軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第022話 良い人が多い町

翌日、目が覚めると、隣のベッドにはすやすやと眠るエルシィとウェンディがいた。

そして、時計を見たのだが、すでに10時を回っていた。

昨日、風呂から上がった後もご機嫌なエルシィにワインをどんどんと注がれたので飲んでいき、結局、3時くらいまで3人で話をしながら過ごしたのだ。

「ハァ……」

こんな時間まで寝たのはいつ以来だろうか?

多分、エルシィが魔法学校を卒業し、初めて一緒に酒を飲んだ時以来だと思う。

あの日も遅くまで飲み、このくらいの時間に起きた。

「エルシィ、ウェンディ、朝だぞ」

ベッドから降りて隣のベッドに行き、声をかける。

しかし、2人はかなり熟睡しているようで目を覚ます様子がない。

「エルシィ、起きろ」

布団を叩いて声をかけてみるが、起きない。

「うーん……」

なんとなく手を伸ばし、エルシィの頭を撫でる。

すると、エルシィの頬が緩み、へらへらと笑った。

「ダメですよぅ……ここは職場ですぅ……」

何の夢見てんだ?

「ウェンディ、起きろ」

仕方がないのでウェンディの方に声をかける。

しかし、ウェンディも起きる様子がない……ん?

「お前は起きてるな。薄目を開けてるじゃねーか」

チラッとエルシィの頭に置かれた俺の手を見ていた。

「……お気になさらずおはようのちゅーでもしてください。すかー、すかー」

棒読みの寝息を出すな。

「いいから起きろ。あとエルシィも起こしてくれ。もう10時過ぎだぞ」

「おー……本当ですね。もうこんな時間です。エルシィさーん、起きてくださーい」

時計を見て納得したウェンディがエルシィの顔にダイブした。

「何ー? なんでウェンディちゃんが顔に張り付いてるの?」

目が覚めたエルシィがウェンディを顔に張り付けたまま上半身を起こす。

「エルシィ、寝すぎたわ。もう10時だ」

エルシィの顔からウェンディを剥がして時計の方を指差す。

「あー……ちょっと遅くまではしゃぎ過ぎちゃいましたね」

昨日、結構歩いたし、疲れもあったんだろうな。

「たまにはいいだろ。これまでああいう風に楽しんだことはなかったからな」

「学校に仕事に大変でしたもんね」

俺達が通っていた魔法学校はレベルが高かったし、貴族というアドバンテージがなかった俺達には結構きつかった。

そして、それは就職してからでもあり、昨日のようにはっちゃけることなんてなかった。

「これからは余裕を持ちたいと思う」

「良いと思います。一緒に楽しみましょう。とはいえ、お金ですね。準備してお店の方を見に行きますか」

「そうだな」

俺達は準備をし、1階の食堂で遅めの朝食を食べた。

そして、宿屋を出ると、店が集まっている商業区の方に向かう。

「昨日作ったポーションは3つか?」

「ええ。それとは別に家から持ってきた先輩にもらったハイポーションもあります」

前に心配だから持っとけって渡したやつだな。

「いくらくらいになるかね?」

「さあ? 外国の相場がわかりませんね。イラドの王都でしたらポーションが3000ゼルくらいですし、ハイポーションが1万ゼルってところです」

もちろん、これは店で買う場合の値段だから卸す場合はもっと安くなる。

「材料をどう集めるかも考えないとな」

ポーションを作るにも材料がいる。

「とにかく、見てみましょう」

「ああ」

俺達は歩いていき、商業区にやってくる。

商業区は日用品を売っている店から剣や槍なんかを売っている武器屋もあり、多くの人で賑わっていた。

「やっぱり人は多いですね」

「そうだな」

俺達はキョロキョロと見渡しながら歩いていく。

武器屋、食材屋、雑貨屋……あれ?

「あのー、ポーションを売っている店はどこなんですか?」

ウェンディが聞いてくる。

「いや、さっきから探しているんだが……」

「ないですよね……杖なんかを売っている魔法屋はあったんですけど……」

ポーションなんかを取り扱っている薬屋も個人店であるアトリエもない。

「おかしいな……」

「ないとか?」

「ここ、王都だぞ。そんなわけはない」

薬類は需要が高いはずだし、むしろ、必需品のはずだ。

「ちょっと聞いてみますね……すみませーん」

エルシィが歩いているおばさんに声をかける。

さすがのコミュ力である。

「ん? どうしたの?」

おばちゃんが足を止めてくれた。

「ポーションなんかを扱っている薬屋さんを探しているんですけど、どこですかね?」

「あー、薬屋ね。そこの路地を入った先に1軒あるよ」

おばさんが先の右の方にある路地を指差す。

「ありがとうございます。あのー、薬屋って少ないんですか?」

「あー、少ないかもね。私はこの王都の出身でここから出たことがないから何とも言えないけど、薬が不足しているのは確かだよ。お店ももうちょっと増えてもらえると嬉しいんだけどねー」

王都なのに少ないのか……

イラドでは優秀な錬金術師が王都なんかの大きな町に集まってしまい、地方で人手不足っていう社会問題があったがここは違うのか?

「なるほどー。ありがとうございました」

エルシィが頭を下げて礼を言うと、おばさんがにっこりと微笑み、去っていった。

「1軒しかないのか?」

「そんな感じのことを言ってましたね……」

うーん……

「まあいい。とりあえず、行ってみよう」

「そうしましょう」

俺達はそのまままっすぐ歩いていくと、おばさんが指差した路地に入った。