとなるべき教師陣が、全くと言ってよい程に歯が立たなかったのだから、彼等が困惑し恐慌状態になったとしても不思議ではない。

しかし、一部の者は率先して仲間同士で寄り添い始め、所持品の確認などを行い始めていた。

そして戦闘系以外の付添い教師もまた、己の職務を忘れた訳ではなかったようである。

「先生方の容態は安定しております。戦闘の後遺症は認められず、呪詛系の痕跡も確認されませんでした。一日安静にしていれば目覚めるものと思われます」

保健医は、銀髪に大きな眼鏡をかけた美人さんだった。

実に冷静に、自分の仕事を忘れずに行動している。

ラプラスに倒された教師四名を地面に横たえ、緊急治療セットを取り出して手当てしていた。

〈空間収納〉されていた毛布を下に敷き、衛生面にも気を配っている。

流石はテンペスト人材育成学園所属の教師であった。

ちなみに、 魔天航空会社(テンペストエアライン) に搭乗する際、所持品検査は行うのだが……このように〈空間収納〉は対象外とされているのだ。

事実上、それを確認するのが困難だからである。

というか、あからさまに武器を携行しないのならば、ある程度は黙認しているのが現状だ。

理由は簡単で、素手でも強い者は強いからである。武器だけに目くじらを立てても、余り意味がないと判断したのだった。

所持品検査は建前で、あくまでも機内での魔法や 能力(スキル) の使用禁止を周知徹底させる事が重要なのだ。

その為に、機内での魔法や 能力(スキル) の使用を監視するシステムは完璧にしてあった。

帝国で研究していた 魔素撹乱放射(マジックキャンセラー) は、小型化されて全機に標準装備されている。対外ではなく、機内全域を魔法使用不可にしてあるのだ。

とはいえ、俺のように無詠唱で、魔素を自在に操れるレベルの者には、まるで効果がないのも事実なんだけどね。

だが、この小型化した 魔素撹乱装置(マジックジャマー) は、優秀な監視装置の役割もこなしている。

魔素の揺らぎにより、空間の歪曲を検知出来るのだ。

魔法使用だけではなく、〈空間収納〉を利用したり、〈空間転移〉の発動を予見したり、本来の用途以外にも利用価値は高かった。

そのお陰で、機内で禁止行為を行った者を即座に判別し、捕縛する事が可能となったのである。

と、話が逸れた。

そういう理由で、銀髪眼鏡の美人女医は、自身の〈空間収納〉に仕事道具を持ち込んでいたのであった。

簡易テントまで用意していたらしく、テキパキと治療用の施設を設置し始める。

何名かの生徒がそれを手伝い、あっと言う間に少し大きめのテントが設置された。

ここに、野戦病院とも呼べる施設が出来上がったのである。

付け加えるとこの時点で、銀髪眼鏡の美人女医の点数は20点を超えている。

自主的に手伝った生徒達も、各々3点程は獲得している事だろう。

救助行動などの方が、実際に魔物と戦うよりも効率が良いのは明白だった。それこそが、独断専行のような行為より助け合いが重要だと示唆するものなのだが、それに気付く者は果たして何名いるのやら。

俺の見立てでは、それに気付いたのは手伝った生徒達だけにしか見えない。

まだサバイバルは始まったばかりだが、この一週間でどのように状況が動くのか、それを占う上でも生徒達の行動は非常に興味深いものとなりそうである。

速やかな行動を取ったのは、保険医だけではない。

開発研究室に所属する研究教員も、自分の職務に忠実だった。

今度はどうやら、NNU魔法科学究明学園所属の教師のようだ。

「外部との連絡は取れませんね。この島全体を覆うように、高密度の魔素嵐が発生しているようです。島の端部から強力な魔法で魔素嵐を吹き飛ばせたならば、或いは一時的にでも通信魔法が繋がるかも知れませんがね……」

こちらも冷静に、最悪の状況報告を淡々と説明する。

ラプラスが去り、これで外部に救助を求められるのでは? と期待していた生徒達が泣き崩れるのが見えた。

可哀そうだとは思うが、これも試練。頑張ってもらいたい。

それはともかく、この教師。

敢えて事実を述べたのは、生徒に現実を突きつけるつもりだからなのだろうか?

