軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

197話 悪魔vs天使

上空よりミリムと銀髪天使の戦闘を観察し、疑問が生じた。

あの銀髪天使は、間違いなく『 正義之王(ミカエル) 』の" 王宮城壁(キャッスルガード) "を使用している。

ミリムの攻撃を誘導し、自身に影響が出ない事を確信しつつ、周囲に被害を撒き散らしている訳だ。

非常に厄介なのは間違いない。だが、それにしては被害が少ないように見えるのだ。

(なあ、ミリムが全力攻撃を放つなら、あんな程度の損失って事は無いよな?)

《はい。ミリム・ナーヴァの一撃であれば、白亜の城など一瞬にして灰燼に帰します。

予想される原因としては、" 王宮城壁(キャッスルガード) "による威力調整。

若しくは、ミリム・ナーヴァに意思が残っており、制御している可能性、です》

ふむ。

やはりそうか。

大気が震える程の怒りの波動を発しているが、極大攻撃は一度も放っていない。

最初に城の天守閣を吹き飛ばしただけである。まだ意思が残っていて、自分の怒りに抵抗していると見るのが妥当かも知れない。

だからこそ、『 正義之王(ミカエル) 』に備わる支配能力を発動していないのだろう。

ミリムが怒りで完全に我を失っていたならば、即座に支配下に置けていただろうから。

「ディアブロ!」

「は! ここに」

俺の呼びかけに、ディアブロが背後に出現し、応じる。

その後ろには、3柱の 悪魔王(デヴィルロード) が跪いている。

「ディアブロ。お前達で、あの4体の天使共を始末しろ。

それが終わったら、ヴェガを倒せ。

ゴブタに向かわせたが、アイツだけじゃ心配だしな。

それと、一人は俺のサポートに回ってくれ」

「了解致しました。直ぐに終わらせて、リムル様を援護させて頂ます!」

代表してディアブロが答えると、テスタロッサ達も一斉に頷いた。

あの天使達も覚醒魔王並みだろうが、悪魔達は守護王の中でも武闘派である。任せても大丈夫だろう。

数の上でも同数だし、ディアブロもいる。敗北は無いと信じよう。

「任せたぞ!」

そう言い残し、俺はミリムに向けて飛翔した。

後に残った者達が、俺のサポートに誰がまわるかという議題で揉め始めた、等と気付く事は無かったのは幸いだった。

誰が勝利したかなど、それこそどうでも良い話であったのだから。

残った者達の間では、平和的な話し合いの中で、決着がついた。

ディアブロが紳士的な笑顔を浮かべて、他者を睥睨する。

ッチ! という舌打ちが聞こえそうではあったが、三者からは文句は出ないようであった。

「クフフフフ。流石、貴女達が賢明なお陰で話が早い」

満足そうにディアブロが微笑んだ。

そして、チラリと、興味無さそうに4体の天使へと視線を向ける。

ヴェルダ配下の、"終末の使徒"達が内の4体。

懲罰の七天使(エクスキューショナーズ) と呼称される、直接戦闘を分担する実行部隊である。

今回は、ルシアの直属として派遣されていた。

" 王宮城壁(キャッスルガード) "がある以上、ルシアの安全は保障されている。しかし、万が一に備えての保険という意味合いもあった。

だが、何よりの目的は、ルシアの剣となる事である。

究極能力(アルティメットスキル) 『 正義之王(ミカエル) 』には、直接攻撃の手段が少ない為だ。

言い換えれば、 懲罰の七天使(エクスキューショナーズ) とは、ルシアの手足となり敵を殲滅する為の武器、と言う事が出来るのだ。

ルシアの自我と化している、 正義之王(ミカエル) の意思が、直接戦闘を担当させる為に選んだ者達なのであった。

大戦鎚(ウォーハンマー) を操る、トルネオット。

