軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第059話 人生唯一のナンパを成功させた

町を見ながら待っていると、徐々に町が近づいてきて、ついには港に到着した。

窓から下を覗くと、船から投げられたロープを船乗りが船を固定するためのボラードに結んでいるのが見える。

「着いたな」

「はい。行きましょうか」

俺達は荷物を持つと、部屋を出た。

廊下にはすでに多くの人が船を降りるために並んでいたので待つ。

そのまま待っていると、徐々に動き出したので少しずつ歩いていった。

そして、出入口までやってきたのでタラップを降り、港に降り立つ。

「おー、外です! 風が気持ちいいです!」

エルシィの腕の中にいるウェンディがはしゃいでいる。

「何か匂いますね?」

エルシィが聞いてくる。

「潮の香りだな。まあ、海の匂いだ」

「へー。魚の匂いもしますね」

「漁業も盛んなんだろうな」

船を作っている港町なら当然そうだろう。

「確かに漁業も盛んですね。海産物は名産です。海産物を使ったパスタは特に美味しいですよ」

へー。

「ニーナちゃん、一回家に帰るって言ってたけど、ニーナちゃんのお家はどこ?」

「あそこ。左の方に赤い屋根があるでしょ」

ニーナが丘の中腹の左端の方を指差した。

確かに赤い屋根の建物が見える。

「すぐにわかるな」

「海が見えるってことはこっちからも見えやすいってことですからね。では、行きましょうか。ちょっと坂を登りますが、頑張ってください」

ニーナがそう言って歩き出したので俺達もついていく。

港を抜け、工場街を歩いていっているのだが、多くの人がおり、仕事をしていたりして賑わっている。

職人、船乗り、漁師といった感じの人間が多いように見えるが、皆、男性だった。

「男ばっかりだな」

しかも、皆、鍛えられており、強そうだ。

縦にも横にも大きく、重そうな木箱なんかを軽々と担いでいるのはすごい。

「力仕事ですからね。錬金術師もいると思いますが、やはり男性ばかりです。多分、どこかに兄もいると思いますよ」

錬金術師は比較的女性が多めだが、それでもこういう仕事は男性がやるか。

俺はやらないけどな。

「私はこういう仕事は無理かなー? 超貧弱だもん」

「エルシィさんは無理ですし、小柄なあなたがここにいると、子供に見えますね。まあ、多分、すぐにレスターさんがすっ飛んできて連れていきますよ」

俺は親か?

まあ、すっ飛んではこないが、確かにエルシィがここで働いていたら心配になるな。

「この中に女性が入るのは難しいからね。私も頼まれても嫌だもの。あ、兄さんだ。おーい!」

ニーナがそう言うと、手を振った。

ニーナが見ている先には職人らしき若い男と話をしている茶髪の男性がいた。

見たことがあるし、クラスメイトだったカルロで間違いない。

そんなカルロはニーナの声に気付き、こちらを向く。

すると、俺と目が合い、驚いたような表情になった。

そして、話をしていた若い男に何かを言い、謝るように片手を上げると、こちらにやってくる。

「ニーナ、帰ってきたんだな」

「さっきね。そんでもって、ヤークでこの2人に会ったから一緒に来た」

ニーナがそう説明すると、カルロが俺達を見る。

「それは奇遇だな。というか、卒業以来だから懐かしいわ。レスター、元気だったか?」

どうやらカルロの方も俺のことを覚えていたようだ。

「ああ。久しぶりだな」

「カルロ先輩、こんにちはー」

エルシィも笑顔で挨拶をする。

「ああ。エルシィちゃんだね。話したことはないけど、知ってるよ」

子分って呼ばれてたもんな。

「仕事中だったか?」

「まあな。お前らは何してんだ? レスターは宮廷錬金術師になったんだよな? そんでもって子分……じゃない、エルシィちゃんも同じ場所に就職させたんだろ? ニーナにそう聞いているが……」

同級生のカルロは俺と同じ学年に卒業しているからエルシィのことは知らないはずだが、妹の方から聞いているようだ。

「色々あってな」

本当に色々と……

「ご結婚されたらしいよ」

ニーナが説明した。

「え? あー……なるほど。いつも一緒だったしな……しかし、やっぱり……」

やっぱりって何?

「どうした?」

「あ、いや、ここには観光か何か?」

「そんなところだな」

「新婚旅行であちこちに行っているらしいよ」

全部、ニーナが説明するな……

「へー……まあ、確かにここは観光地として人気だしな」

「カルロー! 親方が呼んでるぜー!」

話をしていると、工場の方から同じくらいに歳の若い職人が出てきて、大きな声でカルロを呼ぶ。

「今行くー! すまん。仕事だ。当分は滞在するんだろ? また飯にでも行こうぜ。良い店を案内してやろう」

良い奴。

学生時代もこの明るさと気軽に人を誘える男だったことを思い出す。

「そうだな」

「ニーナ、暇なら町でも案内してやれよ」

「元々、その予定」

「そうかい。じゃあ、またな」

カルロは明るく笑うと、工場の方に歩いていった。

「相変わらずだったな」

カルロは昔と何一つ変わっていない。

「レスターさん、エルシィさん以外に仲の良い方がいらっしゃったんですね」

ウェンディがしみじみと言う。

「いや、いないぞ。あいつも友達という感じではない。単純にあいつが明るくて社交的なだけだ」

まずもって俺はクラスメイトにこちらから話しかけたこともないし、会話をするとしても聞かれたことに答えるくらいだったのだ。

「先輩、そこは友達って言っておいた方が良いですよ」

「そうですよ。カルロさんはそんな感じでしたよ」

そうかぁ?

「妹、どう思う?」

カルロの妹のニーナに聞く。

「友達で良いんじゃないですか? 迷ったら友達って言っておけば良いんですよ。逆に友達と思っていたのに否定されたらショックじゃないですか」

確かに……

「ウェンディ、友達だったわ」

そういえば、1回くらいは一緒に食堂に行って、飯を食ったことがあるような気がする。

あれ? 違う奴だったか?

「悪気はないんですけど、よくエルシィさんに声をかけられましたね、あなた……」

「まあ、男性はね……」

「私が可愛かったからかー。仕方がないね」

はいはい。