軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第078話 これから

宿屋に戻った俺達は美味しい夕食を食べ、風呂に入ると、部屋でゆっくりと過ごしていく。

すると、ぽつぽつと何かの音がした。

「雨ですね……」

「本当だな」

立ち上がって、窓から空を見ると、昨日までは星空が見えていた夜空が何も見えなくなっていた。

「ということは明日、明後日は部屋で過ごす感じですかね?」

「外に出たかったら出てもいいぞ」

俺は出ないが。

「嫌ですよー。雨の日は部屋で過ごすものです」

「まあな。あ、ウェンディ、防御魔法を教えてくれよ。エアカッターの威力を見て、相手が使ってくることも考慮しないといけないと思ったわ」

あれが初級魔法なのだから恐ろしい。

魔法使いは皆、銃を持っているようなものだ。

「それもそうですね。御二人は防具も持っていませんし、覚えていた方が良いでしょう。覚えてほしいのは2つあります。1つは魔力感知です。御二人は魔力が高く、素質は素晴らしいですが、やはり研究職の錬金術師です。少し、探知に慣れていないような感じがします。特にレスターさんですね」

うん。

全然、わからない。

「まずは奇襲に備えるってことか?」

「はい。私がいれば良いですが、もしかしたらこの先、私がいないこともありえます。例えば、昨夜のようにエルシィさんについていった私はレスターさんのそばにいません」

確かにな。

そういうこともあるかもしれない。

「もう1つが防御魔法か?」

「そうなります。一番簡単なマジックバリアですね。御二人が使える火魔法やエアカッターを防げますし、矢も防げる防御魔法になります」

それは良いな。

「教えてくれ」

「私も使えるようになりたい」

「では、教えましょう。まずは探知です。御二人は目をつぶってください。私が魔力を出しながらその辺を飛ぶので魔力を探り、位置を把握するのです」

そう言われたので目を閉じて、魔力を探るが、よくわからない。

「魔力を出しているか?」

「全然、わからないけど?」

「ほんの少しだけ出しているんです。探ってください」

ちょっとびっくりした。

何故なら後ろから声が聞こえたから。

「隠すなよ」

さっきより魔力を減らしているだろ。

「練習です。御二人の敵はわかりやすい魔物だけはありません」

それもそうか……

俺達はイラドから狙われているし、刺客のことがある。

「わかった」

俺達はその後も魔力探知の練習をしていった。

教えてくれるのはありがたい。

ただ、たまに頭の上に乗ってきたり、エルシィの腕の中にいたりと、若干、遊んでいるなと思った。

翌日、この日は予定がないので遅めに起き、朝食を食べると、食後のコーヒーを楽しむ。

窓の外を見ると、これまで明るかった町や海がどんよりとしており、雨もかなり強かった。

「雨が強いですね」

「そうだな……こりゃ外には出られんわ」

小雨でも出ないけど。

「レスターさん、エルシィさん、下の方を見てください」

ウェンディに言われて、立ち上がり、造船場や港を見る。

「水面が上昇してますね」

「本当に沈むんだな……」

満潮なのか、それとも雨がそれほど降っているのか……

いや、両方か。

「海も荒れています……でも、そんな中でも船が出るんですね」

エルシィが言うように大雨で風も波も強いのだが、ちらほらと船が出ていっている。

「船乗りも大変だな……」

「船酔いしそうです」

ここまで来た大型の船は揺れが少なかったし、穏やかだったので快適だった。

しかし、川を横断したボートは揺れが激しくて、あとちょっと乗っていたら気持ち悪くなっていたと思う。

「船酔いしたらエリクサーを飲みましょう」

「本当にもったいないな」

「ニーナちゃんの店に船酔いの薬があるでしょ。あ、ここを出る前に買っておきますか」

それが良いな。

備えあれば患いなしだ。

「ああ。さて、じゃあ、次に行く国を決めていくか」

昨日買った旅行雑誌を取り出す。

色々買ったのだが、ランスとイパニーアの本をテーブルに置いた。

「海路だとこの2国なんですよね?」

「ああ。カルロがそう言っていたし、その2国が候補でいいだろう」

ウェンディがあれほど船に乗りたいと言っているし、それでいいだろう。

正直、俺も来た道を引き返すのは楽しくないし。

「ランスは有名な湖に浮かぶお城があるんですよねー。あと、おしゃれな街って昔、雑誌で読んだことがあります。もっとも、どちらも王都ですけど」

「王都はなるべく避けたいな。1日、2日観光してさっさと出るくらいなら良いと思うが」

ランスはイラドほどじゃないが、大きい国だ。

王都は発展していると聞くし、それくらいなら観光客に紛れ込むこともできる。

もちろん、避けるのが一番だが、エルシィがさっき言った観光地を見て、すぐに違う町に行くくらいならできると思う。

「イパニーアはどうなんですか?」

ウェンディが聞いてくる。

「さあ? 私は詳しくないかな」

「俺もほとんど知らない。あ、でも、前に新聞で政変があったって見たな」

「あ、それは私も見ました。王家が倒れたんですっけ?」

「いや、王家同士の争いがあったんだ」

確かそう。

「なんか不安定な情勢っぽいですね。やめておいた方が良いです?」

ウェンディが首を傾げた。

「いや、王家の内紛だからそこまで荒れているわけではないらしい。身内のごたごたに過ぎないらしいからな」

「ふーん……見るべきところはあるんですかね?」

「どうだ?」

イパニーアの旅行雑誌を読み始めたエルシィに聞いてみる。

「この国同様で海に面しているのでそっち方面は充実していますね。あと北部に行けば山々が綺麗らしいです」

北部か……

「イパニーアの北がランスだよな?」

地理的にそうだったはずだ。

「ええ。そうですね。その山々を越えた先がランスです」

「じゃあ、イパニーアを北上していく感じでいいんじゃないか?」

それでイパニーアとランスの両国に行ける。

イラドの同盟国であるランスをどうするかはまた考えればいいだろう。

「良いかもしれませんね。じゃあ、イパニーアを目指してみましょうか。ほら、ウェンディちゃんが好きそうな海鮮料理やお肉料理が名物らしいよ」

エルシィがウェンディに雑誌を見せる。

「おー……これは期待ですね」

お前、なんでも美味い美味いって食べるじゃん。