雷の属性を持つ。筋肉質な大男であった。

両手斧(グレートアクス) を操る、アリア。

火の属性を持つ。小柄な少女の外見をしている。

三叉槍(トライデント) を操る、オルカ。

水の属性を持つ。細身でしなやかそうな身体つきの、美人である。

九尾鞭(ナインテイル) を操る、プリシラ。

風の属性を持つ。中肉中背だが、豊満な胸が特徴的だ。目を閉じているのが印象的な、中性的な風貌をしていた。

四名は、突然やって来たディアブロ達に動じる事もなく、落ち着き払っている。

そこにあるのは、絶対的な強者であるという自信。

最高位たる 熾天使(セラフィム) の力を得た、至高の存在の使徒であるという、自負。

悪魔達と天使達は対峙し、静かに睨み合う。

「ふむ。遊んでいる時間はありません。さっさと終わらせましょう」

先に口を開いたのは、ディアブロであった。

同意するテスタ、ウル、カレラ。

「終わらせる、だと? 悪魔風情が笑わせるな。

進化に制限がかかっている 悪魔族(デーモン) では、 天使族(エンジェル) の最高位たる 熾天使(セラフィム) には遠く及ばぬ。

ヴェルダ様より 熾天使(セラフィム) の力を与えられし俺達は、自我無き天使とは異なる最強の存在。

貴様等とは格が違う。

長く生き魔王化しているようだが、所詮は不完全な進化形態に過ぎぬのだ。

アークデーモンがデーモンロードになったからと、調子に乗るのも大概にするが良い!!」

トルネオットが叫ぶ。

その言葉に、ディアブロは疑問が生じた。

敵の大将であるヴェルダは、自分達が 悪魔王(デヴィルロード) に至っていると気付かなかったのか? と。

だとすれば、失笑ものである。彼等の主であるリムルであれば、一目見ただけで看破するのは間違いないだろうから。

それとも……

(情報の共有を行っていない、という事でしょうね。

自分に絶対的な自信があるからこそ、瑣末な事だと情報の共有を怠る。

強者のエゴ、か。

その点、リムル様は抜かりない。流石です。クフフフフフフ――)

どの様な情報であれ、全員に通達し共有するシステムを構築する事に腐心している自分達の主を思い、ディアブロは深く悦びの感情に身を任せる。

非常に機嫌が良くなり、目の前の愚か者共に対し、優しい気持ちになるディアブロ。

「ねえ、ディアブロ。何がそんなに楽しいの? ボク達、馬鹿にされてると思うんだけど……?」

「クフフフフ。そんな事だから、貴女はまだまだなのです。

あの様な惨めな者達の言葉からでも、我等の主の偉大さに気付く事が出来るのですよ?」

「えっ!?」

「うふふふふ。そうね、流石はディアブロ。貴方も気付いてしまったのですね」

「当然ですよ、テスタロッサ。この者達は、慈悲深い貴女に譲りましょう。

私では苦しめてしまいますからね……貴女の手で苦しませずに楽にしてあげて下さい」

「あら、いいのかしら?」

「ちょ、ちょっと! ボク達には何の事なのかさっぱりなんだけど!?」

「……つまり、ディアブロが一匹、獲物を譲ってくれると言ってくれたのよ」

テスタロッサが親切にも、ウルティマに説明をする。

自分達の主である大魔王リムルが、いかに仲間を頼りにしてくれているのか、を。

その説明を聞き、ウルティマが瞳を輝かせて興奮したように叫ぶ。

「なるほど!! やはり、リムル様は"格"が違うって事なんだね!」

満足そうに頷くテスタ。

ウルティマの理解が足りない事には気付いたのだが、然したる問題では無かったからだ。

主たる大魔王リムルの偉大さを再認識出来たようだし、それだけで十分であった。

「ちょっと!! そこで勝手な事を言わないで欲しいわね!

はあん? 悪魔如きが、私達、最上級の天使をどうするって?