パニックを起こしかねない状況で、ここまで助けは来ないと明言されてしまうと、逆に冷静になれるものなのだろうか?

狙ってやったのかどうかは不明だが、悲しむ生徒は居るものの、暴れ出すような者は皆無だった。

それに、道は用意されている。

実力ある生徒の一部は、その教師の説明から自分達が助かる方策に思い至ったようである。

「それはつまり、このまま島の外周を目指し魔素嵐の最も弱い地点を探る。その上で、通信要員以外の全員で、通信を可能な状況へと魔素嵐への対策を行う、そういう事でしょうか?」

NNU所属の生徒――ロザリーが、皆を代表するように教師に質問した。

それに答えるではなく、その教師は瞑想する。

「ふむ……。それが可能かどうか、明言はできません。ただ、それも一つの選択肢となる、それだけの事です。このまま救助を待つ道が絶たれた以上、あの 欲望の道化団(グリードサーカス) とやらの言葉に従うか拒絶するか、その二択しかない。その選択肢に、一週間以内に救助を求める、が追加されたのだと考えなさい。どれを選ぶにせよ、自分の判断を信じるしかないのですから」

淡々と。

答えを教えるというよりも、学生の自由意志に委ねるつもりなのだろう。

この状況下で、中々に肝の据わった教師である。

そんな中、イングラシア総合学園の魔法教師が発言する。

「この腕輪ですが、性能解析が完了しました。高度な魔法技術により作製されたアイテムのようです。仲間内での通信や、生体情報の監視機能も付与されています。寄生型の魔物と構造が酷似しており、これを外すのは困難ですね」

生徒達を前に、 寄生型生体解析腕輪(パラサイトブレスレット) の解析結果を伝え始めた。

優秀な教師だったようで、隠し機能にまで気付いたようだ。

この通信機能は最大登録者は五名で計六名による会話が可能なのだが、そこまで調べる事に成功しているならば大したものである。

まあ、実際に使ってみればすぐに判明するんだけどね。

「困難、とはどういう意味ですか?」

生徒の一人が質問する。

隠し機能に気付く程の教師なら、これに気付いても不思議ではないな。

見た目は小太りのオッサンだが、侮れない。

人は見かけではない、とは本当である。

「いい質問です。この腕輪、着用と同時に宿主に寄生しています。この場合の宿主とは我々の事であり、驚くべき事に、この 外装(うでわ) 部分は一部でしかないのです。本体は神経網のように細い管となり、全身に根を張っているようですね。これを引き剥がすのは、それこそ学園の最新治療設備を以ってしても困難であると言えましょう。腕を切断してから再生させたとしても、恐らくは全身の根から再び再生されてしまうでしょうね!」

何故か嬉しそうに、そう説明する小太り教師。

まあ、正解なんだけど。

解除するには、それ専用の解除キーを入力してやる必要があるのだ。

「それって、人体に影響は……?」

「皆無、です。これは或る意味、魔法生物のようなものですね。周囲の魔素を栄養として吸収しているので、宿主に害は与えません。寧ろ、健康状態や危機的状況を、他の登録者に知らせる機能がある程です。先程述べた通話可能人数、要するに登録した他の仲間に、寄生主の状態が筒抜けになるんですよ! 赤は危篤、黄は危険、青は通常といった具合に。本来の使用目的は、こうした仲間同士での通信や連絡伝達装置なのでしょう。先程の賊は、点数についてしか説明していませんでしたが、本来の役割については知らなかったのか……それとも、或いは――」