苦しませずに楽にさせる? 笑わせないで欲しいワケ!」

悪魔達のあまりの物言いに、切れたようにアリアが叫んだ。

小柄な体躯に似つかわしくない、大きな斧を背中から取り出し、両腕で構える。

燃えるような怒りを瞳に滲ませて、金髪を逆立てていた。

「挑発だ。冷静になれ、アリア」

細身の美人であるオルカが、冷たい瞳で悪魔達を睨みながらアリアを嗜めた。

だが、その手に持つ 三叉槍(トライデント) からは、水色の波動が激しく迸っている。

思考は冷静でも、感情的に怒りを感じているのだろう。

「うふふふふ。お姉さんは、悪い子にお仕置きしないといけないようです」

プリシラが笑顔で宣言した。

狙って行った訳では無いのだが、悪魔達の勝手な言い分により、おっとりした性格であるプリシラをも怒らせる事に成功したようだった。

三人の同僚が怒り出すのに合せて、トルネオットが一歩前に出る。

その身体からは稲妻が迸り、彼の怒りを代弁しているようであった。

「まあ待ちたまえ。素晴らしい考えが閃いた。聞きたいだろ?」

怒る天使達を前に、カレラが空気を読まずに話しだす。

「正直、私はお前等には興味が無い。

向こうで暴れているヴェガという愚か者に、少々用事があるのだよ。

なので、私も君達の相手はパスしたいのだ」

了承されるのが当然であると言わんばかりに、勝手な提案をするカレラ。

そのカレラの提案に、

「あら? 宜しいの、カレラ?」

「え!? じゃあ、ボク達が、二人づつ貰っちゃってもいいのかな?」

と、テスタとウルが喜色の声を上げた。

対照的に、

「舐めるなよ、下等な悪魔共が!!」

「殺す。お前等は、絶対に、殺す!!」

「ふむ、仕方なし、だね。その身に現実を教えてあげるとするか」

「お姉さん、今のはカチンときちゃったわあ」

懲罰の七天使(エクスキューショナーズ) の面々は、怒りに染まる事になった。

当然と言えば、当然。

天上の軍団の中でも、最強の存在である"終末の使徒"であり、戦闘に特化した 懲罰の七天使(エクスキューショナーズ) の一員なのだ。

此処まで舐めた対応をされる事など、想像の外である。

人であった頃も、ユウキ直属の者達の中でも最強を誇っていた者達であった。

帝国の軍団内での序列強奪戦には参加しなかっただけで、帝国内最強集団である 近衛騎士(ロイヤルナイト) にも負けないと自負していたのだから。

そんな彼等が 熾天使(セラフィム) の力を得て、 究極能力(アルティメットスキル) 『 武器之王(マスターウェポン) 』に覚醒したのだ、地上に敵はいないと確信していたのである。

それぞれの武器こそが、能力の証。

現存するいかなる 神話級(ゴッズ) の武具よりも強力な 武器(ウェポン) 。その誇りにかけて、目の前の悪魔達を赦してはならぬのだ。

「貴様等は、殺す。それが、創造主たるヴェルダ様の御意志だ!!」

トルネオットの怒号に合せて、一斉に全員が動いた。

それぞれの武器を手に持ち、構える。

対する悪魔達は……

「ようし、ボクは、斧と槍!」

「あら、仕方ないわね。ま、私は何でも宜しくてよ」

玩具を選ぶ子供の様に楽しそうに、ウルティマが相手を指名する。

戦えるなら相手はどうでも良いらしく、テスタロッサはそれを了承した。

そうした態度が天使達を激怒させているのだが、悪魔達は自然にそれを行っているのだ。

「クフフフフ。では、どうしても無理そうならば、助けを求めなさい。

哀れな貴女達を、決して見捨てたりはしませんから」

「余計なお世話だよ!」

「ええ、そうね。ディアブロとは、本当に決着を付ける必要があるかも知れないわね」

そんな遣り取りを交わすと、ディアブロは後を振り返る事なく、リムルの下へと飛翔して去って行った。

後に残ったカレラも、

「では、私は行くぞ。お前等の出番は残す必要はないよな?」

「ええ。この者達で十分ですわ」

「うん! カレラ、早く行かないと、ゴブタに美味しい所持って行かれちゃうよ?」

「それが心配なのだよ。アイツは何のかんの言って、油断ならないからね」

顔を顰めて、カレラは頷いた。

天使を譲った理由は正に、ウルティマが指摘した通り、ゴブタがヴェガを倒してしまわないか心配だったからである。

見抜かれていたかという思いはあるが、それは仕方ないだろう。

ヴェガは、神聖なる決闘を汚したのだ。カレラに取って、決して許されざる行為を行ったのだから。

ゴブタが倒してしまうなら仕方ないとは言え、少しはその罪を償わせたいというのがカレラの本音であった。

であるから、カレラはさっさとその場を後にする。

ディアブロ同様、同僚の心配など一切していなかった。最強である 悪魔族(デーモン) の支配者として、自分達の勝利を疑ってはいないのだ。

そして――

テスタロッサ vs トルネオット&プリシラ

ウルティマ vs アリア&オルカ

二つの戦闘が開始する。

………

……

勝負は一瞬で決着した。

怒りに任せ、『 天雷轟爆撃(ライトニングボンバー) 』による最大火力攻撃を放つトルネオット。

しかし、この場は既にテスタロッサの 究極能力(アルティメットスキル) 『 死界之王(ベリアル) 』の支配領域である。

生と死を司る、テスタロッサの手に、 黒の大剣(デスブレード) が顕現し、トルネオットを両断していた。

振り下ろされた 大戦鎚(ウォーハンマー) による一撃、『 天雷轟爆撃(ライトニングボンバー) 』は、テスタの左手にて受け止められて、眩い閃光を発するエネルギーの塊に変じている。

しかし、テスタは苦も無くその塊を握り締め、自分の魔力を纏わりつかせた。

崩れ落ちるトルネオットに向けて、

「返すわ」

と言い捨て、 縮魔崩雷(メルトプラズマ) と化したそれを落とす。

閃光、圧縮、崩壊。

トルネオットは原型を残さず気化し、死亡した。

ホンの僅かな時間差にて、突撃しそこねたプリシラは驚愕する。

「ひ、ヒィイ!!」

意図せず、口から悲鳴が毀れ出た。

在り得ない。在り得る筈が無いのだ。

存在値(エネルギー) の総量は、その質に魔力と霊力という違いはあれど、同等である。

それなのに、この戦闘力の差は、決して在り得る筈が無いのだ。

その持つエネルギー総量に違いが無いならば、最上級に進化している自分達が有利。まして、二人で一人を相手するならば、負ける事など考えられなかった。

そんなプリシラの目算は、一瞬にして覆されたのである。

圧倒的なまでの、目の前の女の強さによって。

「あら、どうしたの? かかっていらっしゃい。

優しく相手して差し上げますわよ?」

微笑を浮かべて、テスタロッサという名の悪魔はゆっくりとプリシラに歩み寄る。

「や、止めて! 来ないで!! お姉さん、謝る。謝るからぁ!!」

「あら? 確か、悪い子にお仕置きするとか、仰っていなかったかしら?」

「ごめんなさい、失言でした! お姉さん、調子に乗ってましたあ!!」

半狂乱になり、プリシラは泣き叫んだ。

心が一瞬で折れていた。

想像を絶する化け物を前に、冷静な思考が働かないのである。

トルネオットは有能な仲間であった。どんな戦いでも先陣を切り、仲間の盾となり支えとなる。

そんな彼が天使の力を得て、以前とは比すべきもない強者となったのに……

プリシラも自分が強者だと自負してはいるが、全力を出した本気の戦闘であれば、トルネオットには及ばないと気付いていた。

そんな強者であるトルネオットが、目の前で何も抵抗する事も出来ず、瞬殺されてしまったのだから、プリシラが恐慌状態になるのも仕方ない話であった。

「あらあら。これでは私が苛めているみたいですわね。

ほら、苦しめずに始末してあげると約束しましたでしょう?