興奮したように語り続ける小太り。

際どい所まで読み解いたようだ。だが、生徒にとってはそれは重要ではなかったようだ。

重要なのは、五名以内の仲間同士なら、腕輪の機能で『思念伝達』が可能となるという事であった。

その情報が生徒達に浸透し、場は再び静寂に包まれたのである。

ちなみに、俺も装着されている。

俺だけないと不自然だからだ。それに、着けていた方が何かと便利そうだしな。

解除しようと思えば簡単なのだが、当面はこのままでいいのだ。

◇◇◇

さて、これで情報は出揃ったようだ。

思った以上の優秀さを見せる教師達により、生徒達に今後の方針を考えるだけの冷静さが戻ってきた。

ラプラスが去ってから、一時間経ったくらいか。

この短い時間で平静を取り戻すとは、生徒達も優秀なのは間違いなさそうである。

と、教師達が目配せし合い、年配の一人が前に立った。

「――さて、皆の者。儂は、イングラシア総合学園のウィリアム・ロアーズじゃ。この由々しき事態を前に、諸君等と共に考え対処し、困難を乗り越えたいと願う者である」

そう前置きして、落ち着いた声で生徒達に語り始めた。

時刻は昼前である。そろそろお腹もすいてくる刻限なのだ。

ここでいつまでも嘆いていても始まらないので、なんらかの行動を起こす必要はあった。

それを見越したように、最年長にして元貴族であるイングラシア総合学園の魔法教師ウィリアムが、状況を解りやすく説明していく。

「ここまでの説明で理解出来たであろうが、選択肢は三つ。

一つ目は、このままこの場所にて助けを待つというものじゃ。 魔天航空会社(テンペストエアライン) が大魔王リムル様の会社というのは有名な話。それに手を出した者を、彼の方がお許しになる筈はない。 欲望の道化団(グリードサーカス) とやらが戻ってくるまでに、この場所を探し出して下さるというのは、十分に考えられる話だと思う。

二つ目は、島の端部を目指し、自力にて救助を求めるという案じゃな。当然じゃが、これには危険が付き纏うじゃろう。一つ目の案よりも困難で、魔法通信の成功確率も試してみなければ不明という不確実なものじゃ。だがそれでも……誇り有る学園の生徒ならば、試してみる価値は高いじゃろう。

三つ目じゃが、これはチトお勧め出来ぬ。というのも、 欲望の道化団(グリードサーカス) の言いなりとなり部下になる必要があるからじゃ。つまりは、『魔素嵐の外まで飛空船で出て、ヤツ等の隙を突いて救助通信を出す』それがこの案の概要なのじゃよ。ヤツ等を十分に信用させる必要があるし、ある程度の実力を認めさせる必要もあるじゃろう。

とまあ、我々教師陣が相談した結果、これら三つの案が成功率と実行性の両面が高いと判断されたのじゃ。そこで、皆の意見を聞きたいのじゃよ――」

ふむふむ。

俺が望んでいた通りの展開になってきた。

ぶっちゃけ、点数だなんだと設定したのに、ゲームに参加されない事ほど悲しいものもない。生徒達が無気力に、ただ助けを待つばかりだったらどうしよう、という心配は確かにあったのだ。

その場合は大真面目に、この場所にて一年間の強制労働にでも就かせようと考えていたのである。

当然だが、基地を作るワケではない。

せっかくの秘境なので、保養地と娯楽施設を兼ねて、一大レジャーランドを建設してやろうと考えたのである。

いや、俺達にとってはレジャーだが、一般人にとってはホラーかも……。

そろそろ迷宮だけに富を集中させるのもアレなので、別の修練施設が欲しいと思っていたのだ。

島の四方に 支配領域(テリトリー) を持つ準魔王種級の特殊個体達や、島の中央に君臨する劣化魔王種に交渉し、彼等の協力も取り付ける必要がありそうだけどね。

東方の腐敗沼に棲む 腐嘴獣(ヘドログリフォン) 。

西方の熱砂漠に棲む 熱砂蠍(サンドスコーピオン) 。

南方の毒密林に棲む 毒緑虎(ポイズンタイガー) 。

北方の氷河湾に棲む 氷結龍(アイスナーガ) 。

そして中央に君臨する 山岩象(ロックエレファント) 。

この島の絶対強者に対して失礼のないように、ラプラスに交渉を任せている。少し心配だが、強さの面では不安はない。

劣化魔王種は旧魔王並みに強いが、本能に従い生きている。群れを統率する程度で、配下を率いるような知性はないのだ。

だからこそ、自分よりも上位者が出向いたならば、そもそも争いになる事さえないだろうと思う。

今回の一件で終わりではなく、今後ともお付き合い出来ればいいのだが……。

まあ、どうしても嫌だというなら仕方ないので、その時は別の島を探すだけの話であった。

話がズレた。

学生達は仲の良い者同士で集まり、相談し始めた。

ウィリアムの言葉を検討し、どうすれば助かる確率が高くなるのか思案しているようだ。

そんな中――

「フン、馬鹿馬鹿しい。ウィリアム老師も耄碌されましたね。大魔王に助けを期待する、などと……。そのような恥ずかしい真似は、我が兄エルリックを救って下さった英雄にして勇者たるマサユキ様に対して余りにも失礼! ひいては、我等が王家を侮辱するものです。イングラシア王国の正当なる後継者として、看過出来る発言ではありません。僕――いや、私は第二王子として、貴方方とは別の道を歩ませて頂く!」

あの傲慢な貴族の青年ユリウスが、怒りに顔を染めて叫ぶように言い放った。

え、ああ……うん。

そういえば、イングラシア王国は国家存亡の危機に陥ったんだったな。

あの大戦の最中、王家の人間と一部の騎士が暴走したんだった。

俺に恨みを持つ者達だったのだが、ユリウスからすれば身内の犯行。俺に対して良い感情を持っていないのも仕方ないかもしれない。

その時にマサユキが事件を解決した上に、処刑されそうになっていたエルリック王子を庇ったりなんかしたそうで、イングラシアでのマサユキの立場は不動のものになっているのだ。

もともと不動だったような感じだけど、今では神の如く敬われているそうで……この前やって来た時に、俺が演技指導したせいだと泣きながら訴えてきたのを覚えている。

文句はシエルさんに言いなさい、と心の中で聞き流していたのだった。

おっと、マサユキの事を思い出している間に、ユリウスの一派は移動を始めるようだ。

「私の指揮下に入り、共に歩む事を願う者は歓迎しよう! ユリウスの名に掛けて、君達の安全を保証する!」

輝くような美形が、格好良い台詞を言う。

それだけで、女子生徒の何名かがフラフラと立ち上がり付いて行こうとしていた。

驚愕すべきは、教師にも追従しようとする者がいる点である。

あの偉そうなユージラス卿とかいう教師もそうだが、他にもイングラシア総合学園の教師一人が立ち上がり、ユリウスに従うようだった。

こいつは見るからに戦闘系なのに、先程ラプラスに挑まなかった。ユージラスと同じく、腐った教師の一人であるようだ。或いは、慎重な性格なのかも知れないが……。

「待て! こんな状況なのに、勝手な真似をするな! ここは全員で協力して、この島からの脱出を目指すべきだろう!?」

赤毛の獣人、正義感の塊のような若者である。

正に正論だし、俺もそれが正解だと思う。寧ろ、あのウィリアムという老教師が、どうしてこの場で三択を示したのかが疑問だ。

生徒達に考えさせるという一面があるのは確かだが、この場合は徒に混乱を助長するだけだと思うのだが……教師の一存で方策を定め、生徒を纏めつつ集団行動するのが常道だろうに。