安心して下さっても宜しくてよ」

この時、プリシラにとって幸運だったのは、本当にテスタロッサの機嫌が良かった事である。

「ゆ、許して下さい!! 貴女様には逆らいません。

差し上げます、何でも差し上げますから、命だけは!!」

恐怖に引き攣り、命乞いするプリシラを見下ろし、判断する。

「じゃあ、貰うわね。その、天使の力、を。

その代わり、見逃してあげるわ。

貴女の恐怖の感情が、とっても美味しかった事だし、ね」

滅多に無い事であったが、テスタロッサはその言葉通り、プリシラを見逃す事にした。

ただし、自分で手を下さないだけで、その後彼女がどうなろうと知った事では無いのだが。

( 熾天使(セラフィム) の力、リムル様のお役に立つかも知れないわね)

そう判断し、プリシラから天使の力を抜き取り、彼女を見逃したのだ。

ただテスタにとって想定外だったのが、天使の力に付属して、 究極能力(アルティメットスキル) 『 武器之王(マスターウェポン) 』も獲得した事であろう。

この能力は『 死界之王(ベリアル) 』に統合され、 死界鞭(デスウィップ) を顕現させる元になった。

女帝であるテスタロッサに相応しい武器であると言える。

こうして、テスタロッサ vs トルネオット&プリシラ戦は終了したのだった。

プリシラは無様に這いずりながら、その場から逃げ出す。

この時、プリシラにとって不幸だったのは、逃げた先でヴェガと合流するのを選択した事である。

力を失った以上、身を守る事を優先しようと考えたのだ。だが残念な事に、ヴェガは戦闘に集中し、敵味方の判別などまるで考慮してはいなかった。

結果、プリシラはヴェガに喰われて死亡したのだが、それはテスタロッサには関係の無い話なのだ。

そして、ウルティマも同様に、勝負はアッサリと終了する。

炎を纏ったアリアの 両手斧(グレートアクス) を、片手で受け流し、" 紅蛇死毒手(ブラッディーバイト) "でアリアを穿つ。

その一撃は致命の一打となり、アリアを絶命に至らしめる。

驚愕するオルカの認識からウルティマが消失し、背後から、

「はい、終了!!」

と聞こえた。

同時に、胸に熱い痛みが生じ、

(は? えっ!? 一体、何時の間に……!?)

それが、オルカの最後の思考。

為す術も無く、悪魔の少女であるウルティマに葬られる二人。

会話する間も無かったからこそ、テスタロッサよりも早く終了していた。

葬られた二人にとって、恐怖も苦痛も感じなかったのは幸いであった事だろう。

ウルティマは、ディアブロの言いつけを守ったのである。

ウルティマ vs アリア&オルカ戦は、こうして瞬時に終了したのだった。

その後。

「でも、コイツら、力の割りに弱過ぎるよね?」

「ええ。でも、リムル様の予想通りですわ。

力を得ただけでは、脅威ではない。本当に、その通りでした。

天使が経験を積んでその力を増すのも、その通りだと思いますわね。

……でも、果たしてそれは、どのくらいの時間を要するのかしらね」

「だよね! ボク達が、長き時を生きて得た経験が、そんな簡単に凌駕されちゃうわけないもんね!」

そんな会話をする二人。

シエルの予想通り、天使は自我を持つと成長を開始する。

しかし、当然の事ではあるが、短時間で成長する事など在り得ないのだ。

人の自我を得たとしても、その者の持つ魂の力には限りがあった。

まして、その 経験(レベル) は、悪魔達に比べて圧倒的に低過ぎた。

人の 魂(いし) では、天使の、それも最上級の 熾天使(セラフィム) の力を使いこなす事は出来なかったのである。

せめて経験を積み、仙人を経て聖人級に至っていれば、話は違ったのであろうけれども……。

こうして、悪魔達の戦闘は終了し、テスタとウルはヴェガ討伐へと向ったのだった。