三つの選択肢は想定内だったのだが、それを教師が示唆するというのは腑に落ちなかった。

ウィリアムという老教師は厳格にして聡明であるように見受けられるので、なんらかの思惑があるのかもしれないけど……。

最悪のパターンが、生徒達がパニックになり、バラバラに行動を始めてしまうパターンだ。

こうなってしまえば試練は中断するしかない。生徒達の安全を確保しなければならないからだ。

その上で正体を明かし、強制的に鍛えなおすつもりだったのだ。

その場合は俺がここに居るとバレるので、この脱出劇も終了となってしまう。そうならないように、上手く状況を誘導する必要がある。

ラプラスとティア、そして俺。

各々が生徒達の安全を、影ながら見守りつつサバイバルを続けさせる。

なので、三つのグループに別れて行動するくらいまでが、ギリギリの許容範囲なのだった。

言うまでもないが、全員が一丸となって行動する、これが理想だった。

だが、それは飽く迄も運営側の立場での考えである。極限状態に置かれた生徒達にとっては、生き残る確率を高める事こそがもっとも重要なのだ。

その点を踏まえて考えるならば、ユリウスの行動も間違っていると決め付ける事は出来ない。

彼等にとっての極限状況の最中、自分に従う手駒として生徒を統率するというのは、有る意味で一番手っ取り早く集団を纏める方策なのだから。

ユリウスの定める規則を守らせる事で、指揮系統の確立と秩序の維持を容易にするのは確かなのだ。

全員で行動するという点で考えても、それを願うなら指揮下に入れ、と言っている訳で……独善的ではあるが、危機的状況下では否定出来ない方法であった。

「フッ、頭が悪い犬だな。今の私は、唯のユリウスではない。イングラシア王国第二王子として、皆を導く立場にある。君が言う勝手な行動を生徒達に取らせぬ為にも、リーダーが必要なのは明白だろう?」

ふむ、やはりそれなりの覚悟を持って、先の宣言を行ったようだ。

単なる傲慢なだけの貴族――王族――ではない、という事か。

「しかし、リーダーを決めるなら、そこは皆の意見を尊重して――」

「まあ待てよ、カルマ。ユリウスの言う事も一理あるぜ? こんな状況で、悠長に皆の意見を纏めている場合じゃねーさ」

ユリウスに食って掛かろうとした赤毛――カルマを止めたのは、チャラく俺に親しげに声を掛けてきたマグナスという青年だった。

思ったよりも合理的な指摘で、理想論を述べようとするカルマを諌めている。

「マグナスか。だが、彼の独断を認める訳には……」

「だから待てって。オレ達は、飯だってまだ食ってないんだぜ? 一週間、水も食糧も自前で調達しなきゃならん。〈空間収納〉が使えるヤツなら、コッソリと保存食を用意してるかも知れないけどな。皆が皆、そんなに用意周到って訳じゃないだろう? オレ達は発表会に向かう途中だったんだし、危険な課外授業を行う予定なんてなかった訳だ。そこまでの準備を行っていた者は少ないだろうさ」

「それは――」

「先ずはアイツがどういう風に皆を仕切るのか、それを確かめてから考えないか? リーダーが必要、っていうのは確かなんだし、さ」

「――そう、だな。わかったよ」

驚いた事にマグナスは、見事にカルマの説得に成功したようだ。

チャラいだけではなく、意外にも頭も回るようである。

それに、マグナスが誰にも聞かれぬ程に小さく「今は、な」と呟いたのを、俺の耳は聞き逃さなかった。

一見誰にでも親しげな青年ではあるが、内面は別なのかも知れない。

油断しない方がいいかもなと、俺は気を引き締めたのだった。

カルマやマグナスが仲間を説得したことで、他の生徒からも文句は出なかった。

内心はともかく、一応はこの決定に納得したようである。

流石にこの状況で、好き勝手な真似をするような愚か者がいなかった事は幸いだった。

各学園の有力者が賛同した事で、生徒全員も当座はユリウスに従う事になったのだ。

こうして、ユリウスをリーダーとする一団の、集団生活が始まる事になったのである。